ハーバード・ケネディスクールからのメッセージ

2006年9月より、米国のハーバード大学ケネディスクールに留学中の筆者が、日々の思いや経験を綴っていきます。

秋学期の終わりに思うこと

2006年12月20日 | 日々の思い

 

 ウソのように静かな生活になりました。昨日・今日とNemoの散歩をして、読書をして、ご飯を食べて、寝てるだけ・・・まるで隠居のようです。日本にいたのではおそらく持つことの出来ないこの静かな時間を利用して、秋学期が終わった今の時点での思いを残しておこうと思います。次学期以降の一つの道しるべになればよいのですが・・・

 そもそも僕は何のために2年間も日本を離れ、職場を離れこんなところにいるんでしょう。

 「視野を広げるため?」

  「英語を上達させるため?」

 そりゃもちろん、日本にいて職場にこもっているよりは視野も広がるし、英語も上達するでしょう。しかし、何のために視野を広がる必要があるのでしょう?英語の上達は何のため?その先にある目標は何なのか?その目標達成のためにこの2年間(もう残り1年半ですが)の留学生活はどうあるべきなのか?何を獲得し、持ち帰るべきなのか?そもそも、自分はどうしたいのか?

 この複雑な社会で世の中に貢献するためには「専門性」を高めていくことが必要だという人がいます。一方で、視野狭窄に陥らないためにも、常に物事の全体観を見通して、優先順位付けをするための「マネジメント能力」が必要とも思います。また、ある人は、「『専門性』と『マネジメント能力』のどちらか一方だけでは足りない。両方を身に着ける『T字型』のアプローチが必要だ」と説きます。

 さらには、「そんな頭でっかちじゃだめだ。人生は、社会は“人”であり、“現場”だ。できるだけ多くの人に会い、人の心を、人間関係を大切にし、そして出来る限り多くの現場を自分の足で回るべきだ」と叫ぶ人もいます。

 何だかどれも正しいように思えるし、どれもこの2年間でトライすべきことのように思えます。そしてその中での優先順位がつけ難い。どうにもゴチャゴチャになってきた。

 このゴチャゴチャした感じがまさに、秋学期を通して自分を「支配」していたものでした。右を見ても左を見ても魅力的な「やりたいこと」が盛りだくさん、そして後ろを見ると迫り来る大量の「やらなきゃならないこと」達が凶暴な顔をして群れをなしている。さらに前を見ると、途方も無い「やるべきこと」達が自分の出番はまだかまだか、という顔をして待っている。おまけに、「ひょっとしたらこれらに包囲されたままこの貴重な2年間が終わってしまうのではないか」という「強迫観念」が足元からじわじわと上がってくる・・・

 こんな感じで方向感を見失いそうになった時に“磁石”の役割を果たすのが初志であることは知っています。そして「初志」をもってケネディスクールに乗り込んできたのも確かです。“初心忘れるべからず”・・・久しぶりに去年のこの時期に必死になってキーボードをたたきながら創り、ケネディスクールに送りつけた4通のエッセイ読み返してみました。すると・・・

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 「政府やNPO、大学などの公共部門のマネジメント、具体的には予算・会計制度や政策評価、広報を含めたマーケティングのあり方、人事システムについて様々な事例を通じて理解を深め、“政策の作り方”を変えていきたい。」

 「政府のみならず、NPO・NGO、大学、シンクタンクなど様々な組織や人が政策創りの担い手となり、そうした様々な主体の間で発生する、アイディアと人材の獲得をめぐる競争を通して、より良い商品(=政策)が供給されるような社会創りに貢献したい。」

 「卒業後も人生の喜びや悲しみを分かち合える友人を創りたい。」

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 ・・・

 「初心」を読み返してみて、今のゴチャゴチャの理由が判明しました。

  目標そのものがゴチャゴチャしてる!

   さらに言うと、ケネディスクールそのものがゴチャゴチャだ!!

 ならば、ゴチャゴチャのままでいいのではないか?イヤ、やっぱりすっきりしたい!イヤイヤ、すっきりなんてとても無理。要するに毎日“濃く”生きていればそれでよい。毎朝、目覚めた時の自分と、夜寝る時の自分を比べたときに、ほんの少しでも前向きな変化や気付きがあればそれでいいじゃないか。その証を残すためにブログもつけ始めたはず。イヤイヤイヤ・・・

  

 家の前の教会の鐘が午後4:00を告げています。そろそろお昼寝中のNemoを起こして散歩に行かないと。Nemoはいいなぁ。悩みがなさそうで。あぁ、彼女も日々リスを捕まえられなくて悩んでいるかもしれないな。

 書く前からなんとなく予想はついていましたが、今日のブログの内容は、次学期以降に本当に参考になる「道しるべ」となりました(苦笑)。支離滅裂な内容に最後までお付き合いいただいた方がもしもいたら感謝です。


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2 コメント

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Unknown (oldyorker)
2006-12-31 22:49:16
今年も暮れますね。

私の留学期間も残り半年ちょっとになりました。早いものです。

ときには、目標を立てずに、一日一日、一瞬一瞬に集中することもよいのかもしれません。自分のアンテナを信じて、良さそうならばやってみるという感じで。

後で振り返ったときに、結果的に必要だったことが身についているかもしれません。私も留学中に大きな気づきというか出会いがありました。いずれ話せるときが来ると思います。

それでは、充実した新年をお迎えください。
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>oldyorkerっち (ikeike)
2007-01-01 04:41:15
 コメント有難う。本当に時が経つのは早いねぇ。そちらは最後のコーナーを回っていよいよラストスパートという感じかな?
イヤ本当に出来れば会って色々話を聞きたいよ。きっと多くの悩みや喜びに満ちた日々なんだろうね。こちらも不器用ながら、一日一日を大切に、来る新しい年を納得して生きれるように、「自分のアンテナ」を信じつつ、色々トライしていこうと思っています。
では、良いお年を!来年もよろしく。
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