不況うつとED 5月に大量発生
AERA2月23日(月) 13時13分配信 / 国内 - 社会
――大リストラの波は、非正規社員のみにとどまらず、正社員にも押し寄せた。
不安に揺れる30代、40代が、心を閉ざし始めている。
編集部 大重史朗、古川雅子――
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20090223-00000002-aera-soci
眠れない。新聞の文字が頭に入らない……。
不動産会社で営業を担当する男性(28)が自身の異変に気づいたのは、昨年秋のことだ。
サブプライム問題の影響をもろに受けた会社は、新たなリストラを宣言したところだった。かつてのリストラで職場を離れていった同僚の顔が浮かぶ。
「自分もいつか……」
そう思うと仕事が手につかなかった。その上、リーマンショック以降、営業成績は一向にあがらない。プレッシャーで押しつぶされそうな毎日だった。
心療内科でうつ病と診断された。現在は休職して治療中だ。
大企業が次々と人員削減を発表し、雇用不安は派遣など非正規社員から正社員へと広がる。大不況のあおりで働き盛り世代に心の閉塞感が強まっている。
■3タイプの「不況うつ」
そんな中で、うつ病など心の病を抱える患者が訴える内容に変化が出始めている。いま特に多いのは「不況うつ」とも呼べそうな次の3つのタイプだ。
(1)ネガティブ思考
「やってもやっても成果が上がらない」「うまくいかないかもしれない」などと考える。
(2)引きこもり
「自分は必要とされていない」「誰も助けてくれないだろう」などと自己否定して、自分の殻に閉じこもる。
(3)燃え尽き
1人当たりの仕事量が増えてオーバーワークになり、体も心もくたびれる。
相談内容に(1)のタイプが増えていると話すのは、精神科医の大野裕慶応義塾大学保健管理センター教授。
「景気が悪くなれば達成感が得にくいですから、時代性を反映している訴えだと思います」
企業のメンタルヘルス事業大手の「ピースマインド」(東京都中央区)では、相談を受ける人などにチェック式のストレス度調査を行ったところ、(2)にあてはまる項目にマルをつけた人が昨秋から増えている傾向がみられたという。年間の相談数は1万数千件に上り、その6~7割を30~40代が占める。
同社臨床心理士の渋谷英雄さんは、こう分析する。
「常に緊張した状態が続き、職場で理不尽なことを言われたりすると、理解してもらえない寂しさが募る。従来(2)は学生に多く、社会人には少なかったのですが、働く人も外部の環境から自分を閉ざして引きこもる時代なのでしょう」