Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

脱線は「失敗」ではない「教訓である」.がんばれDMV!

2005-11-17 | Transportation
 JR北海道は,道路とレールの両方を自在に行き来し走行できる デュアル・モード・ビークル(DMV) の開発を進めている.
 私は,北海道生まれであり,機械工学や交通システムについても学んだので,北海道の鉄道とバスの事業者であるJR北海道が,交通システムの一部として,DMVを潜在的に必要としている背景は直感的に理解できる.
 厳しい冬の気候,変化に富んだ地形,現状の鉄道の駅とバスターミナルの関係等から,DMVがもつ「バスと鉄道のアクセスの融合」という利便性だけでなく様々な期待がある.

 その DMV が走行試験中に脱線し, 「道路・線路両用車両が試験中に脱線、積雪に乗り上げ?」(読売新聞 2005/11/15) と報道されている.

----------
DMVは、JR北海道が来年度中の実用化を目指して9月から連結車両型走行試験中で、脱線したのは初めて。事故当時、踏切内に約10センチの積雪があり、同社は、雪に乗り上げたとみて調べている。
----------

 おそらく,非技術系のJR北海道の幹部,あるいは,このシステムに期待していた北海道の一部の役人は,この脱線報道を耳にして,DMV開発チームへ悪い印象を持ったことだろう.

 しかし,今回の試験中の脱線は,工学的な研究開発の流れからみれば「事故」ではない.まったく幸いな「教訓」である.
 初めての冬期試験中の初期の段階で,それも,10cm程度の北海道としては少ない積雪で,車両設計上の重要な弱点について再検討できる非常にすばらしい知見を得たのだ.もし,たまたま,全く偶然に,50cm程度の積雪まで,一度も脱線することなく試験走行が続けられたあと,50cm以上あるいはそれ以上の積雪に遭遇してから,設計を見直す場合のことと比較すれば,この段階での「失敗」が幸運な「教訓」であることはすぐに理解できる.今期の冬期試験中に,何度か,脱線や凍結の「教訓」を得た方が良いのだ.

 JR北海道は「冬季試験は初めてで、今回の事故で一つの課題が浮かび上がった。実用化に向け、雪対策を強化していきたい」とコメントしていると報道されている.
 JR北海道の幹部は,この「教訓」を「失敗」と誤解しDMRの開発チームを減点法で評価することなく,開発を進めやすい環境を整備して,DMVの開発をさらに加速することを,切に希望している.


 がんばれJR北海道!,がんばれDMV!!


資料:
 JR北海道の,DMVについては, インタビュー記事 等もある.



コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 限界を突破する「学ぶ技術」 | トップ | ドラッカー先生を偲ぶ 「経... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Transportation」カテゴリの最新記事