猫研究員の社会観察記

自民党中央政治大学院研究員である"猫研究員。"こと高峰康修とともに、日本国の舵取りについて考えましょう!

小泉首相靖国参拝―結局腰砕け

2005-10-17 17:48:41 | 日中関係・米中関係
 本日、小泉氏は秋の例大祭に合わせる形で靖国神社を参拝した。例大祭参拝は私の持論だが、今日の参拝は全く評価しない。なぜならば、中韓に配慮して昇殿も記帳もない略式の参拝で済ませたからである。よりによって、中途半端に配慮した形での参拝という最悪のことをしてくれた。これの意味するところは、日本国総理大臣は中国や韓国により靖国神社本殿への立ち入りを禁止されたことに他ならない。中韓をして、難癖をつければわが国の「配慮」という名の低姿勢を引き出すことができることを確認させただけに終わった。現に、早速中国や韓国が抗議を申し込んできており、共同通信の報道(下の参考記事)によれば、中国は「経済的・文化的な分野で報復する」とまで息巻いているようだ。ただし、これは共同通信の「希望的観測」のようにも読めるが…。(22時50分追記。中国は23日に予定されている外相会談をキャンセルするそうだ。)とにもかくにも、米国のアーミテージ前国務副長官が言ったとおり「日本人が戦没兵士の慰霊をどのように行うかを決めるのは日本人自身の問題だが、他国にとやかく言われる限りは絶対に靖国神社に参拝せねばならない」のである。当然、中韓への「配慮」などせず正式な形での参拝をすべしということである。
 こういう慰霊という厳粛な行為を外交の取引材料にするのは下品なことである。それを断ち切るためには、真摯な追悼行為からは逸脱するかもしれないが、毎月でも参拝して外野からの難癖が無駄であることを知らしめるべきだと思う。それが日本国総理大臣の責務であり、それができなければ英霊に顔向けなどできまい。郵政民営化に関しては「公約」を貫いて粛清まで行った首相にして、外圧にはかくも弱いとはいささか失望させられた。


(参考記事)
「断固反対」と中国大使 報復的措置の可能性も
 【北京17日共同】中国の王毅駐日大使は17日、小泉純一郎首相の靖国神社参拝を受けて「中国政府は小泉首相のいかなる形式での靖国参拝にも断固反対する」との談話を発表した。中国側が対日姿勢を硬化させるのは必至で、従来の首脳相互訪問拒否に加え、経済、文化など政治以外の分野で報復的な措置に踏み切る可能性も否定できない。
 中国では同日未明の有人宇宙船「神舟6号」の無事帰還で祝賀ムードが広がっていただけに、首相の靖国参拝で冷や水を浴びせられた形だ。新華社通信は、靖国参拝をただちに報道した。
 胡錦濤国家主席は9月3日の演説で、日中関係に多くの時間を割き対日重視を堅持する姿勢を表明。中国としては、抗日戦争勝利60周年の一連の記念活動に一区切りを付け、関係改善の機運をつくろうとしていた。
(共同通信) - 10月17日13時6分更新

靖国参拝に強く抗議=「深い遺憾と失望感」表明-韓国外相
 【ソウル17日時事】小泉純一郎首相による靖国神社参拝に対し、韓国の潘基文外交通商相は17日、日本の大島正太郎駐韓大使を政府庁舎に呼び、強く抗議した。
 外交通商相は「日韓関係停滞の最大の要因が小泉首相の参拝だと言っても過言ではない。再三の中止要請にもかかわらず参拝したことに、深い遺憾と失望感を禁じ得ない」と述べた。 
(時事通信) - 10月17日15時0分更新


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (グー)
2005-10-18 00:02:04
>これは共同通信の「希望的観測」のようにも読めるが…



共同通信には、3人ばかり友人がいますが、ありえそうな話です。

親しくしている友人だけがそうかと思っていましたが、

共同通信は、全体がそういう考えなのでしょうか?

私の外交政策の考え方は、お互いの非は反省し合い、主張すべきことはハッキリとです。

ですから、日本の態度も諸外国の態度も釈然としなくてもどかしい思いが募ります。
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わかりますが (青い炎)
2005-10-18 00:19:37
こんにちは。

言いたいことはわかりますが、一応大阪高裁で裁判官の意見として違憲判断が出されており、三権分立の建前からは行政のトップとして司法の判断を尊重せざるをえないのではないでしょうか?

私は現在の状況の中、首相として靖国参拝のできる人は小泉さんや安部さんや極めて限られた人しかいないと思いますので今回の小泉さんの行動を非常に高く評価しています。
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コメントありがとうございます (猫研究員(高峰康修))
2005-10-18 01:33:24
>グー様

共同通信は、いつもそういう論調ですよ。友人の方の個人的な思想信条だけではないと思います。「お互いの非は反省し合い、主張すべきことはハッキリと」はまさに正論ですね!現状は正反対で、特に後半部分に関して中韓は「主張すべきでないことを主張」し、日本は「主張すべきことを主張しない」ですから…。日本の進歩派のマスコミは「主張すべきでないことを主張」の方かな。



>青い炎様

あっ!そっちの観点からご覧になりましたか。えっ?でも貴ブログで「靖国参拝は違憲との司法判断は下っていない」と書いていらっしゃいませんでしたっけ?その点については、ご意見を伺えると幸いに存じます。 「首相として靖国参拝のできる人は極めて限られた人しかいない」というのは全く同感で、それゆえにこそ辛い点数をつけてしまいました。
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違憲判断 (青い炎)
2005-10-18 12:42:30
大阪高裁の違憲判断は、法的拘束力の全くない裁判官の個人的意見として述べられました。判決自体は国側の勝訴で、違憲判決では100%ありません。



しかしながら、高裁レベルで裁判官の意見としてわざわざ違憲という意見が表明されたわけだからある程度は尊重する必要があるんじゃないかと思います。つまり今回のような私的参拝にならざるを得ないと思います。

日本人にとって不幸なことは左翼売国勢力がマスコミや教育界だけでなく裁判官にまで侵食していることです。



次の総理には

憲法改正→靖国神社公式参拝

を果たして欲しいと思います。
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Unknown (猫研究員)
2005-10-18 17:39:24
>青い炎様

ご回答くださりありがとうございました。考え方の違いがよく分かりました。相違点は大きく分けて二つですね。一つは、傍論の取り扱いについて。私は、司法界自身からもあれは越権行為だという批判が出ている点を重視します。違憲審査権を持つ終審裁判所は最高裁なのだから、最高裁の判断を仰げない形での「意見表明」は認めないという立場です。あれを尊重しないことが三権分立の精神にかなうと認識しています。三権分立というのは、他部門の暴走を掣肘することも重要な要素ですから。二つ目は、公式参拝についてですね。これは、私は公私の区別は存在しないと思っています。ただし、憲法改正して混乱を回避すべしという点は大賛成です。
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