急な睡魔に襲われる。
疲れがキャパを超えたり、気の休まらない時間を長く過ごしているとたまにこうなる。
電池が切れたように眠りに落ちてしまう。
とはいえ、危険の少ない場所を選んで寝たつもりではあったが…目が覚めると自分が何処にいるかすぐに理解することが出来なかった。
世界中の下で目覚めると、あたりは既に夜になっていた。
状況を飲み込むのに少し時間が掛かった。
働かない頭を必死に起こそうとしていたらセクトの声が聞こえた。
一瞬、まだ夢の中にいるのかと思った。
会話をするうちに、夢ではないことに気がついた。
俺は…寝起きが非常に悪い。
特に、見たくもネェ夢を見たら機嫌も最悪だ。
普段の寝起きは此処まで酷くはないんだが…やはり最近夜に眠れないのが祟っていたのかも知れない。
俺に恨みがあるんなら今すぐ刺し殺せばいいのに、とまで思ったほどだ。
この前の噴水広場で肩にヤツの矢が刺さったことを謝られた。
謝られるようなことでもないと俺は思ったのだがね。
負い目になど感じて欲しくないのだけど。
セクト相手に上手く笑顔が作れず、苛立つ。
他人に不機嫌を悟られるのが非常に嫌な俺は。
普段からそんな感情など誰にも見せない自信があった。
自信があったというのに。
目覚めて其処に居たセクトに、八つ当たりをしてしまった。
其処に居たのがセクトでなければ、俺はいつものように笑っていられただろうに。
…良い事なのか、そうでないのか…解らん。
セクトに服を引っ張られ。
世界中の下、ヤツと背を合わせて眠った。
穏やかな時間…夢を見ることもなく…