富士の見える街“にらさき”……とのキャッチコピーも、この日は雨は止んだが曇り空。4月8日、当初はFC東京がJ2最終戦で敗れた時のリヴェンジをしに札幌ドームへコンサドーレとの試合を観戦するプランも一瞬考えたのだが、何か返り討ちに合いそうな予感がしたので（いい予感は当たらないが悪い予感はよく当たる。愛媛のいよかん、いい予感）、急遽足向きを変えて山梨の韮崎へ。樹齢約320年のわに塚の桜を見に各駅停車でドンドコ行った。
韮崎は冒頭の「富士山の見える街」「ノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智博士を生んだ故郷の原風景」「武田の里」「サッカーのまち」などをアピールポイントとしている。甲府盆地の北西端という土地柄もあり、確かに見通しが良く広々としていて、市内のさまざまな場所から富士山が眺められそうだ（晴れていれば）。
まず、韮崎駅の一つ先、新府駅で下車。駅といっても盛り土の上にホームがあるだけの無人駅で、4月1日よりようやくSuica利用が可能になった。周囲には田畑と民家しかない。そこから数分歩いて、武田勝頼が築いた新府城の城郭跡へ。織田・徳川勢の攻撃により、68日で自ら火を放って落城した悲運の城で、NHK大河ドラマ『真田丸』のロケ地にもなった模様。新府城入口までは10分くらいで着くのだが、本丸跡への階段がかなり急。245段（確か）を登りきったら息が荒くなること必至。
その後、新府駅へ戻り、韮崎駅へ。新府駅と韮崎駅の間の韮崎駅寄りにはNHK朝ドラ『花子とアン』のロケセットがある韮崎市民俗資料館もあり、大河、朝ドラとNHKフリークには楽しめるかも？
この時期、武田信玄の命日にあたる4月12日を中心に山梨県内最大の祭りという“信玄公祭り”があり、各市町村から甲府の舞鶴城へと集結するらしいのだが、韮崎駅では“武田四天王”の一人とされる甘利虎泰の出陣式が行なわれていた。また、駅前には韮崎高校サッカー部のインターハイ優勝を記念して作られたブロンズ像「球児の像」があった。韮崎高出身のサッカー選手といえば、中田英寿のビッグネームが挙がるが、個人的には大柴剛、保坂孝と“H2Oトリオ”と呼ばれた羽中田昌。腎臓病を患ったため、15分以上はプレーしない条件で復帰し、3年の高校選手権の決勝の清水東戦で0-3と劣勢のなか途中出場。1-3とした後、自陣からドリブル突破し、清水東GKの膳亀信行を目がけてシュートを放った姿は今でも忘れられない（実況も「あっと、フリーだ！ ゴー！ゴー！」と羽中田を応援していたっけな）。
ちなみに、駅近くの韮崎市民交流センター“NICORI（ニコリ）”では、物産・観光案内のほか、カフェベーカリーがあり、そこでヴァンフォーレ甲府戦をスクリーン放映していた。
その後、韮崎駅から徒歩で武田八幡宮、わに塚のサクラを目指す。武田八幡宮は武田信玄によって再建された国指定重要文化財。822年に嵯峨天皇の勅命で創建したというから、その歴史も古い。境内には為朝神社も（源為朝は源為義の子で、源頼朝、義経兄弟の叔父。剛弓の使い手とともに乱暴者でも知られ、九州に追放されても暴れて鎮西八郎を名乗り、保元の乱後に伊豆大島へ流された後も暴れまわった猛者）。
わに塚のサクラはよく知られた名所らしく、田畑に一つ佇んでいるだけなのだが、次から次へと観光客がやって来る。隣の鉄塔がなければ……という言葉が方々から聞こえてくるが、確かにその通りだと思う。ライトアップも人気だそうだが、今回は断念。近くの諏訪神社（広神社）の桜を見てから、再び徒歩で韮崎駅方面へ。腹もかなり空いていたので、「さんばん」という居酒屋で満たすことに。カウンター以外は既に予約で満席。そのカウンターも19時30分以降は予約済みという繁盛ぶり。毎日築地に買い出しに行っているらしく、刺身がウリのよう。値段も安く、人気なのも解かる気がした。
空が暗くなる中、18時30分過ぎに韮崎から東京方面へ。いささか急ぎ足な旅だったが、なかなか歩いたこともあって、いい運動にもなり、楽しめた日帰り旅だった（それゆえ腹の空きも早く、徒歩でのカロリー消費以上に食べてしまって、最終的には当初よりも体重が増えたというのはご愛敬）。
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以上です、キャップ。
