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仁淀川・四国カルストジオパーク 推進協議会ニュース 第8号

2010-12-11 | 2010年12月の記事

仁淀川・四国カルストジオパーク 推進協議会ニュース 第8号

 

空海弘法大師と水銀

前回空海弘法大師、四国霊場88カ所と銅鉱山、水銀のお話しをしましたところ、殊の外反響が大きく、面白かったとの声を頂きました。今回もその続きの話をしてみましょう。 

 空海は遣唐使船に乗り、唐の都長安へ渡り、そこで真言密教の教えを受け、恵果阿闍梨から密教の法門を継ぐ8代目として伝灯大阿闍梨位を受けました。また別に多くの密教法具を求めて来たともともいわれます。それを実現した財力も鉱山探査によって得た金銭の賜物だったのかもしれません。


 当時、水銀は青銅などの仏像に水銀アマルガム法を用いて、鍍金して金銅仏を作るために必要な貴重な物でしたから、大変高価でした。また、不老不死の薬としても珍重されていもいました。特に中国の皇帝に愛用されており、それが日本に伝わり飛鳥時代の持統天皇も若さと美しさを保つために飲んでいました。 

現代から見ればまさに毒を飲んでいるに等しい行為です。水銀服用で始皇帝を始め多くの権力者が命を落としたといわれています。

古代日本でも水銀は大変貴重なもので天照大神の妹神の稚日女尊(ワカヒルメノミコト)は「ミズカネ(水銀)の女神」です。空海を高野山へ導いた丹生都比売は稚日女尊の娘なのです。 

彼らは中央構造線にそって水銀を求めて九州・四国・紀伊を縦断していったとされています。また空海の時代仏教画の曼陀羅を描くのにもあの鮮やかな朱色を出すためには「水銀」を用いたのです。 

四国山地の中央構造線やその周辺にはこのように多くの水銀鉱脈が存在しているのです。丹生は古代の日本で水銀を産する土地につけられた名前です。「にぶ」「にゅう」「にう」「にほ」と読む地名、「丹生」「入」「仁宇」「仁保」と書く地名はまず水銀に関係があると思われます。 

suigin1.jpg                                         水銀鉱石

 

絵金の赤絵も水銀から 

suigin2.jpg

                                     絵金の血赤(水銀)

本年11月初旬前高知工科大学副学長鈴木朝夫先生が地質館を訪問した時に面白い話をしてくれました。絵金の血赤の色は丹生即ち水銀の赤であると言うお話しです。あのおどろおどろした、血赤の色は水銀の赤だったのです。

熊本市現代美術館に貸し出していた絵金の絵5点が薫蒸処理の誤りで黒く変色した事件がありました。これらの絵に使われている「赤色は水銀の赤ですよ。」と教えてくれました。絵金もこの高価な水銀を使って彼独特の「血赤」を作り出していたのです。

このように水銀は古来から大変貴重で価値のある鉱物だったので、多くの人々が水銀を求めて各地を渡り歩いています。四国にもこのように水銀に関係のある土地が多く存在します。水銀の丹生(ニウ)の音から、入郷、荷尾、壬生などの地名などが生まれています。

越知町、佐川町には「壬生」(ミブ)さんと言う姓がありますが、この壬生の姓は古代水銀の採掘などに関係した豪族の姓だと言われています。このように四国でも水銀に関係した地名や姓がたくさんあり、その関係の深さが分かります。

我々の回りに存在する空海弘法大師にまつわる伝説や言い伝えを今一度掘り起こして、その話の内容を検証して、推論しながら新たなジオストーリー(物語)を考えてみるのも大変面白い物です。又それが話題となり、観光へとつながるかも知れませんね。  

 

 

HN:仁淀川

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