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「事件報道に配慮を」 最高裁参事官語る

2007-10-07 21:29:07 | 事件・事故
 西日本新聞(2007/10/7)などの報道によると、9月27日・28日に
【マスコミ倫理懇談会全国協議会】の第51回全国大会が開催され、
裁判員制度の実施を前にして、裁判員に予断を与えないためのマスコミとしてのあり方を一つのテーマに論議したという。
 報道、広告両部門の計7分科会には、約350人が参加した。

 「公正な裁判と報道」をテーマに、裁判員制度導入後の犯罪報道のあり方を考える二つの分科会には、最高裁刑事局の平木正洋・総括参事官と西村健弁護士(大阪弁護士会)が講師として招かれた。

 その中で、平木正洋・総括参事官は、「松本サリン事件」を具体的に検証し、現在の報道のあり方を問い、裁判員に予断を与える可能性として次の6項目を提示した。
西日本新聞によれば、
① 容疑者が自白していることや自白の内容を報じる
② 容疑者の弁解に「矛盾がある」「不合理だ」と指摘する
③ DNA鑑定結果などの証拠を報道する
④ 容疑者の前科・前歴を伝える
⑤ 容疑者の生い立ちや対人関係を報じる
⑥ 有罪を前提にした有識者や専門家のコメントを掲載する
これらの報道が、市民に「容疑者=犯人」という意識を刷り込む危険性が高い。
市民が参加する裁判員制度の下では「無罪推定」の原則を無意味にしてしまうと心配している。

と述べたようだ。

 当ブログでは、御存知のように秋田・藤里町の畠山鈴香さんの事件をフォローしているが、この事件でのマスコミでの報道のあり方は、この懸念が全て当てはまっている。
 最高裁もこの種の問題点にようやく気付き始めたのだろうか?

 これに対し、西村健弁護士は(西日本新聞によれば)
「平木氏の指摘は衝撃だが、共感できる部分も多い。
 自白や前科前歴などの報道については、弁護人としても問題があると思っている」
 と応えた。

 この講演のあとの討論では、マスコミからの“反論”が多く出されたようだが、説得力の無い紋切り型ものであると私は思う。
 この反論を聞いていると、ここまでマスコミ記者は低俗化しているのかと唖然とする。(西日本新聞は、この反論をよくも掲載したものだ。普通恥ずかしくて掲載できないような幼稚な反論を掲載して“自己検討”に晒したことは“評価”する)
 たとえば(西日本新聞によれば)、
「犯人がだれかということだけが重要なわけじゃない。前科・前歴や供述の内容によって社会問題が照らし出されることもある」(全国紙の編集委員)
「メディアには権力のチェックという重要な役割があり、法で規制されると萎縮してしまう」(テレビ局記者)
 「権力のチェック」などとはおこがましい。松本サリン事件や畠山鈴香事件の報道姿勢のどこに「権力のチェック」にスタンスがあっただろうか?
 こういう幼稚で低級で紋切り型の“反論”をする前に、自らの取材姿勢がどうであったのか、実際の行動をトレースして、深く自己検討して頂きたいものだ。

 法的規制との意見について平木参事官は「法律で規制するのは良くないと思う」と語り、「メディアが指針を作る際の参考になればと思って申し上げた」と付け加えた。

 最高裁の参事官が、上記のような懸念を明確に出されたことは、これに対する賛否両論の議論を巻き起こすことによって、社会的な大きな意義が今後生じると私は思う。

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西日本新聞のリンクは見つけられませんでした。(上の引用は紙面からキーボード入力)

事件報道に配慮を 最高裁参事官が要請 マスコミ倫理懇(朝日新聞) - goo ニュース

東京新聞「自白報道『予断与える』 裁判官 裁判員制度控え懸念」

讀賣新聞Web版

毎日新聞【「予断与える恐れの報道」で6項目 最高裁】


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