*** june typhoon tokyo ***

Tuxedo@LIQUIDROOM


 近年のディスコ/ファンク・ブギーの流行もあって話題を集めているユニット、タキシードのツアー〈ナンバーワン Second To None Tour〉の恵比寿リキッドルーム公演を観賞。2015年夏のビルボードライブ公演は一般発売前に完売してしまうほどの人気ぶりで、今週末のビルボードライブ公演もソールドアウト。DJセットでのクラブステージはこれまでにもいくつかあったが、オールスタンディングのバンドセットは2015年夏のサマーソニック以来か。会場にはサマソニで観てファンになったと思われる30歳前後の世代や女性ファンも多かったか。もちろん、彼らがコンセプトとしている70~80年代サウンドのリアル世代も散見された。

 ステージは左奥にキーボードのサミュエル・ウィシュコスキ、右奥にドラムのクエンティン・ジョセフ、左前にギターのクリスチャン・ヴンダリッヒ、右前にベースのジョー・エイブラムスが配され、彼らは上下白のタキシード姿。中央奥に女性ヴォーカルのギャヴィン・トゥレク。彼女はドナ・サマーかジョディ・ワトリーあたり、つまるところシックのバック・ヴォーカルにようなアフロ&シルヴァーのフューチャリスティックなドレスの出で立ちで、その前にメイヤー・ホーソーンとジェイク・ワンの“タキシード”が陣取る。彼らは海老茶っぽい赤系のタキシードで、新年早々に相応しく紅白でステージを彩っていた。

 サマソニには参加しなかったため、タキシードのライヴを観賞するのは初めて。過去にメイヤー・ホーソーンのライヴは経験している。

・2010/02/27 MAYER HAWTHORNE & THE COUNTY@Billboard Live TOKYO
・2011/11/16 Mayer Hawthorne@Billboard Live TOKYO

 

 開演時間の19:30から15分遅れてスタート。本編終了がちょうど1時間後の20:45で、アンコール含めて約1時間15分くらいのステージ。まだ、アルバムが1枚(アルバム・レビューはこちら→Tuxedo『Tuxedo』)しかリリースされていないため、チケット代の6800円を考えるとやや短く感じるところはあるが(とはいえ、ビルボードライブではシチュエーションが異なるとはいえ1万円超となるのを考えれば妥当か)、パーティタイムの一体感を重視した構成で観客を大いに沸かせていた。

 バンドは、たとえばディアンジェロの“ザ・ヴァンガード”の面々のような凄腕で固められたということではないが、あくまでディスコ/ブギーのリズムを連綿と構築していくのには充分すぎるほどで、それでもなお、自らのテクニックなどをひけらかすような素振りをせず、真摯にあのディスコ/ブギーの、言ってしまえば単調なコード、ビートを鳴らしていたところに好感を持てた。
 そして、大きなポイントとなっていたのが女性ヴォーカルのギャヴィン・トゥレク。時折、メイヤー・ホーソーンとのデュエット・パートも披露していたが、コーラスを打ち込み音源でなく生ヴォーカルにしたのは大正解といえるだろう。衣装はキラキラと派手だったが、メイヤー・ホーソーンのメイン・ヴォーカルを補うに余りある活躍で、グルーヴィなリズム隊の音色に煌めきを加えていた。

 メイヤー・ホーソーンは“ナード”(おたく)気質があることは前述の過去のライヴ記事でも触れているが、彼の“遊び”もセットに足されていて、セット・リストにあるナイル・ロジャースとの逸話からの「アイ・ウォント・ユア・ラヴ」やスカイの「ヒアズ・トゥ・ユー」などのカヴァーはもちろん、途中で(ニュージャックスウィング世代は歓喜することこの上ない)ベル・ビヴ・デヴォー(Bell Biv DeVoe)「ポイズン」やタキシードの代表曲「ドゥ・イット」に(西海岸ヒップホップ~90年代R&B好きにはたまらない)モンテル・ジョーダンの1stシングル「ディス・イズ・ハウ・ウィ・ドゥ・イット」(“Do It”繋がりを考えて?)のフレーズを挟み込んできたりと、“ネタ”使いも忘れないパフォーマンスは彼らならでは。
 曲数の問題もあって、メイヤー・ホーソーン自身の楽曲「デザイナー・ドラッグ」(この曲はジェイク・ワンが手掛けているゆえ、元々はタキシード用の楽曲だったかもしれない)や「ヘニー&ジンジャーエール」(この曲の演奏前に中央のテーブルにワインとジンジャーエールが運ばれて、乾杯する演出も)を加えたことも、ヴァラエティに富んだステージに加速させた要因の一つとなった。

 元来、きっちりと歌い込むというタイプではないが、緩さと陽気さがいい案配にブレンドされて絶妙のグルーヴを生み出していたところは、彼らの持ち味、真骨頂と呼べるものだろう。ベル・ビヴ・デヴォーやモンテル・ジョーダンなどのネタはやや“?”だった若い世代の反応もあったが、それも含めて多幸感に満ちた空間となっていた。また、タキシードは着用しているものの、それほど気品に溢れている訳ではないが、決して下品にはならず、上質なグルーヴのステージだったことにも好感。出来れば2時間弱のステージを、と求めるのは今は酷かもしれないが、2枚目がリリースされることなどがあれば、是非来日公演に駆けつけたい。



◇◇◇
 
<SET LIST>
00 INTRODUCTION
01 Fux With The Tux
02 Number One
03 R U Ready
04 Watch The Dance
05 Without Your Love
06 Designer Drug(Original by Mayer Hawthorne)
07 I Got U
08 ~INTERMISSION~(BGM“Tuxedo Groove”)
09 So Good
10 I Want Your Love(Original by Chic)
11 The Right Time
12 Here's To You(Original by Skyy)
13 Do It(Including phrase of“This Is How We Do It”by Montell Jordan)
≪ENCORE≫
14 I Love You More(Original by Rene & Angela)
15 Henny & Gingerale(Original by Mayer Hawthorne) 
16 Funkin' For Jamaica(Tom Browne)

<MEMBER>
Mayer Hawthorne(Lead Vocals)
Jake One(Production, Voclas)

Gavin Turek(Background Vocals)
Samuel Wishkoski(Keyboards, Vocals)
Christian Wunderlich(Guitar)
Joe Abrams(Bass)
Quentin Joseph(Drums)

◇◇◇



□ Tuxedo - Number One


□ Tuxedo - Do It


□ Tuxedo - R U Ready









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