1ヵ月ぐらい前に、たまたま実家にいるときにテレビでやっていた深夜映画。
「
ライフ・オブ・デビット・ゲイル」
これぞ「日常に潜む直観。」という感じで、
もう寝てもいいなあ、という夜中の3時過ぎにつけていたチャンネルで、
何の予備知識もなかったんだけど、
始まって数秒で、「これは見よう」と決めたわけなんですね。
結果、死ぬ前に記憶に残る映画10本挙げるなら、
その中の1本には絶対に入る、というぐらい衝撃を受けました。
他は、今のところ何だろう。 「ライフ・イズ・ビューティフル」「風の谷のナウシカ」「タイタニック」「ハチ公物語」「ブルークラッシュ」「7つの贈り物」「レイチェル・カーソン 感性の森」「ぐるりのこと」「ブロック・パーティ」 好きな映画、たくさんあって幸せだなあ。
とにかく、サスペンスとしても、ドキュメンタリーとしても、
ヒューマンストーリーとしても秀逸。
めくるめく展開、登場人物の人間性を端的に伝えるムダのないセリフ、
俳優の演技もとっても自然で、ぐいぐい引き込まれました。
映画って、見るときに必ずなんらかの期待をして見ると思うんです。
予告編を見たりして、その時の気分にあわせて、「泣きたい」とか「笑いたい」とか「知りたい」とか「恋愛モードになりたい」とか「元気になりたい」とか「なんとなく見ておきたい」とか「頭を空っぽにして別世界に行きたい」というような。
そういう意味では、後からこの映画の予告編を見てみたけど、
何かしらの明確な下心があって見る映画を探しているときに見かけても、
見なかったかもしれない、と思いました。
「死刑制度」は私にとっては第一の興味関心事じゃないし、
出演者も設定も基本的に地味だし。
逆に下心がなかったからこそ、ズバっと入ってきたのかもしれません。
生きるってなんだろう? 信念を貫くってどんなことだろう?
正しさってなんだろう? 命ってなんだろう?
社会にインパクトを与えるって?
というようなことを、深く深く考えさせられる映画でした。
環境問題を他人事にしておけなくて、NPOの仕事をしていると、
いつのまにか正義の味方みたいな気持ちで、勝手に巨大な闇を背負い込んでしまうことがあります。
誰にも頼まれてないし、他人事にしておけないというのは、私の都合でしかないのに。
たくさん稼いで、人より稼いで、人よりムダ遣いするのが幸せな人だっている。
「気候変動を止めるなんて無理だよ」と平然と言い放つ人だっている。
そういう人も含めて社会は成り立っている。
そういう人と自分もどこかでつながっている。
という事実に、腹を立てたり無力感を感じたりするわけです。
そうすると、疲れちゃう。
だから、映画の中で、
登場人物の女性が「とても疲れたわ」と言ったとき、
「わかる!」とつぶやいてしまいました。
信念や志は大切だ。
しかし独りよがりになってはいけない。
世界を敵にまわしたいわけではない。
しかしどうしようもないわからずやを無視することも必要だ。
基本的には和の輪を大切にして、怖くなく楽しそうに、
なるべく境界線をつくらずにやっていきたい。
スタンスとしては、どっしりかまえて、
長い目で見て、じわじわやっていく必要がある。
でもそれじゃ間に合わない気がする。
時には、正面からぶつかり合う対話が必要だ。
そして、結局は強烈なインパクトが人の心を変え行動を変える。
圧倒的多数を占める無関心層はいったいどうすれば目覚めるのか。
・・・・
みたいな、いつもいつも頭の中にある螺旋状の思考回路が
この映画には全部、表現されていた。
だから引き込まれたのかもしれません。
考えるのが好きな人にオススメの映画です。