5/16の記事 へ,きさらぎけいすけ氏から,以下のようなコメントをいただいた.
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環境省の担当者に対して、ご指摘のような要望をしても無理だと思います。http://blog.goo.ne.jp/keisukekisaragi/d/20050430 で書きましたように、彼らは数年で担当を変わります。なおかつ多くが文系出身です。基本的なことが分かっていません。
極論すれば、今の日本のひずみの多くは、いわゆる「お役人」の専門性の無さと、理系的な知識の欠如にあると、僕は思っています。
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おそらく,ご指摘のとおりだろう.
昨今の,交通,エネルギー,環境,医療などの問題をみると,日本を動かす中央官庁の官僚(事務職)の方々こそ,ある一定レベルのそれぞれの本務たる省庁の分野にかかわる専門知識が必要不可欠であると思う.
例えば,以下のような省庁では,後述のような分野で,修士レベルの教育をうけている人材が,事務官の半数程度は必要なのではないだろうか?
国土交通省: 自動車工学,交通工学,交通システム学,土木工学,環境学...
資源エネルギー庁: エネルギー学,エネルギー変換工学,電力工学,地球科学...
環境省: 環境学,地球科学,地学,生物学,化学...
厚生省: 医学,公衆衛生学,薬学,生物学,化学,環境学...
これらの「人間や地球を相手にする」ような分野では政策を検討するにも法律を立案するにも,「相手」とそこでの「現象」を理解するために,ある程度の科学的,工学的な知識が不可欠であることは容易に理解できるはずだ.
事務官が,その役所の担当分野について,ある程度の,科学的,工学的な知識がなければ,専門の技官や研究官,さらには外部の諮問員の専門家の先生方と,話しも通じないことになってしまう.
交通災害,エネルギー問題,環境問題,薬害などのトラブルや,将来の課題への戦略の欠如は,このような,事務方の,広い意味での理工医系的な専門知識の欠如が,原因の一つであるという指摘も多く聞かれる.
ここで,教育上一つはっきりしていることは,「学習の順番」の実質的な制限である.
現在の我々の高等教育の技術では,科学,工学,医学等の分野に関して,若い時期に,各専門分野ごとの,演習,実習,実験,研修などのタイプの一定のトレーニングが不可欠である.
それに対して,経済,法律,政策,行政などの,社会科学的分野は,ある程度の年齢になってから,再度専門の学習をしても,ほとんど問題はない.
つまり,上記に上げたような,分野の省庁においては,事務方であっても,上述のような科学,工学などの分野の修士卒程度のものを採用して,何年間か実務経験を積んだのちに,必要に応じて,法律や政策などにかかわる修士課程の勉強をする方が,効率的かつ,実利的であるということになる.
もちろん,ある程度は,最初から,政策のプロ,法律のプロとして訓練された人材も必要であろう.しかし,現在のように,大半が「法学部」という状況では,交通,エネルギー,環境,医療などの必然的に先端の科学や技術と結びつく分野の政策立案などは「無理」だ.問題が科学的に理解できなければ,対策がうてるはずはない.
中央官庁だけでなく,各都道府県でも,同様の人材の問題があるようだ.いずれも,その仕事を目指す若者の勉強の仕方,人材の集め方等根本的な見直しが必要だと思う.
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環境省の担当者に対して、ご指摘のような要望をしても無理だと思います。http://blog.goo.ne.jp/keisukekisaragi/d/20050430 で書きましたように、彼らは数年で担当を変わります。なおかつ多くが文系出身です。基本的なことが分かっていません。
極論すれば、今の日本のひずみの多くは、いわゆる「お役人」の専門性の無さと、理系的な知識の欠如にあると、僕は思っています。
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おそらく,ご指摘のとおりだろう.
昨今の,交通,エネルギー,環境,医療などの問題をみると,日本を動かす中央官庁の官僚(事務職)の方々こそ,ある一定レベルのそれぞれの本務たる省庁の分野にかかわる専門知識が必要不可欠であると思う.
例えば,以下のような省庁では,後述のような分野で,修士レベルの教育をうけている人材が,事務官の半数程度は必要なのではないだろうか?
国土交通省: 自動車工学,交通工学,交通システム学,土木工学,環境学...
資源エネルギー庁: エネルギー学,エネルギー変換工学,電力工学,地球科学...
環境省: 環境学,地球科学,地学,生物学,化学...
厚生省: 医学,公衆衛生学,薬学,生物学,化学,環境学...
これらの「人間や地球を相手にする」ような分野では政策を検討するにも法律を立案するにも,「相手」とそこでの「現象」を理解するために,ある程度の科学的,工学的な知識が不可欠であることは容易に理解できるはずだ.
事務官が,その役所の担当分野について,ある程度の,科学的,工学的な知識がなければ,専門の技官や研究官,さらには外部の諮問員の専門家の先生方と,話しも通じないことになってしまう.
交通災害,エネルギー問題,環境問題,薬害などのトラブルや,将来の課題への戦略の欠如は,このような,事務方の,広い意味での理工医系的な専門知識の欠如が,原因の一つであるという指摘も多く聞かれる.
ここで,教育上一つはっきりしていることは,「学習の順番」の実質的な制限である.
現在の我々の高等教育の技術では,科学,工学,医学等の分野に関して,若い時期に,各専門分野ごとの,演習,実習,実験,研修などのタイプの一定のトレーニングが不可欠である.
それに対して,経済,法律,政策,行政などの,社会科学的分野は,ある程度の年齢になってから,再度専門の学習をしても,ほとんど問題はない.
つまり,上記に上げたような,分野の省庁においては,事務方であっても,上述のような科学,工学などの分野の修士卒程度のものを採用して,何年間か実務経験を積んだのちに,必要に応じて,法律や政策などにかかわる修士課程の勉強をする方が,効率的かつ,実利的であるということになる.
もちろん,ある程度は,最初から,政策のプロ,法律のプロとして訓練された人材も必要であろう.しかし,現在のように,大半が「法学部」という状況では,交通,エネルギー,環境,医療などの必然的に先端の科学や技術と結びつく分野の政策立案などは「無理」だ.問題が科学的に理解できなければ,対策がうてるはずはない.
中央官庁だけでなく,各都道府県でも,同様の人材の問題があるようだ.いずれも,その仕事を目指す若者の勉強の仕方,人材の集め方等根本的な見直しが必要だと思う.
「霞ヶ関の理工系官僚との交流を深める会」を結成して、お話を伺う機会を作って頂くとか、できるといいですね。理工系出身の議員の方にも声をかけて。
もう少し,時間的余裕ができたら,考えたいとおもいます.
僕の大学の指導教官はその大学のとある長を務めていて、ここ数年来の大学の独法化等で文部科学省の担当者と長いつきあいがあるのですが、「3年で交代するおかげで事情をイチから説明しなくちゃいけないし、文書で残しておかないと約束も守ってもらえない」と嘆いていました。