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【あらすじ・感想】文庫版・『ガラスの仮面』第02巻【ネタバレばれ】

2014-09-17 10:32:12 | ガラスの・・・あらすじ
※※『ガラスの仮面』文庫版読み返してます。あらすじと感想まとめてます。※※
※※内容ネタバレ、感想主観です。※※


仮面年表は こちら
紫のバラ心情移り変わりは こちら

49巻以降の話、想像してみた(FICTION)*INDEX*はこちら

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『ガラスの仮面』文庫版第02巻 ※第2章(途中から)※第3章(途中まで)

第2章 炎の階段


『若草物語』のベスとして過ごすうちに、マヤは心の底からベスの気持ちを
吸収してしまった。
立ち振る舞いや言い回しなど、いつものマヤとは全く違う
人見知りで引っ込み思案なマヤ、そう
「ベス」と声をかけても返事をしてしまうくらいに・・・。

一週間後の適性テストの日、密かに鍛錬を積んでいた水無月さやかを含めた4名とともに、
マヤは稽古場内の椅子に静かに腰かける、ベスとして。
10分、20分、時は流れるが椅子に座る以外に与えられた課題はない。
徐々に集中力を切らしていく他の団員に比べマヤは一人、実に自由にベスとしての時間を
過ごし続けた。
1時間半ほど経過したその時、もうマヤのベスを否定する物は劇団の中に
一人も存在していなかった。

ピアノが得意なベスの役をつかむため、桜小路の家でピアノを習うマヤ。
「いつか一緒にお芝居できるといいね」
そんな桜小路の言葉に心をきゅんとときめかせるのだった。

ある雨の日、桜小路に借りていたピアノの教本を返しに行くと、
桜小路の母がマヤのような家柄の人とつきあうなと言っている声を聞いてしまう。
ショックを受けたマヤは、そのまま一人公園で雨に打たれ続けるのだった。
ベスの最重要シーンである、猩紅熱にかかって重態に陥るシーンを演じるためだけに・・・。

劇団つきかげ 創立第1回公演初日 @アート劇場

会場には姫川母子、大都芸能の速水真澄、劇団オンディーヌの小野寺や
有名演劇評論家、新聞雑誌記者も多数も来ており、
とても単なる新規創設劇団の初公演という雰囲気ではなかった。
『紅天女』の上演権を狙う真澄、すべては彼の差し金により、
批判的な評論で劇団つきかげをつぶしにかかろうとしているのだ。
異様な雰囲気の中、幕が開く。

舞台は順調に進んでいた。
ベスを演じるマヤもそつなくこなしている。
しかしその時実は40度もの高熱にうかされている状態だったのだ。
その事実を知った桜小路、亜弓は、およそそんな雰囲気を感じさせない
マヤの演技に驚愕する。
そしてもう一人、速水真澄もまた、それほどまでにひたむきに演劇に
打ち込むマヤに激情を禁じ得なかった。

劇は進み、途中意識がもうろうとしながらも舞台上で
どんどん輝きを増すマヤに、亜弓は驚きと焦りを、
真澄はもてあますほど抑えきれない心の抑揚を感じていた。
そしてクライマックスのベスの高熱シーン、
観客は皆、息を飲んで舞台に釘づけとなった。

終演後、真澄はいいようのない敗北感に包まれていた。
中学生の少女がどうしてその小さな体にあれほどまでの
情熱を燃やすことができるのか、自分の人生にあれほどの情熱は
果たしてあっただろうか・・・。
帰りの車の中でふと目に留まった花屋の店先にあった紫のバラ、
真澄はその珍しいバラをありったけ花束にして劇場に戻って行った。

舞台を降りるなり倒れこんでいたマヤ、
その控室前におかれた紫のバラの花束、そしてメッセージ
“早く元気なベスになってください あなたのファンより”

どんどん自分の所へ向かってくるのを感じるマヤの足音、
誰よりもシビアに、ストイックに演劇に向かう亜弓は、
マヤのこれまで、そしてこれからを確信していた、
しかしつねに私はあの子の上に立つ!

10以上も年下の少女に花束を渡そうとしている、
そんな自分に直前で言いようのない戸惑いを感じた真澄、
彼女は気付いただろうか、そのまま置いてきたあのバラに。
そしていつか、彼女にも恋する女を演じる日が訪れるのだろうか・・・
1輪残した紫のバラを手に、静かにお酒を傾けるのだった。

誰だかわからない、だけど生まれて初めてもらったファンからの
花、自分の人生初めてのファン、
どんな人かもわからないけれど、確実に存在する紫のバラの人に
マヤは熱も忘れて感謝の気持ちで満たされていった。


第3章 風の中を行く

劇団つきかげ初公演『若草物語』はその後4日続き、
大盛況の内に千秋楽を迎えた。

初日に初めてのファンにもらった紫のバラの花束、
もう枯れてしまったけど、花びらを1枚押し花にして、
マヤは大切にしおりとして持ち歩いていた。
学校生活も再開、相変わらず勉強は苦手だが、
ドラマのセリフはすぐにすべて覚えてしまう。
そんな不思議な少女の学校生活は穏やかに過ぎていた、だがーーー

週刊誌に掲載された劇団つきかげの中傷記事。
月影千草と青柳芸能社長との関係をスキャンダラスに示唆、
そして先日の『若草物語』公演の酷評記事と、
明らかに劇団つきかげを陥れるための工作だった。
しかし例え内容が事実無根だとしても影響力は大きく、
ひとり、またひとりと劇団から人が消えていった。

『若草物語』の稽古に集中し、公園のアルバイトを
サボっていたマヤは、重い足取りで売店に向かっていた。
しかしマヤが休んでいる間、桜小路が代わりに働いていた事を
知ると、マヤはその優しさに改めて小さな好意を感じるのだった。
二人でボートに乗り、桜小路が今度文化祭でやるという
騎士役の読み合わせの相手をするマヤ、
しかし桜小路がどんなに愛のセリフを語っても
演劇の事ことで頭がいっぱいのマヤとの間の心の距離感に、
桜小路は近くて遠い思いを抱く。

ある日劇団つきかげに、青柳芸能の人間がやってきた。
週刊誌に載ったような、千草と青柳社長との間にみだらな関係こそないが、
出資を受けていることは事実、
散々な劇評に憤慨する青柳芸能は、今度の演劇コンクールで優勝し、
汚名を返上することを条件に突きつけた。
もしそれが出来なければ青柳芸能は劇団つきかげから手をひく、
すなわちそれはつきかげが潰れることを意味していた。

全日本演劇連盟に、コンクールの申し込みに来た千草とつきかげメンバー、
週刊誌記事の影響で刺さるような視線を浴びていた。
あの週刊誌の記事は全て大都芸能の速水真澄の仕業、
自分の目的のためなら卑劣な手をもいとわない仕事の鬼。
その真澄と、申し込み会場で遭遇した千草。
嫌がらせ工作を激しく非難する千草に、真澄は冷たく関与を否定し、
空とぼけてみせた。
千草の戻りが遅いのを気にして、迎えに行ったマヤは、
そんな現場に遭遇してしまう。そして「いい暇つぶしになった」という
真澄の『若草物語』の感想を聞いたマヤは固まって震えてしまった。
これまで千草などから真澄の冷徹なやり口を聞いてはいたが、
いまいちそれが信じられずにいたマヤ。
しかし今目の前で真澄の口から出た、直接的な中傷の言葉、
マヤはこの男が決して自分達の側の人間ではない事を自覚した。
仕事のためならどんなひどいことだって平気でやる、
冷酷な人間、大都芸能の速水真澄ーーー。

一方真澄も、自らの悪意ある言葉、汚いやり口をマヤに
知られてしまった事に後悔の念を感じていた。
いつもなら何とも思わないはずなのに・・・。

動揺するマヤが思わず落とした紫のバラのしおり、
自分が渡したバラを大切に思い大事にとっていてくれた事に、
真澄は普段なら絶対見せることのない微笑みを浮かべていた。

演劇コンクール東京地区予選、背水の陣で挑む千草は、
演目『たけくらべ』の主役、美登利役にマヤを抜擢した。
経験の浅いマヤ、しかしもはや劇団内にそれを非難するものは
誰もいなかった。

私には演劇しかない・・・、未来だけを見つめ、
希望だけを胸に意気込むマヤ、
しかしその時、同じ東京地区予選を争う劇団オンディーヌの小野寺は
つきかげと同じ『たけくらべ』を選び、本格的なつきかげ潰しに
乗り出した。
姫川亜弓を主役に擁して・・・。

**

本格的な稽古がスタートした。
頭の中に明確に役のイメージが浮かび、自信に満ち溢れる亜弓、
一方マヤはまだ掴みきれていなかった。
そんな折、オンディーヌも同じ演目でくるという情報が入ってくる。
しかも主役は亜弓、そしてその相手役は桜小路。
これも大都の速水真澄の差し金なのか。
このコンクールに勝てなければ、劇団つきかげは潰れる、
団員は皆いいようのない不安とプレッシャーを心に抱えながら
稽古に取り組んでいた。

真澄は小野寺の策略を聞き、さらにつきかげ側はマヤが主役を演じると知る。
幼少時、大都芸能社長 速水英介を父にしたその日から、
真澄はただ、大都のために生きる事を叩き込まれてきた。
それ以外に道はなく、義父とも仕事のつながりしか存在しない、
それが当たり前、それでいいと思ってきた人生、しかし今、
心にはマヤのがむしゃらに生きる輝きが思い出され、
なぜかそんな彼女の生き方にひかれていくのを感じていた。

その後も劇団つきかげへの執拗ないやがらせは続く。
公演前に一度だけ許されている大会会場での舞台稽古、
つきかげの予定日時が何者かによって変更され、その事が
事前に知らされていなかったため、つきかげは一度も本番舞台に
立つことなく当日を迎えねばならなくなった。
愕然とする中、ちょうど舞台稽古をしているオンディーヌの
もう一人の美登利、姫川亜弓の完璧な演技に、
まだ役をつかむには程遠いマヤは力量の差を痛感させられた。

亜弓の完璧な美登利を目にして以降、マヤは完全に自信を失い、
演じることに恐怖を覚えていた。
そんなマヤを千草は無理やり物置小屋に閉じ込め、
事実上の降板を通達した。
小屋の中で悲嘆にくれるマヤ、暖房も何もない部屋は寒く、
降りだした雪が更に温度を下げていく。
テレビも何もない部屋で、マヤはただ無為に時間を過ごすしかなかった。
目の前には、先ほど自分自身でビリビリに破いた台本、
何となく声に出して美登利のセリフを言ってみる、するとそこには
今まで表現できなかったさまざまに色を変える美登利が存在していた。
頭にこびりついて離れない亜弓の演じる完璧な美登利、
マヤは美登利になりきれないことにこだわるのではなく、
自分で役をつくっていくことで、亜弓とは違う美登利を演じられる事に気づいた。
そしてそんなマヤに呼応するように、雪降りしきるドアの向こうから、
千草のセリフが聞こてきた。
扉を隔てた内と外、千草とマヤは身を削るような日々をそうして過ごし、
ついに5日間にも及ぶ通し稽古を終えた。
小屋の中のマヤはこれ以上はないという幸せな微笑みを浮かべたまま
深い眠りに落ちていた。

**

年明けすぐ、全日本演劇コンクール東京地区予選が始まった。
最終日の午後2時半から劇団オンディーヌの『たけくらべ』、そして
その後午後4時20分から劇団つきかげの『たけくらべ』が並んだ。
どこまでも続く妨害工作、いやでも比べられるマヤと亜弓、
しかしマヤの心の中はもう、自分の美登利しか気にならなかった。

つきかげへの露骨ないやがらせをする小野寺に対し、
速水真澄は知らず知らずに否定的な発言を口する。
人を人とも思わない冷徹な仕事の鬼が見せた違和感、
しかし一番戸惑ったのはそのことを指摘された真澄自身だった。

舞台上ではオンディーヌの舞台がスタートした。
会場には入らず楽屋に向かうマヤ、そして楽屋の鏡前に1輪の紫のバラを見つける。
“あなたをみています あなたのファンより”
私の初めてのファンがまた見にきてくれている、それがマヤを何より
勇気づけてくれるのだった。

亜弓の美登利は完璧だった。
舞台上でキラキラと輝く亜弓の存在感は圧倒的で、
観客のだれもが亜弓演じる美登利に夢中になった。
どう考えても、こんな舞台のすぐ後に、全く同じ演目で挑むつきかげは不利、
ましてや全く知名度も経験もないマヤの美登利では・・・。
つきかげの出番直前に出くわしたオンディーヌそして真澄。
プレッシャーをかけてくる小野寺に毅然とした態度で対応する千草。
真澄も小野寺と共謀して嫌がらせをしていると思っているマヤは
声をかけてきた真澄に食ってかかる。
これまで誰も速水に対してそんな口をきいた者はいない、あせる周囲をよそに
真澄は意外にもそれを咎めることなく、自分のファンである紫のバラの人の為、
精一杯の演技をしたいというマヤの言葉に目を細めた。

そしていよいよマヤの舞台の幕があくーーー


第03巻へは・・・こちらから
*****感想**************************************
のちに何度も何度も語り継がれる、伝説の高熱にうかされるマヤ、ベス役の熱演です。
とりも直さずこれが真澄の紫のバラデビューのきっかけです。
真澄が(恐らく)唯一自分で買ったバラの花束を持って控室まで自分で
持っていく(直接渡してはいないけど)というある意味貴重なシーンです。
のちのフローリスト聖が出てくるまでは、その辺の子供使ったり、配達使ったり、
いろんな方法で渡している紫のバラですが、果たして楽屋にはどうやって
置いておいたのでしょうか・・・。

それからこの巻から、マヤの中で速水真澄=イヤな奴の構造が確立されます。
少なくともマヤの前ではあまり冷酷な顔は見せていなかったので、
信じられなかったのも無理はありませんが、
例の真澄に対してつけられるさまざまな呼び名は、まだまだ先です。

ちなみに「チビちゃん」デビューもまだまだ、
この頃は真澄はマヤのことを「北島マヤちゃん」と呼んでいました。

後から振り返ればこの時すでに真澄はマヤのことを好きだったわけですが、
当時真澄24、5歳、マヤ13歳ということを考えれば、
それが愛だと思う方が無理な話だと思います。
良くも悪くも時が解決してくれることって、大きいですね・・・・。




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