いせ九条の会

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りぼん・ふろじぇくと 戦争のつくりかた/山崎孝

2006-05-31 | ご投稿
5月28日に開かれた「いせ発『平和を守る署名』はじまりの会」は、高田健さんの講演の後、「りぼん・ぷろじぇくと制作 戦争のつくりかた」のビデオが上映されました。

高田健さんが講演で述べたことで特に印象に残ったのは、先に私が紹介した天野祐吉さんの指摘、国民投票法案の落とし穴、CMが自由にやれるから資金力のある改憲側にとても有利になることを、高田健さんも重大な事柄なであると述べたこと。また、米国が起こす新しい事態に対応して自衛隊を海外に派遣するためその都度制定する法律(テロ特措法、イラク特措法)をいちいち作らないで済むように恒久法を考えていることを述べたことでした。それに「九条の会」発起人の方の記者会見にも触れました。特に大江健三郎さんの、「九条の会」を始めようというとき、私はあまり楽観的でない人間だか、この会は広がると考えていた、という言葉などを紹介しました。「九条の会」は正しく、現在の平和を願う日本国民を幅広く結集することの出来る性格を持つことが証明されています。

「りぼん・ぷろじぇくと」は2004年、有事法案をわかりやすく解説して成立を止めようとした運動から生まれたネットワークです。その著作「戦争のつくりかた」は、2004年7月に発行されています。2004年に書かれた事柄が、私たちの目の前に明確な形で表れてきています。以下、幾つかの例を挙げてみます。

「戦争のつくりかた」18ページ

戦争には、お金がたくさんかかります。そこで政府は、税金をふやしたり、わたくしたちのくらしのために、使うはずのお金を減らしたりして、お金を集めます。

みかたの国が戦争をするときには、お金をあげたりもします。

この記述に関連して今起こっている例を挙げます。

政府は2006年度予算に、定率減税の全廃で1・7兆円、介護保険料引き上げで5000億円、医療費の引き上げで3400億円、総額約3兆円もの国民負担を盛り込みました。

在日米軍再編に伴う経費の日本側負担をローレンス米国防副次官は3兆円の負担を求めています。米国の求めている金額をそのまま政府は受け入れてはいませんが、多少の減額をして受け入れる腹積もりです。年度ごとの防衛予算では、在日米軍再編に伴う経費はまかないきれない為に、別枠予算が必要になり、財政再建行っている手前もあり、予算規模は増やすことは出来ませんから、国民のために使うお金を削ることになるでしょう。政府は5月30日に、在日米軍再編の最終合意を実施する政府の方針を閣議決定しました。防衛庁は閣議決定を受け、在沖縄海兵隊グァム移転費などに関する在日米軍再編関連法案(仮称)を今国会に提出を目指すということです。

「戦争のつくりかた」22と23ページの抜粋

政府が、「これは国際貢献だ」と言えば、あなたは、そのために命を捨てることが出来ます。戦争で人を殺すこともできます。

おとうさんやおかあさんや、学校の友だちや先生や、近所の人たちが、戦争で死んでも、悲しむことはありません。政府はほめてくれます。国や「国際貢献」のために、いいことをしたのですから。

2005年10月28日、自民党は新憲法草案を決定した。9条2項で、自衛軍を持ち、その軍隊で国際貢献のために海外で武力行使を行うとした。

2006年5月、愛国心を盛り込んだ教育基本法改定案を国会に上程し、特別委員会を設けて今国会の成立を目指す。

5月30日、東京地裁は高等学校の卒業式の始まる前に保護者らに国歌斉唱時に起立しないよう呼びかけた元教師に対して、威力業務妨害罪で20万円の罰金刑を言い渡した。私はこの判決は事柄の本質を見つめていないと思います。国歌・国旗に関する法律は、国歌・国旗の強制をしないとした趣旨を盛り込んでいます。これを無視して強要を行った東京都教育委員会の不当な行政を考慮せず、教師の行った行為だけを見ています。それも妨害したとされる事実は式の開始が2分遅れただけでした。

教師を刑事裁判にかけたのは、都教委の行政に反対する人たちを萎縮させる狙いがある。或いは元教師が言葉で説得を試みた行為が発端であることを考えると、刑事罰の発動は慎重な検討が必要だった意見を新聞は掲載していました。裁判所自らが法の精神の逸脱に手を貸すようなことが起きました。

このように2004年制作の本で述べたことが現実に表れています。これから言えることは、改憲されてしまうと、自由と民主主義の理念は遠くに追いやられ、日本が戦争を行う国になることは確実です。

「戦争のつくりかた」のビデオのナレーターを務めた女優の根岸季衣(としえ)さんは、渡辺えり子さんが脚本を書いた朗読劇を、「非戦を選ぶ演劇人の会」の方たちと一緒に行っています。根岸季衣さんは「戦争を二度としたくない思いを、もっと普段から話題にできたらいいな」と語っています。国民に良く知られた芸能人の多くの方が、9条を守る立場で発言されれば、影響力は期待でき、ありがたいことだと思います。