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ハート・ロッカー(映画)

2010-03-28 18:16:00 | 映画
(C) 2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.

今回の記事は『ハート・ロッカー』(2008年、監督:キャスリン・ビグロー)です。
テロの脅威が続くイラク・バグダッドを舞台に、死と隣り合わせのアメリカ軍爆発物処理班の姿をリアリティ溢れる緊迫の描写で描き出した社会派サスペンス。
第82回アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞などを受賞し6冠を達成。

■内容紹介 ※goo映画より
2004年、イラク・バグダッド。駐留米軍のブラボー中隊・爆弾処理班の作業中に爆発が起き、班長のトンプソン軍曹が爆死してしまう。
トンプソン軍曹の代わりに派遣されてきたのは、ウィリアム・ジェームズ二等軍曹。
彼はこれまでに873個もの爆弾を処理してきたエキスパートだが、その自信ゆえか型破りで無謀な行動が多かった。
部下のサンボーン軍曹とエルドリッジ技術兵は彼に反発するが、ある事件をきっかけに打ち解けていく。

永遠を思わせる戦場。
刹那を生きる男たち──。


ハート・ロッカー

ハート・ロッカー


■感想
今年(2009年、いや2010年というべきなのか?)のアカデミー賞は『アバター』と『ハート・ロッカー』の一騎打ちになるだろうとの見方が強かったけれど、いざ蓋を開けてみると『ハート・ロッカー』が作品賞・監督賞・脚本賞・音響賞・編集賞を受賞するという圧勝の形で終わった。
『アバター』は作品賞はおろか監督賞も獲れず、撮影賞・美術賞・視覚効果賞しか受賞しなかった。
え? おかしくない?
映画不況と言われる中、18億5500万ドル(約1670億円)という興行収入を叩き出し、映画の歴史を塗り替えるという偉業を達成した大ヒット作が。
全編3Dの驚異の映像技術で、3D映画時代到来を牽引することになるであろう作品を。
映画を観た観客の満足度も高くあんなにも一般観客から支持された作品なのに。
昨年のアカデミー賞も一般観客からも高く評価され大ヒットした『ダークナイト』じゃなく『スラムドッグ$ミリオネア』が作品賞・監督賞を受賞しているし…。
「アカデミー賞を選考している人たちは一般大衆から支持された大ヒット作品は嫌いですか?」と思わざるを得ない。

いきなり話が脱線しまくっている。
『ハート・ロッカー』の感想を書かないと。

『ハート・ロッカー』は徹底したリアリズムで爆発物処理チームの姿を生々しく描いており、その緊迫した雰囲気たるや凄まじい。
冒頭の戦争は麻薬のようなものだという語りが深々と胸に突き刺ささってくるような、死と隣り合わせの現場で尋常ならざるプレッシャーに晒されながらある種の感情を麻痺させざるを得ない状況下での人間を描いたドラマはきっと深いのだろう。
映画の舞台はテロの脅威が続く混沌した情勢のイラク・バグダッド。
普段戦争など意識しない平和な暮らしを送っている私たちに「どうか目をそらさないでほしい。考えてもらいたい」という強いメッセージを感じる。
社会派な作品だ。
アカデミー賞で選ばれた理由もきっとこの辺りにあるのだろう。

ただ、この作品、一般受けはしない映画だと思う。
あまりに映画としての楽しみが薄い。
まず、物語が無い。
物語が無いってことはないのかもしれないけれど、僕にはただ問題を語りかけているだけの映画に思えた。
こんなことを書くと平和ボケした冷たい人間に思われそうだけれど、この映画にあまり共感はできなかった。

映画を観るからにはやっぱり楽しみたいし、感動したい。衝撃を受けたい。
魅力的な登場人物に様々なことを感じ彼らが紡ぐ物語に酔いしれたい。
そういう映画が僕は好みだ。

『ハート・ロッカー』は映画界最大の祭典で作品賞に選ばれた映画であり、一度は観るべき価値のある(観なくてはならない)映画なのでしょう。
今回のレビューはかなり辛口に書いてしまいましたが、それはあくまで僕の嗜好に合わなかったという個人的な思いによります。
この社会派大作を観て何を感じるかは人それぞれでしょう。
もしかしたら僕では感じ得なかった感動や評価された由縁たる素晴らしさを見つけられるかもしれない。
だから興味のある方はぜひご覧になってみて下さい。
何せ権威ある映画賞で最高評価を受けた話題作ですから。

映画データ 
題名 ハート・ロッカー 
製作年/製作国 2008年/アメリカ 
ジャンル アクション/サスペンス/戦争 
監督 キャスリン・ビグロー 
出演者 ジェレミー・レナー
アンソニー・マッキー
ブライアン・ジェラティ
レイフ・ファインズ
ガイ・ピアース
デヴィッド・モース
エヴァンジェリン・リリー
クリスチャン・カマルゴ、他
メモ・特記 アカデミー賞:作品賞・監督賞・脚本賞・音響賞(編集・調整)・編集賞受賞
全米批評家協会賞:作品賞・主演男優賞(J.レナー)・監督賞受賞
英国アカデミー賞:作品賞・監督賞・オリジナル脚本賞・撮影賞・編集賞・音響賞受賞 
おすすめ度★★★
(★は最高で5つです。★:1pt, ☆:0.5pt)

■Link
+⇒公式HP(Japanese)
+⇒ハート・ロッカー - goo 映画

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (Matthew)
2010-03-31 12:53:58
ichi-kaさんにしては、めずらしい辛口?
確かに、一般受けは難しいかもしれませんね。
でも、女性監督がここまでリアルに、ある意味、男社会(?)を描いたことがスゴイと思います。
男性監督が描く、男社会(?)よりも、シビアにリアルに描かれていた気がします。
興行収益については、3D料金ゆえのような気もします。
アバターも素敵な作品ではありましたが、タイタニックのような熱狂的なリピーターがいるとは、思えないんですよね(私見ですが)
でも、映画は確かに、観ていて楽しい作品が良いですよね。
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Matthewさんへ (ichi-ka)
2010-04-03 21:25:06
コメントありがとうございます。
確かに3D料金は割高ですからね。
アバターは単に飛び出すだけではなく奥行きをもたせることにも3D表現を使うことで一体感を強めたと聞きました。「映画の中にいるような」という表現もあながち嘘じゃない映像技術は多少高い料金も許せる価値があったと思ってます。(…どうしてもアバターの肩をもっちゃうな)
ハート・ロッカーも女性監督があの硬派な内容を描いたと思うと確かにすごいのかもと今更ながら思います。
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