一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

73.渋沢温泉

2005-06-20 23:46:07 | 長野
金島を皮切りに川原湯、八ツ場4湯など、多くの名湯が点在し、草津・万座へのアプローチでもある吾妻川沿いのR145は、温泉フリークならば冷静には走れない道だ。
そのR145も、三原で万座への道を分け、かの「平治温泉」を過ぎると俄然落ち着きをとりもどす。道はこれから鳥居峠をこえて信州小県へと入っていくのだ。

鳥居峠をこえてすぐの道沿いにこの名湯はある。黄色い建物は豪華でもなく旅情をそそる鄙びでもない。周囲の風景に溶け込んでいるともいえず、佇まいで客を引き込めるお湯ではない。

男女別に内湯がひとつのみとシンプルな浴室は、扉を開けると金気臭がかったやわらかな温泉臭がただよっている。
木の囲いのなかの金属パイプから透明なお湯が湯量を変えながらこんこんと湧き出て、湯船のふちからさわさわと溢れ出ている完ぺきなかけ流し。

ややぬるめのお湯は薄い緑黄色透明で弱金気臭。湯口には貝汁のような新鮮な鉄臭にかすかな硫化水素臭が混じり、昆布スープのようなだし味。弱いキシキシ感のあるお湯には、えもいわれぬおだやかな浴感があって、いつまでも浸かっていたくなる。
なんということもない源泉スペックだが、泉源が近いらしく、とにかくお湯が溌剌としている。チラシにも「地下500メートルから湧きあがる天然温泉をそのまま湯船に広げたら40度になりました」とある。

客が入ってきても気づかいすることなく浸りつづけることのできる適度な広さの湯船と、鮮度を落とすことなくそれを満たす投入量。窓の外には疎林が広がり、うすく窓を開けると山の涼気がほてった顔にここちよい。いいお湯の条件は意外とこんなところにあったりもする。

なかなか行きにくいエリアにあるが、通りがかったときにはまちがいなく”入り”の一湯である。(地粉を使った蕎麦も美味しいらしい)

単純温泉 42.0℃、pH=8.25、湧出量不明、蒸発残留物=554mg/kg、Na^+=189mg/kg、Fe^2+=7.6、F^-=3.0、Cl^-=141、HCO_3^-=301、メタほう酸=25.8、遊離炭酸=19.3 <H元.8.8分析>

文・画像 別働隊@うつぼ

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