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真夜中の五分前 side-A/本多孝好(小説)

2008-06-17 23:39:48 | 読書
今回の記事は『真夜中の五分前 side-A』(本多孝好、新潮文庫)です。
sideA,Bの2冊から成る内の最初の一冊。

■内容紹介 ※裏表紙より
少し遅れた時計を好んで使った恋人が、六年前に死んだ。
今、小さな広告代理店に勤める僕の時間は、あの日からずっと五分ズレたままだ。
そんな僕の前に突然現れた、一卵性双生児のかすみ。
彼女が秘密の恋を打ち明けたとき、現実は思いもよらぬ世界へ僕を押しやった。

洒落た語りも魅力的な、side-Aから始まる新感覚の恋愛小説。
偶然の出会いが運命の環を廻し、愛の奇跡を奏で出す。


■感想
この『真夜中の五分前』はside-Aとside-Bの2冊からなる小説です。
片方だけ読んでも物語としては成り立つように書かれていますが、声を大にして言っておきます。
必ずside-Aを読んでからside-Bを読んでください。

正直な感想として、side-Aを読んだ時点では、この物語、ちょっといまいちでした。
悪くはないのですがどこか淡々としていて少しだけ物足りなかったし、あまり共感もできなかった。
けれども、side-Bを読んで、そんな感想は吹っ飛びました。
side-Bは衝撃的過ぎる内容から始まり、Aをはるかに越える愛の喪失感を描いています。
このBを楽しむためには、Aを読んでいることが必須です。
なのでまずはAを読んでください。Bで絶対に感動しますから。

それでは、今回のメインとなるAの感想を書いていきます。

主人公の「僕」は仕事は出来るが、どこか冷めている、いかにも現代の若者風の青年です。
真面目というわけでもなく、冗談も言ったりするのですが、感情を押し殺しているような印象を受けました。
そしてどういうわけか五分遅れた時計を使っている。
(この五分というキーワードがside-Bのラストで素敵な言葉へと変わっていきますのでお楽しみに)
これらには悲しい理由があります。それは六年前の恋人の死。
彼はそれからずっと恋人の死を引きずっています。
本人はそんなことはないと意地をはっていますが、明らかです。

読んでいると、彼の心の喪失感がじんわりと伝わってきます。
彼は恋人を失ったことの悲しみを追いやっていた。
その悲しみが溢れ出す後半は胸が熱くなってたまらない。

そして物語はさらに切なさが増す、side-Bへと続いていきます。


『真夜中の五分前 side-A』 (新潮文庫)
著者:本多孝好
ジャンル:小説(恋愛)
メモ:side-A,Bの二部作
おすすめ度★★★☆

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