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貴乃花親方 相撲の未来・被災者支援・平和を語る。 革新懇インタビュー

2012-10-20 | 各界インタビュー
革新懇インタビュー 相撲の未来・被災者支援・平和を語る 貴乃花 光司さん

               
 貴乃花 光司さん 第65代横綱・貴乃花親方
 1972年東京生まれ。88年初土俵。数々の最年少記録を達成し、95年、第65代横綱に。相撲ブームの原動力となり、2003年引退。幕内優勝22回。現在、日本相撲協会理事。

 
 取材の翌日、早朝稽古を見学しました。驚いたのは、自ら胸を出し、力士の当たりをしっかり受け止めていたことです。弟子同士のぶつかり合い稽古のさいは受ける側の力士に、「『強くなってくれ』という気持ちで受けること」と、奥深い言葉をかけていました。

 ― 地域に根ざす部屋づくりを言われています。

 もともと相撲は勧進相撲(かんじん)(注・江戸時代に社寺建設などの資金調達を名目に開催された興業)から始まっています。まちの人の行き来や息づかいがいつもあるのが本来の姿です。
 ここ(中野区中野新町)は近くの神田川がよく氾濫し、先代(故二子山親方)のときは弟子が老人ホームの方々をかついで手助けしたこともあります。昨年の大震災のときも若い衆にすぐ「おにぎりを握れ」と言って、7、800個握りました。ひどくなったときは近隣の方に部屋に避難していただこうと思いました。
 地元の方が「ちょっと遊びに来たよ」といって気軽に来れる、あるいは地震や災害のさい、一つのコミュニティーとして近隣の方々と協力できる、地域密着型の部屋を目指しています。

 ― 昨年の大震災のときは被災地に行き、炊き出しをされましたね。

 ただ寄付をするだけではなく、汗をかいて炊き出しにいこう、とにかく温かいものを食べていただこうと、宮城県の南三陸町と気仙沼市に貴乃花グループでおじゃましました。被災した方が何百人と来てくれ、感謝されました。朝から夕方までやりましたが疲れはなかったですね。「困った人たちがいたら助ける」は若い衆にとっても勉強になります。みんな生きいきと動いていました。
 神戸の震災や新潟の震災のときも物資を送り、炊き出しにも行きました。困った人たちがいると、いてもたってもいられない性質です。

 ― 力士だった人のセカンドライフの充実についても発言されています。

 相撲界をやめたあとも活躍できれば、関取や親方になれなかったけれども相撲界で学んだことで成功していると、感謝の気持ちを持ってもらえると思います。これは相撲協会の公益法人としての一大事業ですね。
 
 ― 土俵を全国に増やし、相撲の盛んな地域を広げたいとも。

 昔は各学校に土俵がありました。いま土俵のある学校は全国にたぶん3ケタはないと思います。
 一対一で向き合い、はだしでおこなう相撲は足腰が強くなるし、もみ合いで体力がつきます。しこなどの基本動作はきちんとやると、自分の体重だけでこんなにきつい運動があるのかというぐらい足が震えてくる。反復運動ですから精神的にも強くなります。
 大変な時代のいま、とにかく子どもたちには元気で、活発でいてほしいという思いが強いですよ。

 ― 画家のいわさきちひろの絵が好きだと。

 個展で拝見したことがあります。

 ― 作品には平和への願いを込めた絵が多い。

 画家の力はすごいと思います。ピカソの「ゲルニカ」(注・1937年、ナチスにより空爆を受けた町スペイン・ゲルニカを主題にした絵画)は体を張って平和を世に訴えかけた作品です。いわさきちひろさんもそうですね。相撲でもお客さんが喜ぶ、雌雄を決する相撲にはメッセージがあります。
 命を奪う戦争なんて、二度とあってはいけない。戦争の映像で機関銃などを見るのは大嫌いです。平和なくして日本は存在しないし、そこは不惜身命ですね。

 ― 人のために尽くすという、横綱昇進のさいの決意の言葉ですね。
 
 ええ。自分のためではなく、人のために生涯を過ごすことがやはり日本人の幸せであるし、そこに一貫性を持つことは相撲界が公益性をもって生き残るうえでも大事だと思っています。

 ― 平和への世論をより広げたいと思います。
 
 戦後60年以上が経過し、われわれ戦争を知らない世代が守り抜くことは、この国の礎の精神だと思います。
 自分さえいい思いをすればいいというのは苦手です。「武士は食わねど高楊枝」という言葉がありますが、相撲界には残しておきたい言葉です。相撲界は地位が上の者から食べますが、私の部屋では兄弟子たちに一番弱い立場の後輩に目を配れと言っています。体をつくらなければいけないわけですから。

 純粋かつ純朴に人々が接する、レッテルを貼るのではなく対話・会話してその人を知ることなどもより平和に繋がることであろうし、そういう時代に早く突入してほしいと思います。
(全国革新懇ニュース 2012・7・8号合併号341)

発行所 平和・民主・革新の日本をめざす全国の会(全国革新懇)
 全国革新懇の3つの共同目標
① 日本の経済を国民本位に転換し、暮らしが豊かになる日本をめざします。
② 日本国憲法を生かし、自由と人権、民主主義が発展する日本をめざします。
③ 日米安保条約をなくし、非核・非同盟・中立の平和な日本をめざします。
 
 10月号・革新懇インタビューは、小出裕章さん(京都大学原子炉実験所助教)です。6月号ではタレントのフィフィさんがTPPやメディアについて語っています。ほかにも市原悦子さんが平和について語ったり・・・。
 わずか4ページほどの月刊誌ですが、さまざまな著名人が【平和・民主】に対しての思いを語る「革新懇インタビュー」は見る価値ありです
全国革新懇ニュース
前納制 1年間1.800円 2年間3.400円 3年間5.000円。
http://www.kakushinkon.org/syuppan.htm
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 革新懇が呼びかけた「私たちは、原発の再稼動に反対し、『原発ゼロの日本』へ踏み出すことを求めます」各界56氏から賛同やメッセージが寄せられています。
 ・赤瀬川隼人さん(作家) ・秋吉久美子さん(女優) ・安野光雄さん(画家) ・池田香代子さん(翻訳家) ・池辺晋一郎さん(作曲家) ・石川文洋さん(写真家) ・井出孫六さん(作家) ・伊藤誠さん(経済学者) ・稲川淳二さん(タレント・工業デザイナー) ・うじきつよしさん(俳優) ・宇都宮健児さん(前日本弁護士連合会会長) ・永六輔さん(放送タレント) ・海老名香葉子さん(エッセイスト) ・大城立祐さん(作家)・大橋巨泉さん(文筆家) ・奥平康弘さん(憲法学者) ・小山内美江子さん(脚本家) ・賀茂川耕助さん(IT企業会長) ・木村政雄さん(フリープロデューサー) ・倉本聰さん(脚本家) ・小出裕章さん(京都大学原子炉実験所助教) ・小林亜星さん(作曲家) ・澤地久枝さん(作家) ・ジェームス三木さん(脚本家) ・柴田徳衛さん(東京経済大学名誉教授) ・下重暁子さん(作家・エッセイスト) ・白旗史朗さん(写真家) ・進藤榮一さん(国際政治学者) ・妹尾河童さん(舞台美術家・エッセイスト) ・滝田栄さん(俳優) ・谷村志穂さん(作家) ・辻井喬さん(作家・詩人) ・出目昌伸さん(映画監督) ・富山和子さん(評論家) ・中島京子さん(小説家) ・中谷健太郎さん(大分・由布院亀の井別荘) ・中原ひとみさん(女優) ・那須正幹さん(児童文学者) ・根岸李衣さん(俳優) ・野田英二郎さん(元インド大使) ・野田正彰さん(精神病理学者) ・野中ともよさん(NPО法人ガイア・イニシアティブ代表) ・羽田澄子さん(映画監督) ・張本勲さん(野球評論家) ・ピーコさん(タレント・ファッション評論家) ・樋口陽一さん(憲法学者) ・平野レミさん(料理愛好家・シャンソン歌手) ・松元ヒロさん(コメディアン) ・三浦光世さん(歌人) ・無着成恭さん(曹洞宗泉福寺住職) ・村田光平さん(元スイス大使) ・山崎朋子さん(女性史研究家) ・山田洋次さん(映画監督) ・山中恒さん(児童文学者) ・湯川れい子さん(音楽評論家) ・吉原毅さん(城南信用金庫理事長) 。

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