方丈記は、あの、有名な書き出し、
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶ うたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし
で、始まります。河の流れとうたかた(泡沫)を無常の象徴として記述しています。
そこで、うたかたが結び、消えるまでの様子を撮影してみようと思い立ち、近所の用水路まで出かけました。
まず、うたかたがブクブク発生していて撮影しやすい場所をみつけないといけません。これが意外と少ない。
用水路の上流へ上流へと歩いていき、やっと2か所見つけました。
田んぼから流れてきた水が用水路に注ぎこんでいるところや、段差のあるところではうたかたがどんどん発生しています。
そしてたちまちのうちに消えていきます。
わずかに残ったうたかたが下流へと流れていきます。
この流れ始めたうたかたがパチンと破裂して消えていくまでを撮影してみようというわけです。
コンパクトカメラの連写機能を使って撮影しました。
この日の条件(PM3時ごろ曇天)で撮影できるコマ数は3.2コマ/秒でした(6回実験しての平均値です)。
撮影は50回くらい行いました。
生まれた瞬間が不明なもの、継続して撮影できてないもの、破裂する瞬間が撮影されてないものは失敗です。
生まれてから破裂するまできちんと撮影できたうたかたは計16個。失敗の確率が7割くらいでした。
うたかたの寿命は生まれてから破裂するまでの撮影枚数で計ります。
最も短命だったうたかたは撮影枚数3コマ、時間にして
0.9秒。
最も長命だったのは撮影枚数45コマ、時間にして
14.1秒
平均すると撮影枚数17.25コマ、時間
5.4秒でした。
16個中11個は5秒持ちこたえられずに破裂しました。
確かに短くはかない命でありました。
では、破裂する様子をとらえた写真の例を以下に示します。
上の写真は、うたかたが破裂するところを撮影した3コマを合成したものです。
①は破裂する直前、②は破裂した瞬間というか直後(うたかたを取り巻いている小さな泡の円が崩れていないことから分かります)、③は破裂後崩壊していくところです。
このうたかたの寿命は3.4秒でした。
下の写真は2つのうたかたが連続して破裂する様子をとらえたものです。
破裂した瞬間の写真はうたかたを取り巻いていた小さな泡の円が崩れており、破裂時点から0.1秒か0.2秒くらい経過した時点の写真だと思われます。
Aの寿命は8.2秒、Bの寿命は8.8秒でした。
この撮影は4/19に実施しました。写真を整理しまとめるのにひと月以上を要したことになります。
まったくあきれるほどののんびりぶりですね(苦笑)。