JSA-WAKHOK

日本科学者会議・稚内北星学園大学班の活動とメッセージをお伝えします

浅茅野の遺骨発掘の非公式報告

2006-08-28 15:12:34 | Weblog
8/19-24の間、「東アジアの平和な未来のための共同ワ-クショップ」に
参加して猿払で旧日本陸軍浅茅野飛行場建設に係る強制労働犠牲者の遺骨発掘
を250名余の参加者とともに行ってきました。

まず、多数の募金を寄せられた方々にお礼を申し上げます。
本学からは高谷先生も参加されてインタ-ネットでの情報発信に携わられてい
らっしゃいました。また、学生3名の参加がありました。

成果について簡単に姫宮の個人的コメントを申し上げます。特に、遺骨の問題では
今後の科学的鑑定に待つところも大きく、正式な発表をご参照ください。
1) 8/24の追悼会(アイヌ式、キリスト教式、仏教式、儒教式)の時点での発表で
は、昨年の試堀で発掘した一体の遺骨に加え、今回の発掘で新たに完全遺骨に近
い一体の遺骨を発掘しました。また、10体以上にのぼると思われる骨片を合葬状
態で発掘しました。事前の文章では、今回の発掘現場は「旧共同墓地」となって
いましたが、どうやら、「旧火葬場」というのが正しく日本人の遺骨は火葬のあ
と骨壷に入れてお寺の納骨堂に安置していたのが、強制労働犠牲者の遺骨はそれ
ができないで穴を掘って合葬していたもののようです。完全遺骨に近いものは火
葬が不十分で形を保ったまま、埋葬していたらしいです。遺骨は、4つの大きな
桐の箱に収められて、浜頓別のお寺さんに預ってもらうことになりました。
2) 歴史の復元、記憶の継承という意味では1)の「旧共同墓地」と「旧火葬場」
の混乱に見られるとおり、すでに大きな困難に直面しているとおもいました。
強制労働の目撃者も当時10代後半の少年だった人もすでに80才を越え、全体的な
像を復元して資料として後世に残すのはここ数年の努力にかかっていると感じま
した。
3) 「東アジアの平和な未来のための」という点では大きな成果をあげていると
思います。参加者の6割が学生で、日本人・在日韓国人/朝鮮人・韓国人学生が共
にスコップを振るい、後半は雨の中で作業をしました。曹洞宗の僧侶はバスに
載って来たが(遺骨を発掘するというのに)こんなに明るいのでよいのだろうか?
と考えたことがあると現地開会式で述べていましたが、未来が長いというのは大
きなことです。もちろん、「遺骨を発掘する」ことを最小の一致点で集まったも
のですから、政治的/思想的/宗教的立場と国籍や生活環境の違いで簡単に了解で
きないことも多くそれはそれぞれが宿題として持ち帰ることになったと思います。
※ 現地の猿払・浜頓別の実行委員会の方々、ボランティア・スタッフの皆さんは
非常な努力を払われたと思います。鬼志別の旅館と食堂の皆さんは休業にして食
事の準備(の指揮)に当たってくれました。浜頓別高校の吹奏楽部の皆さんは特別
演奏で参加者の激励に駆けつけ、「エロかっこいい」パフォ-マンスで交流に努
めてくれました。

p.s. 私が聞いたあと数時間後の記者発表では全体として10体以上、男性であることが分かる遺骨が4体となっています。

(姫宮 利融)