米国のブッシュ大統領は、13日にイラクのバグダッドを電撃訪問した。報道にもある通り、イラク正式政府の本格始動とザルカウィ容疑者の殺害作戦の直後に訪問することで、イラク戦争と対テロ戦争の両面での成果をアピールするのが狙いというのはおおむねその通りであろう。当初は、ブッシュ大統領はワシントン郊外のキャンプデービッド山荘からマリキ内閣とのテレビ電話会議に参加すると発表されていたが、テレビ会議はイラク滞在中のブッシュ大統領がマリキ内閣側に加わり、チェイニー副大統領ら米政権主要閣僚との間で行われる形に変更された。
ブッシュ政権のイラク政策には賛否両論あるが、というよりも批判の方がはるかに多いが、それでもなお自らの信念と責任に基いてぶれずに政策を遂行する姿勢は、指導者のあるべき姿として評価されるべきである。また、ブッシュ大統領のバグダッド訪問は、イラク駐留米軍の士気を鼓舞する意味もある。最高司令官としての務めである。そういう意味では、遅すぎるとはいえ、小泉首相も陸自の撤退前に最高司令官として是非ともイラク訪問を実現していただきたい。
「米国は約束を守る」とブッシュ大統領はイラク政府への協力強調した。このような確固たる姿勢はイラク政府にとって大きな支えになる。そして、イラク政府が前面に出ることで、イラク人が自らの手で国家再建を実行する構図がはっきりする。大きな流れとして、そのような方向になれば、とてもじゃないが100点満点からは程遠いとはいえ、イラク戦争は目的を達したことになる。戦争目的が達成されたならば、それは戦争に勝利したということである。最前線であるイラク駐留米軍の司令官は、駐留米軍(約13万人)の規模について「今の調子でイラク治安部隊が強化され、政府が運営され、国が前進していくなら、今後数カ月から来年にかけて段階的に削減できるだろう」と述べている。年内に11~12万人までの削減は可能という具体的な数字も取り沙汰されている。「イラク戦争は泥沼化」という単純なフレーズで片付けるのは明らかに正確でない。
イラク情勢で他に興味深いニュースとしては、ハリルザド駐イラク米大使がザルカウィ容疑者死亡により、米政府とイラク新政府が武装勢力の複数の指導者と本格的な直接交渉を開始する可能性を示唆したというものがある。 同大使は、誰がザルカウィの後継者になるとしても、ザルカウィのような“テロリストの中のテロリスト”が早期に出現することはないとしている。武装勢力といえども、これと直接対話する用意を一応示しておくことは、米国にとっても、対テロ戦争遂行において他国の理解を得やすくなる。
(参考記事1)
<米大統領>バグダッドを電撃訪問 対テロの成果アピールか
【カイロ高橋宗男】ブッシュ米大統領は13日、バグダッドを電撃訪問し、イラク政府のマリキ首相ら主要閣僚と会談した。ブッシュ大統領は席上、「米国は約束を守る」と強調し、イラク政府に対する最大限の協力を確約した。大統領のイラク訪問は03年11月以来、2度目。
今回の訪問はイラク正式政府の本格始動と「イラクの聖戦アルカイダ組織」を率いたザルカウィ容疑者の殺害作戦の直後にあたり、イラク戦争とテロとの戦いの両面での成果をアピールするのが狙いとみられる。
イラクからの報道によるとマリキ首相は「我々は必ず成功する。テロリストとすべての困難を打ち負かさねばならない」と決意を強調。大統領は「イラクの将来はあなたたちの手中にある」と応えた。
米政府はブッシュ大統領の13日の予定として、ワシントン郊外のキャンプデービッド山荘からマリキ内閣とのテレビ電話会議に参加すると発表していた。テレビ会議は大統領がマリキ内閣側に加わり、チェイニー副大統領ら米政権主要閣僚との間で行われた。
(毎日新聞) - 6月14日1時9分更新
(参考記事2)
<イラク>年内の段階的撤収開始は可能 駐留米軍司令官
【ワシントン及川正也】イラク駐留米軍のケーシー司令官は11日、米CBSテレビのインタビュー番組で、駐留米軍(約13万人)の規模について「今の調子でイラク治安部隊が強化され、政府が運営され、国が前進していくなら、今後数カ月から来年にかけて段階的に削減できるだろう」と述べ、年内の撤収開始は可能との見方を示した。
ブッシュ米大統領は12、13の両日、大統領山荘キャンプデービッドでイラク問題を政府・軍高官らと集中討議する予定。大統領やラムズフェルド国防長官は現地司令官の判断を尊重する姿勢を示しており、ケーシー司令官の見解は撤収計画の判断材料になるとみられる。
(毎日新聞) - 6月12日10時54分更新
(参考記事3)
[米、武装勢力と本格交渉も ザルカウィ容疑者死亡で]
【ニューヨーク11日共同】12日発売予定の米誌ニューズウィーク最新号は、ハリルザド駐イラク米大使が「イラク聖戦アルカイダ組織」のザルカウィ容疑者死亡により、米政府とイラク新政府が武装勢力の複数の指導者と本格的な直接交渉を開始する可能性を示唆した、と伝えた。
大使は同誌との会見で、誰がザルカウィ容疑者の後継者になるとしても、同容疑者のような“テロリストの中のテロリスト”が早期に出現することはないとの考えを示し、同容疑者死亡はイラク情勢好転のための「大きな機会」と位置付けた。
(共同通信) - 6月12日9時33分更新
☆ぜひとも、をクリックして、ランキングに投票して応援してくださいm(__)m
ブッシュ政権のイラク政策には賛否両論あるが、というよりも批判の方がはるかに多いが、それでもなお自らの信念と責任に基いてぶれずに政策を遂行する姿勢は、指導者のあるべき姿として評価されるべきである。また、ブッシュ大統領のバグダッド訪問は、イラク駐留米軍の士気を鼓舞する意味もある。最高司令官としての務めである。そういう意味では、遅すぎるとはいえ、小泉首相も陸自の撤退前に最高司令官として是非ともイラク訪問を実現していただきたい。
「米国は約束を守る」とブッシュ大統領はイラク政府への協力強調した。このような確固たる姿勢はイラク政府にとって大きな支えになる。そして、イラク政府が前面に出ることで、イラク人が自らの手で国家再建を実行する構図がはっきりする。大きな流れとして、そのような方向になれば、とてもじゃないが100点満点からは程遠いとはいえ、イラク戦争は目的を達したことになる。戦争目的が達成されたならば、それは戦争に勝利したということである。最前線であるイラク駐留米軍の司令官は、駐留米軍(約13万人)の規模について「今の調子でイラク治安部隊が強化され、政府が運営され、国が前進していくなら、今後数カ月から来年にかけて段階的に削減できるだろう」と述べている。年内に11~12万人までの削減は可能という具体的な数字も取り沙汰されている。「イラク戦争は泥沼化」という単純なフレーズで片付けるのは明らかに正確でない。
イラク情勢で他に興味深いニュースとしては、ハリルザド駐イラク米大使がザルカウィ容疑者死亡により、米政府とイラク新政府が武装勢力の複数の指導者と本格的な直接交渉を開始する可能性を示唆したというものがある。 同大使は、誰がザルカウィの後継者になるとしても、ザルカウィのような“テロリストの中のテロリスト”が早期に出現することはないとしている。武装勢力といえども、これと直接対話する用意を一応示しておくことは、米国にとっても、対テロ戦争遂行において他国の理解を得やすくなる。
(参考記事1)
<米大統領>バグダッドを電撃訪問 対テロの成果アピールか
【カイロ高橋宗男】ブッシュ米大統領は13日、バグダッドを電撃訪問し、イラク政府のマリキ首相ら主要閣僚と会談した。ブッシュ大統領は席上、「米国は約束を守る」と強調し、イラク政府に対する最大限の協力を確約した。大統領のイラク訪問は03年11月以来、2度目。
今回の訪問はイラク正式政府の本格始動と「イラクの聖戦アルカイダ組織」を率いたザルカウィ容疑者の殺害作戦の直後にあたり、イラク戦争とテロとの戦いの両面での成果をアピールするのが狙いとみられる。
イラクからの報道によるとマリキ首相は「我々は必ず成功する。テロリストとすべての困難を打ち負かさねばならない」と決意を強調。大統領は「イラクの将来はあなたたちの手中にある」と応えた。
米政府はブッシュ大統領の13日の予定として、ワシントン郊外のキャンプデービッド山荘からマリキ内閣とのテレビ電話会議に参加すると発表していた。テレビ会議は大統領がマリキ内閣側に加わり、チェイニー副大統領ら米政権主要閣僚との間で行われた。
(毎日新聞) - 6月14日1時9分更新
(参考記事2)
<イラク>年内の段階的撤収開始は可能 駐留米軍司令官
【ワシントン及川正也】イラク駐留米軍のケーシー司令官は11日、米CBSテレビのインタビュー番組で、駐留米軍(約13万人)の規模について「今の調子でイラク治安部隊が強化され、政府が運営され、国が前進していくなら、今後数カ月から来年にかけて段階的に削減できるだろう」と述べ、年内の撤収開始は可能との見方を示した。
ブッシュ米大統領は12、13の両日、大統領山荘キャンプデービッドでイラク問題を政府・軍高官らと集中討議する予定。大統領やラムズフェルド国防長官は現地司令官の判断を尊重する姿勢を示しており、ケーシー司令官の見解は撤収計画の判断材料になるとみられる。
(毎日新聞) - 6月12日10時54分更新
(参考記事3)
[米、武装勢力と本格交渉も ザルカウィ容疑者死亡で]
【ニューヨーク11日共同】12日発売予定の米誌ニューズウィーク最新号は、ハリルザド駐イラク米大使が「イラク聖戦アルカイダ組織」のザルカウィ容疑者死亡により、米政府とイラク新政府が武装勢力の複数の指導者と本格的な直接交渉を開始する可能性を示唆した、と伝えた。
大使は同誌との会見で、誰がザルカウィ容疑者の後継者になるとしても、同容疑者のような“テロリストの中のテロリスト”が早期に出現することはないとの考えを示し、同容疑者死亡はイラク情勢好転のための「大きな機会」と位置付けた。
(共同通信) - 6月12日9時33分更新
☆ぜひとも、をクリックして、ランキングに投票して応援してくださいm(__)m
アメリカ国内では依然としてブッシュを批判する声があるみたいですが、途中で投げ出さずに最後まで責任を持ってもらいたいものです。
最近、これから何年後かわかりませんが、石油の埋蔵量が底をついてきたとき、また世界大戦が始まるのではと心配になります。その時世界はどうなるのでしょう。
その理由として、
・資金援助をしてきた国外勢力の考えの変化
・スンニ派とシーア派の宗派対立軟化と組織の弱体化の可能性
この辺を挙げているのですが、それを助長する意味でも逆にここで兵力を追加して一気呵成に掃討作戦を行うべきという論調が目新しいと思いました。
ま、何れにせよ「殺害」という二文字に脊髄反射して「怨嗟の連鎖が続く」といった国内マスコミ勢の情緒的な論調は何の根拠も説得力もないということでしょう。
小泉氏何か訪米時にアーリントンに参拝し、戦争そのものには悲劇と残虐な面もあるがそういう歴史のコンテクスト上に平和があるのは日米共に事実であるとか何とか言って、対テロ戦に対するブッシュ大統領を支持することがパックスアメリカーナの源泉だとかおだててくればよいのではないかと思いますが。
<GLOBAL VIEW By BRET STEPHENS
Zarqawi Is Dead. What Now?>
http://online.wsj.com/article/SB115015671632378382.html?mod=opinion_main_featured_stories_hs
確かに歴史的経緯をみるとそういう事例も見られますね。こういうイメージを持たれる事が米国の国力を十全に発揮できない原因にはなります。
今回は、そのようにはならなそうです。米軍の段階的撤退の話が出てきたのはやはり安定化してきたからで、2004年の大統領選挙の時にはイラク戦争をめぐってブッシュとケリーの間で激論が交わされたものの、両者とも撤退論ではありませんでした。
>石油の埋蔵量が底をついてきたとき、また世界大戦が始まるのではと心配になります。
可能性としては排除できませんね。特に中国の軍事的台頭はそういうエネルギー資源確保の文脈でも捉えられていますよね。
その一方で、新エネルギーの開発が成功する可能性もあります。日本は資源小国・科学技術立国として新しいエネルギーの開発に力を注ぐべきでしょう。
・資金援助をしてきた国外勢力の考えの変化
・スンニ派とシーア派の宗派対立軟化と組織の弱体化の可能性
この辺を挙げているのですが、それを助長する意味でも逆にここで兵力を追加して一気呵成に掃討作戦を行うべきという論調が目新しいと思いました。
論拠も主張ももっともなことであります。ただ、米国は徹底的に「世論の国」ですから、撤退論が高まっていてしかも中間選挙を控えている時期に、増派して一気に掃討というのはなかなか難しいところでしょう。軍事的合理性から言えば実にその通りな主張なんですけどねぇ。
>対テロ戦に対するブッシュ大統領を支持することがパックスアメリカーナの源泉だとかおだててくればよいのではないかと思いますが
そうですね。米国との関係の方向性が明確になりますから、それをやれば、立派な花道という評価ができると思います。
はっきり言って日本のマスコミとしてはワシントンに最大のリソースを割くべきであり、まぁ、一応そうして来たのでしょうが、このところ落ち込みが目立つ印象がありますね。NHK何か手嶋氏が去って以降は見る影もありません。
>はっきり言って日本のマスコミとしてはワシントンに最大のリソースを割くべきであり
これは全くその通りですね!