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第9地区

2010年04月10日 22時06分24秒 | 映画 た行
評価:★★★★★【5点】


『クローバーフィールド』『トランスフォーマー』『ターミネーター4』!

もっと言うなら『インデペンデンス・デイ』に『宇宙戦争』と
『プライベート・ライアン』に『ランボー/最後の戦場』など
これらの美味しいところを無駄なくつまみ食いしたような贅沢さ。
もちろん、なんとかコメディのようにワザとネタをパロってるわけではなく
真面目に、ストーリー的に“それも有り”かなと思わせてしまうから凄い。

もう、初っ端から惹き込まれていってしまいました。



南アフリカ出身の新鋭ニール・ブロンカンプ監督が、ピーター・ジャクソンの
全面バックアップで長編デビューを飾り全米でサプライズ大ヒットを記録する
とともに、その独創的なストーリーが絶賛されたSFアクション。

巨大な宇宙船が漂着し、異星人を難民として受入れることになった
南アフリカを舞台に、異星人と地域住民との軋轢が深刻化する中、
当局の新たな対応が思いもかけぬ事件を招いてしまうさまを
ドキュメンタリー・タッチの語りと大作映画に引けを取らない
驚異のヴィジュアルで描き出していく。
<allcinema>



冒頭からいきなり、もうすでに状況は出来上がっていたんですね。
話的には巨大宇宙船が南アフリカ・ヨハネスブルグ上空に現れてから
20年が経過している現代だったんです。
ドキュメンタリー・タッチの序盤には伏線映像がしっかりあります。
宇宙船からの落下物、主人公が妻に“そっと”送ったプレゼントなど。

【ココからネタバレぎみです。要注意】

故障した宇宙船の巨大さにまず圧倒される。
当然、これなんかはCGなんでしょうけど、最近のCG映像は
まるで本物と見分けが付かないくらい優れている。
上空に留まっているために空気の汚れなどで霞んで見え
わずかながらボカして遠近感をしっかり表現する緻密さがなかなかいい。

さて、この難民として受け入れざるを得ない状況になった南アフリカにある
超国家機関MNUが、地域住民との共同区域、第9地区のスラム化に
対して一策を投じる。新たなプロジェクト責任者にエイリアン課の
ヴィカスという青年を任命する。

ヴィカスはさっそく、カメラマンと護衛を引き連れ、第9地区に出向き
エイリアンらの住居に訪問し一軒一軒、立ち退き通告をする。

いや~!これは可笑しかった!
トタンで囲んだだけのあばら家から出てきた彼らはまるで人間みたいに
「なんだよう!聞いてない!」だとか「いきなり出てけだと?」
「ココはオレん家じゃないし」みたいな、立ち退きを拒否する態度に吹き出した。
言葉は、発音は宇宙語のようですが英語を話しているようです(笑)

このヴィカスという男、どう見ても、やり手には見えないんですけど。
エイリアンとの交渉の仕方が、あまりにもあっさりしていて
ことごとく拒否され続ける情けなさが、本人も分っているんでしょうね。
留守宅に入って行って、武器らしきものを発見すると、カメラマンに
それを撮影させ、没収し自分の仕事ぶりをアピールするわけです。

そうしたなか、ある小屋から見たこともないカプセルを発見し
触っているうちに、中身の一部が吹き出し、顔に浴びてしまう。
直後に嘔吐をし、腕に怪我しながらも、なんとか成果を残し帰社する。

帰ると、いきなりの昇進サプライズ・パーティーの場で倒れ病院に搬送される。

この辺りまでは、まさにドキュメンタリー・タッチで
ヴィカスというレポーターによるニュース映像でも見ているような感覚になる。
そして、国家機関MNUに隔離搬送されて驚異の展開に突入していくわけですが、
ココからのテンポの良さは、近年まれな映画ではないでしょうか!

ヴィカスはMNUラボでとんでもない行為が行われている事実を知る。
そしてエイリアン・ウィルス(?)に感染した彼は、徐々に変化していく自分の
体に対してMNUは、そのDNAを採取するため彼の臓器からすべてを
取り出す計画を画策し、実行に移そうとするまさにそのとき、ヴィカス自身も驚く
凄いことが自分に出来てしまうんです。

外部と完全遮断されたMNUのラボから、命からがら脱走し
国家機関から追われる立場になってしまうんです。
彼が逃げ込んだ場所というのが、彼らに立ち退き通告をした第9地区という皮肉。

MNUに雇われている傭兵部隊がヴィカスの捕獲に乗り出し第9地区に
そして第9地区には、エイリアンらをエサに生きているギャング団が居て
逃げるヴィカスを匿うエイリアン親子との友情で、一気にヒートアップしていく。


本作は、小心者ヴィカスが窮地を救ってくれた難民親子と触れるうちに
人間的に成長していく姿を描いているんだと思います。
ラストで消息不明となった夫を想う妻が、玄関に置かれた手作りの花をみて
とっさに、これは夫のヴィカスが置いて行ったと言うくだりは涙ものです。


これは良かった!
アカデミー作品賞ノミネートで期待はしてましたが、まさかココまでとは!



おまけ)
・『アバター』のクオリッチ大佐のAMPスーツもどきが登場!
 しかも着用口がトランスフォームし、ヴィカスの意志だけで自由に動く。
 
・難民となったエイリアンたちは劇中180万人から最後は250万人に。
 奴らは卵から孵化するらしい。卵を燃やすとポンポン弾ける。

・劇中、音響に対する感動が2回あった。『宇宙戦争』を彷彿させる。
 そういえば、エイリアン武器に当たると木端微塵も似てるな。

・傭兵部隊のクーバス大佐が『プライベート・ライアン』のミラー大尉に見える^^

--------------------------------------------------------------
監督:ニール・ブロンカンプ
脚本:ニール・ブロンカンプ/テリー・タッチェル
撮影:トレント・オパロック
音楽:クリントン・ショーター


出演:シャールト・コプリー/デヴィッド・ジェームズ/ジェイソン・コープ/
    ヴァネッサ・ハイウッド/


『第9地区』

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14 コメント

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わお!五つ★ですか! (ぺろんぱ)
2010-04-11 15:03:33
こんにちは。

この週末の鑑賞はきっとitukaさんと被る気がしていました!
私も昨日観てきました。
仰る通りいろんなSF映画を想起するものがありましたね。私はitukaさんのご指摘に加えて『E.T』の世界を感じましたよ。(*^_^*)

>人間的に成長していく姿

そうですね!
あ、そういう意味では『アバター』の世界も入っていたるするのでしょうか。観ている時は感じませんでしたが。

>音響に対する感動が2回あった。『宇宙戦争』を

私もそうです。(^^)
アレって異界との接点に立たされた感がありますね。

印象に残る一作となりそうです。

返信する
おっと、またも被りましたね! (ituka)
2010-04-11 21:31:46
ぺろんぱさん こんばんは。

あ~!『E・T』!確かに(笑)
あのヴィカスにキャンディを投げつけて、恩を仇で返すな!と言われてた子エイリアン^^;
いや、このエイリアン全部の目元が“そんな”でしたね^^

『アバター』のジェイクほどの活躍はないですが、自分の命を賭ける行為は同じに感じました。

>アレって異界との接点に立たされた感がありますね。

ほんとうに、あれですよ!ぺろんぱさんは上手い表現だなっていつも思ってます。
“異界との接点”ちょっとブリキっぽい音にも感じましたが
あの超重低音はお腹に響きまくりましたから(笑)
返信する
一輪の花 (オリーブリー)
2010-04-12 00:04:10
リアルなモキュメンタリー映画でした。
ほんと、これまでの色んな作品の要素があるけれど、目新しくて斬新で皮肉タップリで笑いまで忘れない!
何でしょう~この感覚は(笑)
アイディア溢れる充実した映画でしたね♪

少し前までアカデミー作品賞は、重苦しくて難解で一般感覚の観客は置いてきぼりかい?!と思う年もありましたが、ここ数年、風は大衆化してるのかしら~ありがたや(笑)
返信する
☆兄ィが5点!☆ (TiM3)
2010-04-12 00:38:56
なかなかツボに入ったようですね(=^_^=)

近くのシネコンで流してくれたら最高なんだけど・・
返信する
そうだ!あの花 (ituka)
2010-04-12 21:48:48
オリーブリーさん こんばんは。

あれを作ってたのは居残り難民のだれ?(笑)
冒頭は、ヴィカスの“口撃”に字幕文字を追うのが必死でした^^;

本作は、こんな作り方もあるんだよ!と監督らのアイディア勝利でしたね。
何故か不思議と余韻に浸れる、そんな映画でしたね^^

>ここ数年、風は大衆化してるのかしら~ありがたや(笑)

本来、こうでなくてはいけなかったんです。
やっと、アカデミー審査員のみなさんも頭が柔らかくなったのでしょう(笑)
と、いうか数千人いる審査員が若返ったのかも^^;
返信する
密度が濃いから (ituka)
2010-04-12 22:02:39
TiM3さん こんばんは。

笑いあり、涙あり、最後はハッピーエンド!
とはいきませんが、とにかく期待以上で大満足でした。
『アバター』以降、それ相当の作品はしばらく出てこないだろうなと思ってたところにこれです^^

ちょっと、ホッとしたというのもあるのかもしれません^^
返信する
☆観て来ました~☆ (TiM3)
2010-04-17 22:51:57
中盤以降は、興奮しまくりでした(=^_^=)

左手でロケット弾をキャッチする辺り「この演出スタッフは、分かってる!」と心の中で叫びましたもん(=^_^=)

>冒頭からいきなり、もうすでに状況は出来上がっていたんですね。

あれは『ゾンビ』の冒頭みたいでした(=^_^=)

いやぁ、楽しかった♪
返信する
おぉ~! (ituka)
2010-04-18 02:04:00
TiM3さん こんばんは。

でっしょう!
これは間違いなく、ひとにお薦めできる作品です^^

>左手でロケット弾をキャッチする辺り「この演出スタッフは、分かってる!」と心の中で叫びましたもん(=^_^=)

そうなんですよ。ワタシもその瞬間、「ヨシ!」と思いましたよ(笑)
それにしても、半ロボットのダメージと比例してヴィカスもグロッキーになる辺り
相当な労力なんでしょうか?(笑)

続編にサミュエル・LL・クール・ジャクソンが
『第10地区』を牛耳るボスだったらツボですよね(爆)
返信する
こんにちは~☆ (kira)
2010-04-18 12:48:57
記事を書くのがやっとで、
まだ皆さんの記事も見にいけませんでした。
TB,ありがとうございます。

面白かったですね。
私も色んな作品が過ぎりましたが、斬新さにおいて某大作より
コチラにオスカーを取って欲しかったくらいでした♪
返信する
異色のSF映画 (ituka)
2010-04-18 17:26:55
kiraさん こんにちは。

二コちゃんマークの『月に囚われた男』を最も観たいと思っている今日この頃。

本作はそこそこの期待を持って劇場に行ったんですが
鑑賞したら期待以上だった!という満足感からか2回観てしまいました(笑)

ワタシもこの作品を鑑賞したあとに、特別賞くらいあげてもいいのでは?と思いました。
因みに“低予算でもアイディアでヒットしたで賞”なんてね(爆)
製作費÷興行収入の値で贈るってのは分りやすくていいと思うけどな~^^;
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