AKB48の旅

AKB48の旅

階層構造の遷移、そして自己言及性

2017年01月16日 | AKB
AKB48SHOW#138は、「紅白歌合戦密着スペシャル」だった。

まあ定番な感じで淡々と進む展開だったんだけど、一カ所だけ、欅坂46の紅白出演後の長濱さんの発言が、なんというか幾ばくかの誇張を込めて、衝撃的だった。一聴、普通のことが語られてるだけに思われたかも知れないけど、過去ログを読まれた方なら、この「衝撃」の意味は多少とも伝わるのではないか。

以下、字幕でも表示された長濱さんの発言。

「みんなが今まで、なんだろう、こう、作り上げてきた、積み重ねてきた世界観とか、一生懸命やってきたことが、自分が入ることで崩れるんじゃないかなとか、それでも普通に受け入れて、教えてくれて、なんかホントに良い、良い子たちだなって思いました。ホントに大好きだなって思うし、欅坂、、ってすごい、奇跡だなって思いました。」

類似のことはこれまでにも語られてきたかも知れないけど、今回は「奇跡」にまで言及してくれこともあって、構造的に別物となった。

たぶん張本人だからこそ、そして長濱さんだからこそ、この発言になったことは間違いないと思う。既にしてチームビルディングが進んでいた中に遅れて加入するということ、それは安易に表現するなら、既存の(脆弱な)構造に対する異物の混入なんであり、より一般的な応答としては、それは単純な「汚染」そして混乱となったまま淀むかあるいは崩壊へと向かう、もしくはより能動的に異物に対する「拒絶反応」を引き起こすことになる。ところが欅坂はそうならなかった。

異物は異物としてではなく、新たな仲間として「外部性」として受け入れられ実装された。しかもそれが長濱さんだったからこそ高次なファンクションの導入という要素も加わっての相転移を引き起こすこととなり、欅坂に新たな「高次構造」をもたらし、フラクタルな階層構造の遷移を引き起こしたと考えられる。

かつてのAKBで、経緯とかは違うけどこれに類することが起こることで、言わばカンブリア爆発が引き起こされたわけだけど、同様のことが正に欅坂で起こった、そして起こりつつあることが、恐らくはキーパーソンであるところの長濱さん自らによって語られることの意義はきわめて大きいと考えられる。これまたかつての、とりわけ指原さん界隈に顕著に現れることになるところの「自己言及性」ということなんであり、これが幻想の拡大再生産のエンジンとなることもまた既述の通り。

AKBワールドを現前させた「奇跡」の連鎖と等価の内容を、長濱さんは自らの存在様式を踏まえた上でのこの短い発言の中で言い当てて見せてることになる。さすがに意図的ではないだろうけど、長濱さんの「知性」はそこまでの視野をもたらしてくれてると見なせるわけで、まさにこの要素こそ、AKBサイドには見当たらなかったものではないかと思う。

思いっきり先走りの飛躍になるけど、先日も書き殴ったように「最後に語る者」あるいは「看取る者」が「知性」となることは必定。それが長濱さんの「役割」なのかも知れない。

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