詐欺まがいの「緑のオーナー制度」商法
今から二十数年前に、国の森林を守るシステム」「投資すれば子や孫に資産が残せる」などと公募し、国民の出資で国有林の樹木を保全しようとした、「緑のオーナー制度」が、殆ど元本割れであったことが、今朝の各局からのニュースで報道された。
【asahi.com】 の記事によると、この制度に応募した樹木のオーナーは、約8万6000の個人・団体で、約500億円を調達し、赤字続きの林野事業で国有林の育成・管理などに充ててきた、という。
「子孫に緑を残したい」という善意の出資を活かすものであれば、それなりの意味もあっただろうし、出資者も必ずしも利益を求めていなかったものと思う。
しかし、よく読むと、この制度発足時点で、すでに材木価格は先細りすることが政府には解っていたようであり、そうであれば詐欺行為と言わなければならない。
民間で、このようなことを行なえば詐欺で摘発されるであろう。
そのうえ、当初の募集要項には、元本割れのリスクについては全く触れていなかったというから悪質である。
最大の問題は、「国土の保全」という国民の安全保障の点から言えば、軍備よりも余程重要な施策に予算を回さず、年間5兆円も軍事費に注ぎ込んで来たことである。
土砂崩れや、斜面の崩落、土石流などで失われる人命は、残念なことに少なく無い。
森林が、これらの災害を防ぐ重要な、また主要な防護壁であることは、よく知られている。
また農業はもとより淡水面・海水面・両面での漁業にも重要な役割を果たしてきていることが、ここ十年来実証されつつある。(知床などが有名!)
そういう、国民の食生活も含む重要な安全保障の命綱である、森林の涵養に対する予算が、どんどん削減され、国有林を維持管理するお金も人材も無くなって来ている。
そういう政府の予算削減という人為的政策の穴を埋める為に「思いついた」“システム”が、この「緑のオーナー制度」である。
政府が手立てするべき予算を「子孫に緑と資産が残せ一石二鳥」との美名?(殺し文句?)で誘導し、善意の人々から金を巻き上げたのである。
さらに悪質なのは、
【 林野庁は小学1年生がいる世帯にダイレクトメールを送ったり、金融機関と連携して「緑のオーナーローン」を開設したりして積極的に勧誘を進めてきた。 】こと。
この『美名で言いくるめる』というやり方は、まさに『詐欺師の常套手段』である。
年金制度に引続き、ここでもまた国家的詐欺行為が行なわれたことになる。
おそらく、まだマスコミを賑わしていない、『国家的詐欺行為』は、たくさん隠れているものと推察する。
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参考数値 (asahi.comより)
「緑のオーナー制度」
国有林にある育成途上のスギやヒノキなどに1口50万円(一部25万円)を出資して国と共同所有し、満期の十数年~40年後、出資額に応じた伐採の収益金を国と分け合う仕組み。
募集年度:1984-1998年(15年間)
出資額 :50万円/1口
出資者数:約8万6000
調達金額:500億円
出資対象:国有林4700ヶ所(北海道から九州まで)
対象免責:約2万5000ヘクタール
満期口数:727カ所(99~06年度:口数ではない)
元本維持:27ヶ所(3.7%)
元本割れ:480ヶ所(66%;2/3)
入札不調:220ヶ所(売れなかったりしてお金が戻ってこないもの)
払戻し額:最低27万7千円(2005年度;元本の55.4%)
売れなかった220ヶ所は【0】
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以下、 【asahi.com】を引用(いつまで掲載されるか解らないので、長いですが全文引用します。リンクが繋がっている間は、上記リンクから見て頂いた方が読みやすいと思います。
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国有林投資、9割が元本割れ
林野庁「緑のオーナー」
asahi,com 2007年08月03日06時01分
国有林育成に出資し、伐採の収益金を受け取る林野庁の「緑のオーナー制度」をめぐり、99~06年度に満期を迎えた契約者の9割以上が事実上、元本割れしていることが朝日新聞の調べでわかった。今後30年間に満期を迎える延べ約7万6000の個人・団体の大半も元本割れが予想される事態になっている。同庁は市場価格の変動を重視せずに制度をつくり、一般公募後の約9年間、契約書類に元本割れのリスクを記載していなかった。契約者の一部には国を相手に損害賠償訴訟を起こす動きも出ている。
緑のオーナー制度は、国有林にある育成途上のスギやヒノキなどに1口50万円(一部25万円)を出資して国と共同所有し、満期の十数年~40年後、出資額に応じた伐採の収益金を国と分け合う仕組み。
林野庁は84~98年度にかけて、「国の森林を守るシステム」「投資すれば子や孫に資産が残せる」などと公募し、延べ約8万6000の個人・団体から約500億円を調達。赤字続きの林野事業で国有林の育成・管理などに充ててきた。
同庁によると、一般公募した15年間に出資対象となった国有林は、北海道から九州までの約4700カ所(計約2万5000ヘクタール)。99年度から満期を迎え始めたが、輸入木材が増加した影響で国産木材価格が低迷。販売先を決める入札に参加する材木業者がいなかったり、予定価格を下回ったりして入札が成立しない「不落」が相次いだ。
その結果、99~06年度に満期となった計727カ所のうち、元本割れしなかったのは27カ所だけで、480カ所が元本割れし、残りは不落になるなどして「事実上の元本割れ」になった。1口50万円あたりの平均受取額は年々下がり、00年度は44万5000円だったのが、05年度は最低の27万7000円になった。06年度は29万5000円だった。
日本不動産研究所(東京)によると、スギの立ち木1立方メートルの平均価格は80年の2万2707円がピークで、昨年は3332円まで下落。ヒノキも4分の1の水準で推移しており、木材市場は緑のオーナー制度の公募が始まる4年前に下落傾向にあった。
同庁は制度の導入にあたり、価格変動がないことを前提に利回りを3%程度と試算し、価格が上昇すればさらに利回りを上乗せできると見込み、公募開始後から約9年後の93年ごろまで、契約書類に元本割れのリスクについて記載していなかった。
林野庁は小学1年生がいる世帯にダイレクトメールを送ったり、金融機関と連携して「緑のオーナーローン」を開設したりして積極的に勧誘を進めてきた。
窓口となっている各地の森林管理局には「銀行より利回りがいいと聞いていたのに話が違う」「国で買い取り、元本割れを防げ」などの苦情が相次いでいるという。
林野庁国有林野管理室は朝日新聞の取材に対し、「当時はここまで木材価格が下がるとは予想していなかった。緑のオーナー制度は金融商品ではなく、契約書類に元本割れのリスクについて記載する義務はないが、契約者からの問い合わせが出てきた93年ごろからは明記している。元本割れした契約者には誠に申し訳ない」としている。
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引用終わり(お疲れ様でした)
今から二十数年前に、国の森林を守るシステム」「投資すれば子や孫に資産が残せる」などと公募し、国民の出資で国有林の樹木を保全しようとした、「緑のオーナー制度」が、殆ど元本割れであったことが、今朝の各局からのニュースで報道された。
【asahi.com】 の記事によると、この制度に応募した樹木のオーナーは、約8万6000の個人・団体で、約500億円を調達し、赤字続きの林野事業で国有林の育成・管理などに充ててきた、という。
「子孫に緑を残したい」という善意の出資を活かすものであれば、それなりの意味もあっただろうし、出資者も必ずしも利益を求めていなかったものと思う。
しかし、よく読むと、この制度発足時点で、すでに材木価格は先細りすることが政府には解っていたようであり、そうであれば詐欺行為と言わなければならない。
民間で、このようなことを行なえば詐欺で摘発されるであろう。
そのうえ、当初の募集要項には、元本割れのリスクについては全く触れていなかったというから悪質である。
最大の問題は、「国土の保全」という国民の安全保障の点から言えば、軍備よりも余程重要な施策に予算を回さず、年間5兆円も軍事費に注ぎ込んで来たことである。
土砂崩れや、斜面の崩落、土石流などで失われる人命は、残念なことに少なく無い。
森林が、これらの災害を防ぐ重要な、また主要な防護壁であることは、よく知られている。
また農業はもとより淡水面・海水面・両面での漁業にも重要な役割を果たしてきていることが、ここ十年来実証されつつある。(知床などが有名!)
そういう、国民の食生活も含む重要な安全保障の命綱である、森林の涵養に対する予算が、どんどん削減され、国有林を維持管理するお金も人材も無くなって来ている。
そういう政府の予算削減という人為的政策の穴を埋める為に「思いついた」“システム”が、この「緑のオーナー制度」である。
政府が手立てするべき予算を「子孫に緑と資産が残せ一石二鳥」との美名?(殺し文句?)で誘導し、善意の人々から金を巻き上げたのである。
さらに悪質なのは、
【 林野庁は小学1年生がいる世帯にダイレクトメールを送ったり、金融機関と連携して「緑のオーナーローン」を開設したりして積極的に勧誘を進めてきた。 】こと。
この『美名で言いくるめる』というやり方は、まさに『詐欺師の常套手段』である。
年金制度に引続き、ここでもまた国家的詐欺行為が行なわれたことになる。
おそらく、まだマスコミを賑わしていない、『国家的詐欺行為』は、たくさん隠れているものと推察する。
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参考数値 (asahi.comより)
「緑のオーナー制度」
国有林にある育成途上のスギやヒノキなどに1口50万円(一部25万円)を出資して国と共同所有し、満期の十数年~40年後、出資額に応じた伐採の収益金を国と分け合う仕組み。
募集年度:1984-1998年(15年間)
出資額 :50万円/1口
出資者数:約8万6000
調達金額:500億円
出資対象:国有林4700ヶ所(北海道から九州まで)
対象免責:約2万5000ヘクタール
満期口数:727カ所(99~06年度:口数ではない)
元本維持:27ヶ所(3.7%)
元本割れ:480ヶ所(66%;2/3)
入札不調:220ヶ所(売れなかったりしてお金が戻ってこないもの)
払戻し額:最低27万7千円(2005年度;元本の55.4%)
売れなかった220ヶ所は【0】
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国有林投資、9割が元本割れ
林野庁「緑のオーナー」
asahi,com 2007年08月03日06時01分
国有林育成に出資し、伐採の収益金を受け取る林野庁の「緑のオーナー制度」をめぐり、99~06年度に満期を迎えた契約者の9割以上が事実上、元本割れしていることが朝日新聞の調べでわかった。今後30年間に満期を迎える延べ約7万6000の個人・団体の大半も元本割れが予想される事態になっている。同庁は市場価格の変動を重視せずに制度をつくり、一般公募後の約9年間、契約書類に元本割れのリスクを記載していなかった。契約者の一部には国を相手に損害賠償訴訟を起こす動きも出ている。
緑のオーナー制度は、国有林にある育成途上のスギやヒノキなどに1口50万円(一部25万円)を出資して国と共同所有し、満期の十数年~40年後、出資額に応じた伐採の収益金を国と分け合う仕組み。
林野庁は84~98年度にかけて、「国の森林を守るシステム」「投資すれば子や孫に資産が残せる」などと公募し、延べ約8万6000の個人・団体から約500億円を調達。赤字続きの林野事業で国有林の育成・管理などに充ててきた。
同庁によると、一般公募した15年間に出資対象となった国有林は、北海道から九州までの約4700カ所(計約2万5000ヘクタール)。99年度から満期を迎え始めたが、輸入木材が増加した影響で国産木材価格が低迷。販売先を決める入札に参加する材木業者がいなかったり、予定価格を下回ったりして入札が成立しない「不落」が相次いだ。
その結果、99~06年度に満期となった計727カ所のうち、元本割れしなかったのは27カ所だけで、480カ所が元本割れし、残りは不落になるなどして「事実上の元本割れ」になった。1口50万円あたりの平均受取額は年々下がり、00年度は44万5000円だったのが、05年度は最低の27万7000円になった。06年度は29万5000円だった。
日本不動産研究所(東京)によると、スギの立ち木1立方メートルの平均価格は80年の2万2707円がピークで、昨年は3332円まで下落。ヒノキも4分の1の水準で推移しており、木材市場は緑のオーナー制度の公募が始まる4年前に下落傾向にあった。
同庁は制度の導入にあたり、価格変動がないことを前提に利回りを3%程度と試算し、価格が上昇すればさらに利回りを上乗せできると見込み、公募開始後から約9年後の93年ごろまで、契約書類に元本割れのリスクについて記載していなかった。
林野庁は小学1年生がいる世帯にダイレクトメールを送ったり、金融機関と連携して「緑のオーナーローン」を開設したりして積極的に勧誘を進めてきた。
窓口となっている各地の森林管理局には「銀行より利回りがいいと聞いていたのに話が違う」「国で買い取り、元本割れを防げ」などの苦情が相次いでいるという。
林野庁国有林野管理室は朝日新聞の取材に対し、「当時はここまで木材価格が下がるとは予想していなかった。緑のオーナー制度は金融商品ではなく、契約書類に元本割れのリスクについて記載する義務はないが、契約者からの問い合わせが出てきた93年ごろからは明記している。元本割れした契約者には誠に申し訳ない」としている。
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引用終わり(お疲れ様でした)
国土保全と資源の自給。だいたい、こんな大事なことを個々の市民の善意で何とかしようという発想がおかしいですよ。
やるのなら、国の事業としてやるべきでした。もちろんお金もかかったでしょうが、この国では税金の使い道で、まず何を優先すべきか、間違いが多かったような気がします。
「安全保障」というなら、軍事関係の装備を備えることよりもまず、食料を含めた生活資源の安定確保をどうするか考えるべきでした。今からでも国内の資源を有効活用することと、何らかの資源産出国でもある諸外国との友好的な関係をどうしたら、維持し続けられるかを考えるべきですね。