カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

薬物乱用が路上で暮らす子ども、若者の間で蔓延

2005年10月18日 13時31分29秒 | カンボジアの子ども
みなさんこんにちは、平野です。
国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクトにおける4つのパートナー団体のうちの1つであるMITH SAMLANH/FRIENDS(文中では“フレンズ”として表記)により、路上で暮らす子どもと若者の薬物使用についての調査が6月に行われ、英字新聞「THE CAMBODIA DAILY」に記事が出ました。今回はその記事の日本語訳を掲載いたします。路上で暮らす子ども、若者の間で薬物汚染が急速に進行していることがうかがえます。(10月17日付・小見出しは筆者による)

【より危険な薬物への移行】

プノンペンの路上に住んでいる、あるいはそこで働いている若者の間で、今年も薬物乱用が増え続けていることが、6月に実施され、9月末に刊行されたNGOの調査報告で明らかになった。フレンズの薬物プログラムによって行われた2271人の23歳までの子どもと若者に対する1日の調査で、調査された彼らのうちの半数近くが、シンナーからアンフェタミン(訳注:覚せい剤の一種)にいたる薬物を使用していることが判明した。

薬物使用者のうち61.5%がメタフェタミン(訳注:日本で一般的に言われる覚せい剤)を、20.7%がヘロインを使用しており、ともに昨年よりも増えていた。もはや路上における“入り口の”薬物となったシンナーの使用が大幅に減っていることもこの調査で分った。専門家は、2004年と比較してヘロインの使用(多くの場合注射で摂取される)が13.5%増えたことに懸念を覚える、と語る。

「私が警戒していることの一つに、静脈注射による薬物乱用があります。なぜならそれはHIVや血液を介する病気を感染する危険が最も高いからです」WHO(世界保健機構)のグラハム・ショウ氏は語る。「このことは、近い将来違法な薬物使用によるHIVの感染が、カンボジアにおける大きな健康面の、そして社会的な問題になるだろう、ということを示しています」

【加速する違法な薬物使用】

フレンズインターナショナルのテクニカルアシスタント、デビッド・ハーディング氏は、路上の子どもたちの薬物使用は異常な速度で加速していると述べる。「急速に物事が進んでいる。8年の間に、違法な薬物使用が事実上なかったカンボジアから、路上の子どもたちの間での大流行にまで発展してしまった」現在、路上に暮らす若者の77.5%がなんらかの種類の薬物を使用していることを調査は明らかにした。ショウ氏はこの増加の一因を薬物への容易なアクセスと手ごろな価格にあるとした。ハーディング氏は、ヘロインは今やヤマ(カンボジアでの覚せい剤の通称)よりも安く、瞬く間により多くの人が選ぶ薬物となるだろう、と述べた。

【20歳にして使用歴13年の青年】

ボロボロの服を着た20歳の若者が、彼がバイクの見張り番として働き、また一人で暮らす場所でもある路上の縁石に腰掛けていた。彼は名前は明かさなかったが、シンナーを吸っていることは認めた。「ちょっとシンナーを吸ってくるよ」彼は言い、「今朝はヤマも2錠飲んだんだ」と付け加えた。彼は、7歳のときから薬物を使用しているということだった。フレンズの回復プログラムは知っているし、何日かそこで過ごしたこともあるが、薬物欲しさに逃げたという。

「やめたいとは思うんだけど、でももう中毒みたいなんだ」彼は言った。「いつもドラッグのことを考えているんだ」

※写真は篠田有史さん撮影のプノンペンのストリートチルドレンです。

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