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9 girls!@LIQUIDROOM

■ 9 girls!@リキッドルーム

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Negipecia




 新潟発の3人組Negiccoと大阪発の6人組Especiaによる限定ユニット、Negipecia(ネギペシア)のツアー“9 girls!”の東京公演“~Tokyo girls!~”を観賞。大阪、新潟と彼女らの地元を経てのツアー・ファイナルだ。会場は恵比寿リキッドルーム。平日夜ということもあって、フロアがギュウギュウとなるまではいかなかったが、それでもフロア後方まで多くのファンたちが集まった。

 NegiccoとEspeciaはこれまでにもカウントダウンパーティや横浜港クルーズイヴェントなど多く共演があり、公私ともに交流が深く、相性の良さは知られていたところ。今回は、それぞれの“共演”ではなく“限定ユニット”(当初は“るの☆あ~る”名義で告知)としてツアーを開催することとなった。その際、秋元康とのゴールデンコンビでおニャン子クラブなどを手掛けた後藤次利にプロデュースを依頼。リード曲「Girl's Life」をもって、2014年の夏を彩ることとなった。

 個人的には、NegiccoとEspeciaの組み合わせとしては、春に行なわれ、この二組にさらにlyrical schoolを加えたイヴェント“ネギリリペシア”以来。その時のステージからどのような変化や進化を遂げているのかを期待しながら、リキッドルームのある恵比寿へ向かった。

Negipecia20140826_01 オープニング・アクトとして、Negiccoと交流が深く、シングル「Girl's Life」のカップリング「水着・浴衣・花火・背伸び」の作詞を担当した長谷泰宏(ユメトコスメ)がDJブースに登場。アヴェレージ・ホワイト・バンド「レッツ・ゴー・ラウンド・アゲイン」、チャカ・カーン「スルー・ザ・ファイア」(メロディ・セクストンがヴォーカルのGTS版だったかも)など80年代ヒッツをNegiccoやTomato n'Pine「ワナダンス!」などのハウス・リミックスを挟み込みながらフロアの熱を上げていく。

 19時を刻むと、一番手としてEspeciaがアルバム『GUSTO』のイントロダクション・トラックに乗って登場。まずはメロウに「くるかな」からスタートした。この日は事実上EspeciaとNegiccoそれぞれの持ち時間を擁したツーマン・ライヴということもあり、曲終わりのアウトロの余韻なく次の曲の冒頭に被せ気味にメドレーっぽく楽曲だけで勝負していく。

 前回の“ネギリリペシア”ではEspeciaが抱える課題、歌唱力やトータルバランスの未熟性について記した。さらには、Negiccoとの完成度の差についても。だが、今回のステージを目にして感じたのは、成長のスピードが明らかに加速していること。まずは、“歌える”人材が増えてきたこと。ダンスやバックコーラスがメインだった三ノ宮ちか、三瀬ちひろには今後パートが増えそうな予感もしたし、杉本暁音も音程のグラつき感は多少残るもののしっかりと声を張れるようになっている。最年少ゆえの自由奔放キャラで位置付けとしては問題なかった森絵莉加には安定感が芽生え、脇田もなりはアドリブや声色を変えることにチャレンジしようとする余力や向上心が強まった。そして、前回で一番の課題に思えていたリーダー冨永悠香のヴォーカルも、不安定なグラつきが大幅に減少した。これは大きい。七色の変化球を持ちながらも自分でコントロール出来ずにいたピッチャーが、一つずつコースを狙えるコントロールを身に着けてきた……前回記事のフレーズを受けて例えるなら、そんなところか。

 とはいえ、ハーモニーや一体感、完成度という意味ではまだまだ。これは自分だけなのかもしれないが、アイドル・グループではなくガールズ・グループと名乗っている以上(さらに、ダンス&ヴォーカル・グループなどと名乗るならなおさら)、日本的なアイドルという枠は越えて、日本そして海外のガールズ・グループと見比べられても当然で、ダイアナ・ロスのいたスプリームス(当時は彼女らこそが“アイドル”の最初と言われていた)やアン・ヴォーグ、SWV、TLC、デスティニーズ・チャイルドらと比較される“覚悟”もあるはずだと捉えてしまっている。しかしながら、嗜好性も異なるし、黒人のガールズ・グループと比較するというのは大仰過ぎてやや暴論なのかもしれない。ただ、それくらい歌唱力は重視されるべき部分だと思うし、そこは疎かにしてもらいたくないというのが自論だ。だから、つい求めるものが大きくなってしまうのかもしれない。

 難しいのは、Especiaの楽曲はアレンジやリミックスの変化が多く、それに伴いダンスの振り付けも変えたりするから、ステージでのパフォーマンスとして完璧にならないうちに次のヴァージョンへ移行するということも少なくない。(特にリピーターが多くを占めると考えられる)ファンを楽しませるために飽きさせない工夫を仕掛けていくというのは評価されるところだし、常にフレッシュな感覚を与え続けられる要因になると思う。ただ、その習得のスピードとパフォーマンス変化のスピードとの差が埋まり切ってないというのはある。成長速度は上がっているとはいえ、彼女らが有する楽曲のクオリティとの親和性を高めていくという点では、“やり切れずに次のヴァージョンへと移行する”ことへの調整が今後の課題になるのではないか。また、成長はあっても安定的な継続性が完全に認められている訳ではないので、トータルバランスを追求しつつ、個々のレヴェルを一定水準に維持出来るためトレーニングを続けてもらいたい。

Negipecia_sunhatoya 次にNegicco。なにより彼女らの楽曲は本当にメロディが素晴らしいポップ・ミュージックで、10年選手ということもあって、完成度が高い。Especiaと比べて少ない3人組ということもあるが、ファンとの一体感も含めて、Especiaより“先輩”然としている。“ネギリリペシア”の記事でも述べたが、2010年代の“キャンディーズ”といっても不思議ではない、絶妙なトライアングルが存在している。

 ただし、課題がない訳でもない。どちらかというとポップとはいえアッパーなダンス・チューン要素が多いため、(特に今回の次々と煽り立てていくメドレー風スタイルの曲構成では)後半以降の体力をつけられるとより良くなるだろう。ステージを通じて歌いきるスタミナがないと、それまで響き合っていた絶妙なトライアングルに乱れを感じるようになってしまう。見事に噛み合っている時はいいが、その息が乱れてくると、単純に6人組のEspeciaより3人組のNegiccoの方がそのバランスの穴は大きく見えてくる。3人がそれぞれパートナー2人を感じながら上手く回っている時は予想以上の効果を生み出すが、一度崩れると持ち直すのも厳しくなってくる。トライアングルというのはそのパワーバランスやさじ加減が難しい。

 アンコールでのNegipecia版での「ミッドナイトConfusion」「アイドルばかり聴かないで」は、ファンへのスペシャル・プレゼントといったところで、嬉しいサプライズに。互いの仲の良さが存分に窺えたパフォーマンスとなった。また、アンコール直前に流れた「Girl's Life」のメイキング・ムーヴィーも、会場に微笑ましい空気を生み出した好企画だった。

Negipecia_nmnl 一つ残念だったのは、会場の音について。インスト音源を流す“カラオケ”トラックだからと言ってしまえばそれまでだが、もう少しヴォリュームを大きくしても良かったのではないか。特に楽曲のイントロ、出だしの音量が小さい感じがした。インパクトを与え、オーディエンスの期待度や心境に大きく影響する冒頭だけに、細かいことかもしれないが、気になったところではあった。

 Negipeciaは今夏限定ユニットということだが、Negipeciaという形でなくとも、楽曲のクオリティやメンバー間の仲の良さなど、その相性の良さが改めて証明された。今後もツーマンライヴなどで断続的にでも続けていってもらいたいところだ。
 ただ、今回の「Girl's Life」「水着・浴衣・花火・背伸び」は後藤次利というビッグネームを招いたが、個人的な嗜好で言えば、懐かしさはあるものの、ことさら後藤次利サウンドに琴線が触れる訳でもなく、Negicco、Especia両者の“らしさ”が存分に散りばめられた楽曲とも感じないので、ビッグネームに囚われず、らしさの延長線上ということにこだわった制作陣であれば……。そのあたりは、今後のおぼろげにでも期待しておこう。

◇◇◇

<SET LIST>
≪Opening DJ:ユメトコスメ≫
プロセス(Dub Master X REMIX)/小泉今日子
I Wanna Be With You/Armenta&Majik
Twinkle Emotion/Especia
Feelin' Lucky Lately/High Fashion
What Cha' Gonna Do For Me/Chaka Khan
Runaway/The Salsoul Orchestra
Spring Rain/Silvetti
Ain't No Stop Us Now/McFadden&Whitehead
I'm Every Woman/Chaka Khan
You Are The Universe/The Brand New Heavies
My Body Keeps Changing My Mind/Karen Carpenter
Relight My Fire/Dan Hartman
Let's Go Round Again/Louise
Party On the PLANET/Negicco
Let Me Down Easy/Rare Pleasure
Love Machine/The Miracles
アイドルばかり聴かないで(REMIX“Private”)/Negicco
The Promise/Girls Aloud
ワナダンス(Strike The Pose REMIX)/Tomato n'Pine
Through The Fire/GTS

≪Especia≫
01 Intro(from“GUSTO”)
02 くるかな(aero wao edit)
03 MIDAS TOUCH
04 アバンチュールは銀色に(GUSTO Ver.)
05 きらめきシーサイド(va Bien Remix)
06 水着・浴衣・花火・背伸び(Especia Ver.)
07 パーラメント
08 ナイトライダー
09 ミッドナイトConfusion(Pureness Waterman Edit)
10 No1 Sweeper(necio edit)

≪Negicco≫
11 水着・浴衣・花火・背伸び(Negicco Ver.)
12 スウィート・ソウル・ネギィー
13 サンシャイン日本海
14 僕らはともだち
15 圧倒的なスタイル(short)
16 フェスティバルで会いましょう
17 相思相愛
18 さよならMusic
19 ときめきのヘッドライナー
20 トリプル!WONDERLAND

≪Negipecia≫
21 ミッドナイトConfusion
22 アイドルばかり聴かないで
23 Girl's Life

<MEMBER>
Negipecia are:
Negicco + Especia

Especia are:
冨永悠香
三ノ宮ちか
三瀬ちひろ
杉本暁音
脇田もなり
森絵莉加

Negicco are:
Nao☆
Megu
Kaede

ユメトコスメ(DJ)

◇◇◇

Negipecia - Girl's Life

おニャン子が歌いそうな後藤次利サウンド全開。

Especia - No1 Sweeper

80年代全開。

Especia - パーラメント

これ、トレンディドラマを思い出すでしょ!

Negicco - アイドルばかり聴かないで

モロにピチカート。だって、プロデュースは小西康陽。

Negicco - トリプル!WONDERLAND

“シェキ!ドゥイッ!メイキッ・ネギーッ!”


Negipecia20140826_02
オープニングDJは長谷泰宏(ユメトコスメ)!
Negipecia20140826_03
アナログ盤も(dancin' in the light)ゲッダン!しました。

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