クニミツの政 ／ 安童夕馬、朝基まさし

『クニミツの政』です。
最近最終巻が発売され完結しました。
（連載終了はもっと前だろうけどマガジンは読んでないので）
クニミツの政(クニミツのまつり、と読みます。念のため)は
「政治とは何か？」
「日本で起きている問題と政治に参加する意義」
そんなことを取り上げた熱い漫画です。

内容紹介を簡単にしときます。
男、武藤国光(クニミツ)
政治家となる第一歩として坂上竜馬元県会議員の秘書となる。
クニミツは中学中退、家はそば屋、見た目ヤンキーで
政治家秘書なんてものとは程遠い様な男。
だがクニミツの国を思う気持ちは本物だ。
クニミツは坂上竜馬を市長にすべく
果ては腐った日本を変えるため突っ走る！


では感想。
最初の頃と最後の方の巻では何やら絵柄も話の内容もだいぶ違う『クニミツの政』
だけど最初から変わらないものもある。
それが主人公クニミツの気持ちのいい男っぷり。
師事した坂上先生を思い、そして国と(市かな？)そこに住む人達のことを考え
思い切った行動をする。
その行動は誰もが度肝をぬくものだったり
一見無茶に思えるが理にかなった行動だったりする。
そんなクニミツに多くの人が魅かれ、大物ぶりを感じる。
実際クニミツはとても魅力的です。
クニミツの行動は痛快だし、クニミツの持つ意外性にはドキドキ
曲がったことが嫌いで真っ直ぐなところは見ていて気持ちよく好き。

それからクニミツが師事する坂上先生の魅力もでかい。
一見頼りなさげな坂上先生だけど
住民のことを考える気持ちはクニミツ同様
とにかく真剣そのもの。
性格はかぎりなく誠実。
クニミツには無い落ち着いた魅力を持っています。

そして坂上陣営の知恵袋、天才選挙参謀のコーメイ。
その天才ぶりと先の先を考えての行動には感心しっぱなし。
そして予想以上に腹黒いところもお茶目です。

他にも魅力的な人達はたくさんです。
描かれている人がとても魅力的なのは『クニミツの政』の大きな魅力のひとつ。

内容の方にも少し触れていきます。
『クニミツの政』最初の頃の話ではクニミツが教師になったり
高校の生徒会選挙の応援をしてたり、と市長選とはあんまり関係の無い話が中心。
この頃のクニミツの爆走ぶりはとても痛快でした。
後半の方の話では実際に社会に起きている問題（農薬、医療問題など）に対して
クニミツが体当たりで挑む。
なんだか漫画の毛色が変わり最初は戸惑います。
これを読むまで知らなかった（あまり考えることも無かった）現実に起きている問題は
とても衝撃的だった。
ただこの頃の話はちょっと重いというか、信じがたいというか
一方的にその業界の方々を悪者にしすぎているような印象が強くて
ちょっと無茶だ。偏見を植え付けられそうで何だか怖くもある。
ただ現実の問題に対して知る機会と考える機会を得れたのは良かったのかもしれない。

そして物語最後の市長選挙編。市長をめぐっての熱い闘いには読んでてドキドキ
そしてワクワクするものがあった。
エイジ(クニミツの政の前に描かれた漫画『サイコメトラーEIJI』)
を読んでた人には嬉しいあの人の登場もよかった。

この漫画を読むと政治に対する考え方が変わるかもしれない。
面白くて考えさせられる漫画です。


余談：この『クニミツの政』を読み始めたきっかけはフジテレビでやってたドラマです。
（番組紹介ＨＰ　公式ＨＰはもうありません。）
押尾学さんと今すごく話題の伊東美咲さん主演のドラマです。
漫画とは雰囲気は近いけどいろいろと設定が違ってます。
とくにコーメイの設定の違いにはとにかく驚く。いろいろと違いすぎる。
ドラマ→漫画と読んだ僕は漫画でコーメイが初登場した時、予想外の出来事に驚いたけど
（当時はドラマしか知らなかったから）
元の漫画を知っていてドラマを見た人の衝撃も大きかったに違いない。


『クニミツの政』　／　原作：安童夕馬　漫画：朝基まさし
KCコミックス全２７巻　／　ジャンル：漫画
メモ：2003年ドラマ化、『サイコメトラーEIJI』との関連あり。
第27回講談社漫画賞少年部門受賞
おすすめ度：★★★
（★は最大で５つです）