ほんちゃんの古寺巡礼

仏像めぐり(見仏)、御朱印集めの軌跡を記す、古寺巡礼ブログです。

120年ぶりの里帰り

2007-05-20 22:38:21 | 展覧会レビュー
今回は若冲展を(2007/05/18訪問)。
ビックリしたのは会場である承天閣美術館の変貌振り。
今回の里帰りを迎える相国寺サイドの思いの強さが伝わってきました。
宮内庁との20年以上の交渉を経て実現させたのだからひとしおでしょう。

会場は少々混雑していたものの、スムースに動ける程度で問題なし。
水墨画や障壁画をひとつひとつ鑑賞するごとに
いよいよあいつが近づいてくるぞと気持ちが盛り上がります。
金閣の襖絵がそのまま移築されてきたことに特に驚きました。

そして、動植綵絵30幅と釈迦三尊像のそろった姿はまさに壮観。
約250年前の作品なのに、鳳凰もアジサイも鯛もオタマジャクシも、
まるでついさっき描き上げたかのようにみずみずしい。
これでもかっ!というくらい丹念に写実的に描かれていましたよ。
「山川草木悉皆成仏」という若冲の信念が結実した傑作です。
今回の里帰りを最も喜んでいるのは、草葉の陰の若冲自身なのかもしれません。

重源上人と再会

2007-01-17 22:24:47 | お寺レビュー
今回は東大寺俊乗堂を取り上げます(2006/12/16拝観)。
三月堂→四月堂→開山堂(特別開扉)→二月堂とまわって、
昼食のきつねうどんを食べた後、いよいよ俊乗堂へ。
俊乗堂は、鎌倉時代に東大寺を復興した重源上人をまつる御堂で、
大仏殿から二月堂へ向かう途中にある鐘楼のそばにひっそり建っています。

御堂に上がると、中央の壇に重源上人が。
実は2006年にこの展覧会で一度お会いしています。
とはいえ、本来のお住まいでお会いするのは初めて。
正面にまわって上人と再会。ものすごくきりりとした老僧です。
力のこもった眼差しと首や額や顔に刻まれた皺が印象的でした。
ご本人はきっとこんな方だったんだろうと納得するくらい。
そういえば、上人は勧進行脚をしているときに、
作業の見張り用に自分の像を作らせたとか。
私が見張っているからちゃんと働きなさいってことですね。
このくらいリアルだと、当時の人たちは見張られてる感じを受けるだろうなあ。

この日はイベント日(良弁僧正の命日)だから、
開山堂だけでなくこの御堂も特別に開いていました。
重源上人の命日にあたる7月5日には無料で御堂に上がれますよ。
俊乗堂御朱印「重源上人」

執金剛神に会う

2007-01-14 21:41:33 | お寺レビュー
今回は東大寺三月堂を取り上げます(2006/12/16拝観)。
毎年一年一度この日に開扉される執金剛神(しゅこんごうじん)を目当てに
朝一番の新幹線に飛び乗って9時半過ぎに東大寺へ到着。
開扉日がちょうど週末の休みに重なったので、ここぞとばかりに足を運びました。

靴を脱いで三月堂に上がりこむと、人がわさわさ。
この日だけ開いている須弥壇正面右の柵を抜けて・・・
1)まずは横のアングルから、梵天、四天王(持国・多聞)とご対面
2)裏面に回って執金剛神とご対面
3)さらに須弥壇正面左から、帝釈天、四天王(広目・増長)とご対面
4)正面に回ってご本尊不空羂索観音、日光・月光、金剛力士とご対面
こんなサイクルを3回繰り返しました。

厨子を見上げるようにして執金剛神と対面。
説明書きによれば、どうやら背丈は私と同程度。
目を合わすと、おっかない。今にも突き殺されそうなくらいの迫力。
目と口をカッと開いて、腕には血管が浮き出て。
そして、天平時代に造られた像にもかかわらず、
あちこちに彩色の残っていることが驚きです。
東京の国立博物館に明治時代の模造品が展示されているので
興味をお持ちの方はどうぞそちらもご覧ください。
背中の彩色も見ることができますよ。

この日の特典は、普段は見ることのできない角度から、
須弥壇の諸仏と対面できることでしょう。
壁沿いに設置された台に腰掛けてじっと見つめました。
間近で眺めるとまた趣が違いますよ。
仏様のギュウギュウ感がさらに増加します。みんな巨大だもの。
とりわけ四天王はいつでも守護のために諸像をなぎ倒してでも動き出しそう。

この日のご本尊は頬をぷくーっとさせている印象が強かったなあ。
己がそうだといっておられるのかな?
私の場合は、単に頬に肉が付いただけだと思うのですが。
御朱印「執金剛神」

空也上人の踊躍念仏

2006-12-03 19:58:44 | お寺レビュー
今回は六波羅蜜寺(2006/09/26拝観)。
この日は京都市内を朝から自転車で移動して、最後に立ち寄ったのがこのお寺。

まずは本堂でご本尊に線香を上げてお参り。
そして廊下を伝って収蔵庫へ。上人に会えると思うと胸が高鳴ります。
収蔵庫では鬘掛(かずらがけ)地蔵がお出迎え。
作務衣を着た東京弁のおじさんが案内してくれました。
その脇に空也上人が!
筋肉や体重移動、表情の表現が見事な活き活きとした作品です。
この像は60過ぎの姿だという説が有力の模様。
しかし、私には30代あるいは40代の働き盛りの踊躍に見えましたよ。
さらに夢見地蔵の前で意識を集中。穏やかな落ち着いた表情が印象的。
このような境地を自分に取り込みたいものですね。

六波羅蜜寺ホームページ
http://www.rokuhara.or.jp/
六波羅蜜寺御朱印「六波羅蜜」

来迎演出を背にした阿弥陀様

2006-12-02 18:11:15 | お寺レビュー
今回は浄土寺(2006/09/25拝観)。
秋の見仏旅行のメインイベントのひとつでした。旅の前からワクワク。
鶴林寺からJR加古川線と神戸電鉄を乗り継いで小野へ移動。
駅前からタクシーに乗って15分ほどで3時ちょっと前に浄土寺に到着。

浄土堂には先客が3人ほど。さすがに平日は空いているようです。
秋分の日には団体客が多数詰め掛けたとのこと。
浄土堂は建築も仏像も特徴だらけの御堂です。
なかでも、最大の見所は御堂に西日を取り入れて
快慶作の阿弥陀三尊を後ろから照らし出す来迎演出でしょう。
(実際の様子は下記リンク先を参照ください)
http://www.ip.kyusan-u.ac.jp/J/landscape/data/20051203/koizumitaka.pdf

西に向いた蔀戸(しとみど)を通過した太陽光が、
床→天頂の順に反射して阿弥陀三尊を照らす仕組みです。
電力やろうそくによる照明はまったくありません。100%天然光。
緻密な計算を基盤に作り上げられていることが伝わってきましたよ。
ピークが近づくにつれて阿弥陀如来と脇侍(観音菩薩と勢至菩薩)の背後が輝き、
頬が染まっていく様子が強く強く印象に残りました。見ててまったく飽きません。
結局120分をこの御堂で過ごしました。

次回は夏至から盆の間にぜひ訪れたいものです。
堂内に取り込まれる光量が最大になるので、
阿弥陀三尊が浮き上がるように見えるとか。旅の後でもワクワク。

浄土寺浄土堂御朱印「瑠璃光殿」