一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

71.佐野川温泉

2005-12-10 22:57:29 | 山梨
日帰り温泉ブーム以前、広い露天風呂といえば温泉旅館の独壇場だった。
昭和63年、竹下内閣のもと”ふるさと創生資金”として全国の市町村に一律1億円が交付されたのを契機に日帰り温泉がブームが巻きおこった。(話は逸れるが、この”ふるさと創生資金”はバラマキと評され、ずいぶんと笑える使い方をされた例もあったが、地方ごとのものの考え方が出ていて個人的にはけっこう面白い政策だったと思っている。)

公的資金の入ったいわゆる”センター系施設”の目玉となったのが、広い露天風呂だ。
各地で雨後のタケノコのごとく増殖した温泉施設は、掘削して得た源泉の湯量も湯温も泉質もかえりみずに、ひたすら露天風呂を造りまくった。以来、露天と温泉の関係は切り離せないものとなり、非温泉のスパ銭施設でも露天風呂があれば温泉と思って入っている人は意外と多い。

山梨南部にある佐野川温泉は、日帰り温泉ブームのはるか前から、日帰りのできる広い露天風呂として知られていた。だが、山梨南部というと、さして有名な温泉もなく、32℃の広い露天といわれても、池のようなところに無理やり入る”キワもの的”なイメージしかなかった。当時は温泉といえども、40℃くらいはないとまともに入れないものと思いこんでいた。

各地のぬる湯を巡るにつれ、そのよさが次第にわかるようになり、なぜに佐野川が人気を集めているのか未湯ながらうすうす想像はついていた。ただ、山梨南部という行きにくい立地から、その入湯は遅れに遅れた。

平成15年の晩春、ついに入湯を果たした。
富士川支流佐野川沿いにあるここは、静岡との県境にほど近く、駐車場には静岡ナンバーが目立った。あたりはほとんど人家もなく、自然あふれるところだ。

内湯もあるが、なんといっても人気があるのが混浴の露天だ。ほとんどの女客は湯浴み着を着ていて、世間話をしながら悠々と長湯を楽しんでいる。多くの客が湯口のそばに集結しているのは、鮮度、湯温ともにここがいちばん高いからだ。

冷たいくらいのぬる湯は、甘いイオウ臭にアワつきと、人気温泉の二大要素を備えている。予想していたヌルすべはさほどでもなかったが、負担の少ない浴感なので、いくらでも長湯でき、そのうちにジワジワと内側からあたたまってくる。このへんの微妙な入浴感が根強いファンをつかんでいるのだと思う。

一般に、山梨には硫黄泉は少ないと思われている。たしかにしぶ焦げイオウ臭立ちのぼるこれみよがしの白濁硫化水素泉はないが、ほんのりと甘いイオウ臭香る良泉は各地に点在している。
塩沢温泉「信甲・館」、奈良田温泉「白根館」碇温泉、湯沢温泉「不二ホテル」はやぶさ温泉などが代表格だが、泉質名に”硫黄”が入ってくるものは少ない。
佐野川温泉は総硫黄7.6mg/kgを誇る本格的硫黄泉で、その意味でも山梨を代表する硫黄泉として、不動の地位を確保していると思う。

なお、平成17年春に大がかりな改装がなされ、名物の露天は男女別浴となっているが、改装後は入湯を果たしていない。

単純硫黄温泉(Na・Ca-Cl型)
31.5℃、pH=9.68、98.3L/min自噴、総成分=0.644g/kg、ラドン含有量=0.38×10^-10キューリー (0.10マッヘ/Kg)、Na^+=191.3mg/kg (77.32mval%)、Ca^2+=47.8 (22.21)、Cl^-=271.4 (81.58)、HS^-=7.6、HCO_3^-=54.8 (9.58)、硫化水素=---- <S61.2.5分析>

佐野川温泉(改装前)のレポはこちら。(関東周辺立ち寄り温泉みしゅらん「特集クチコミ情報」)


文・画像 別働隊@うつぼ

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1 コメント

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改装後も人気です (なまずのホイホイ)
2005-12-16 02:11:02
>なんといっても人気があるのが混浴の露天

下部温泉の源泉館、不二ホテル、佐野川温泉、十谷温泉と峡南地域の名湯は混浴があたりまえだったようです。佐野川温泉の露天風呂は入浴客がいなければ庭にある大きな池でした。



改装前の内湯は、かなり貧弱で、洗い場も二人分しか無かったのが、改装後の内湯は随分とゴージャスになり洗い場も5,6人がゆったりとシャワーも使える快適な設備へとグレードアップしました。



で、名物だった混浴の露天は竹垣もどきのプラスチックの垣根で男女をしっかり区切った完璧な男女別の露天風呂に変身した訳ですが、風情が減ったと嘆く方もいれば、混浴が苦手だった方にはとても喜ばれているようです。肝心な源泉掛け流しは従来と同じなのですが、排湯(水)がオーバーフローに違いは無いのですが、豪快に溝へ流れていたのが口径7~8センチのパイプへと吸い込まれていく様を見るようになり、多少の寒さを感じるのであります。 毎日お掃除して下さいとも言えないのが日帰り客の弱みかな?