印刷会社で相次ぐ胆管がんの労災認定を受け、日本産業衛生学会は22日、がん発症の原因と推定される化学物質「1、2ジクロロプロパン」について、発がんの危険性を3段階に分けた学会基準で最上位の「発がん性がある」と位置づけた。昨年の学会で定めた「おそらくある」から1段階引き上げた。今後1年かけて専門家らから意見を求め、正式決定する。
学会の許容濃度委員会が岡山市であった総会で報告し、了承された。総会では労働者の健康に許容される濃度も1ppm(1万分の1%)と正式に決めた。厚生労働省は現在、米国の基準に沿って10ppmに法規制しているが、学会決定を受けてさらに厳しく規制する。
従業員ら17人が胆管がんを発症した大阪市の印刷会社「SANYO(サンヨー)―CYP(シーワイピー)」では「1、2ジクロロプロパン」が150ppmを超える高濃度の環境だった。
許容濃度委員会で委員長を務めた矢野栄二?帝京大大学院教授は「印刷工程自体についても、がん発症との関連性をさらに検討していきたい」と話している。(足立耕作)