カルデロン・アラン・クルズ一家に在留特別許可を!

本ブログは、カルデロン一家の在留特別許可取得に向けての活動を報告するものです。

ノリコの意思の尊重を!

2009-03-11 11:14:23 | 弁護士から
今般,人権理事会の特別報告者から日本政府に寄せられた照会の内容は下記のようなものであることが明確になりました。



 【ノリコ・カルデロンに関する照会

1 上記要約に主張されている事実は,正確か

2 カルデロン・ノリコ本人もしくは代理人から不服は申立てられたか?もしそうなら,本件に関して行われたと思われる何らかの調査,及び司法もしくはその他の審理の詳細を,そして可能であればその結果を教示されたい。もし審理が行われなかったならば,もしくは審理の結論が出ていないなら,その理由を説明されたい。

3 カルデロン・ノリコの教育の権利は貴政府によりどのように保障されているのか,情報を提供されたい。

4 (日本)政府は,子どもの最善の利益という法的原則の実施,ひいては少女カルデロン・ノリコが家族とともに過ごせ,学校に通い続け同世代の子ども達と社会的関係を発展させ,さらに彼女の両親の(入管法上の違法な)状態に基づいた差別から保護されるため,何らかの方策を講じたか。それらの方策の実施につき,詳細及び可能であればその結果を教示されたい。もし何の方策も採られていないなら,その理由を説明されたい。

5 日本で外国人の両親から生まれた子どもを保護するための法的枠組みにつき,情報を提供されたい。子どもの両親の入管法上の(違法な)状態を理由に適用可能な法律の違いが生じる場合は,その違いに言及されたい。】



 日本政府は,これらの照会に対して現在回答を準備している段階です。


 その回答をする段階である現在の時点で,入管はこの家族を丸ごと収容し退去しようとしているということです。



 この質問に示されている内容から,特別報告者の基本的な見解を読み取ることができます。つまり,この子どもに対して,「教育の権利が与えられなければならないこと」「ノリコが家族とともに過ごし,学校に通い続け同世代の子ども達と社会的関係を発展させることが,子どもの最善の利益にかなうこと」,さらに「両親の入管法上の違法な状態に基づいた差別から子どもは保護される必要があること」が示されています。


 今回の日本政府・入管がとろうとしている手続はこの見解に比べて異質のものとなっていることは明白です。両親の帰国意思の明示的な表明がなければノリコを保護しないと言っています。それは「両親の入管法上の違法な状態に基づいた差別から子どもは保護」されなければならないとする立場とは対極にあります。両親が自ら帰国する意思を明示しない限りノリコも収容・送還しようというのですから,それは教育の権利を奪い,同世代の子ども達と社会的関係を発展させようとする子どもの最善の利益を真っ向から否定するものです。

 しかも,今回私が最大の問題と考えるのは,ノリコの保護を両親の意思に従属させようとしていることです。子どもの権利条約12条1項には「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する」とあります。ノリコは自らの意思によって,どんなことがあっても日本に過ごしたい希望しています。そしてそのことは入管にも伝えています。法務大臣はノリコの在留を認めることはできるとしました。そのことを認めておきながら,その在留保護を両親の意思に従属させようとするのは矛盾です。




 これまで,家族は3人での在留を求めてきましたし,その考えは本日までのところ変化はありません。ただ,どんな形になっても,ノリコは残したいというのも両親の気持ちであり,ノリコの意思でもあります。

 このノリコの意思を尊重する手続のとられることをこころから願っています。


以上


2009年3月11日
弁護士 渡辺彰悟

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