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古き音楽と映画と過ごす現代の学生の日常

かつては問題児。今はオヤジ(GUNS N’ ROSES来日公演) 

2017-02-17 19:36:43 | 音楽
「あんなに動ける中年太りしたオヤジたち見たことない」。ステージを縦横無尽に走るヴォーカルのアクセル・ローズ。しかし、走っているのは彼だけではない。サイド・ギターのリチャード・フォータス、ベースのダフ・マッケイガン、さらにはメイン・ギターのスラッシュまでも走り回って演奏していた。なんてタフなバンドなんだ。

だが、走り回っている彼らより気になったのは、アクセルとスラッシュの体型だ。アクセルが太っているのは数年前から知っていた。昔はスタイリッシュな体型をしていてカッコよかったが、気がついたら顔はまん丸、お腹はビール腹。ミュージシャンと言われなければ、近所に住むハードロック、メタル好きのオヤジにしか見えない。それよりもスラッシュ。デビュー時のスリムな体型は、彼の演奏技術を増させる効果がありアクセル同様カッコよかった。しかし、今は中年太りし、ステージにスラッシュが出てきたときは「なんだこの体は」と拍子抜けした。だが、ギターの腕は相変わらず、いやデビュー時よりも上手くなっている。すごいよスラッシュ。

 1月29日(日)に、さいたまスーパーアリーナで行われた来日最終公演を鑑賞。グッズを買おうと早めに会場入りしたが、そこには革ジャン、バンドTシャツを着た長髪のいかにもハードロック、メタル好きがいっぱいいた。中には、アクセルやスラッシュの恰好をする人もおり、心の底からガンズを愛するマジなファンの熱気に少し引いてしまった。

この日は日本での最終公演だったが、前の列にはほとんど座っておらず「本当に盛り上がるの?」と疑問に思うのも束の間、気づいたら開演時刻の17時に。しかし、登場したのはガンズではなくサポートアクトのBABYMETAL。30分間のライブで会場は大いに盛り上がったが、このバンドに関してはピーター・バラカンと同じ見解を持っている。そのため、このライブについては何も話さないでおく。

BABYMETALのライブから1時間後、ついにそのときが来た。1曲目の「IT'S SO EASY」が流れると、会場はBABYMETALの時より盛り上がった。これがロックの最前線で活躍するベテランバンドの実力だ。「WELCOME TO THE JUNGLE」、「ROCKET QUEEN」、「NOVEMBER RAIN」といった名曲はもちろん、「LIVE & LET DIE [Wings]」など他のバンドのコピーもするといった彼らのサービス精神には驚いた。

ライブ中盤、アクセルが突然ステージからいなくなり、スラッシュがひたすらギターを弾くコーナーが始まった。彼のテクニックを真似しようと思ってもなかなかできない。「これは長年ロックを愛し、ギターを弾き続けた人にしかできない技だ」と感心していると、彼らの名曲「SWEET CHILD O' MINE」のイントロをスラッシュが弾き始めた。ガンズの中で1番好きな曲が流れたので思わず大声で叫び、慌ててスマホで録画した(なお撮影禁止ではなかった)。

 いよいよライブも終盤。ボブ・ディランの曲「KNOCKIN’ ON HEAVEN'S DOOR」では、アクセルが観客とコーラスをした。私も会場にマイクを向けてくるアクセルに声が届くようにと大声で歌った。すると、勝手に涙が流れてきたのだ。ライブというのは不思議なもので、例え1人で来て周りの人が知らない人だらけでも、いざ始まってしまえばみんな同じ仲間になる。さらに、観客全員でコーラスをするともなると、観客とアーティストはもちろん、ファン同士が1つになる。孤独感が一体感に変わると、自分は他者から受け入れられたと感じ、それによる安心感から涙が出るのだろう。

 「NIGHTRAIN」が終わり、メンバーがステージからいなくなった。しかし、会場の興奮は収まらない。すると、アコースティックギターの音が聞こえた。「やっぱりアンコールあるじゃん」と冷めてしまったが、それでも嬉しかった。そして、アンコール最後の曲「PARADISE CITY」では、再びメンバー全員がステージを駆け回った。2時間も演奏しており、50代の老体には応える時間帯だが、全く疲れを感じさせない走りだった。その姿を見て、「このバンドはあと20年はやれる。ステージを走るのもあと20年は出来る」と根拠のない確信をした。

しかし、感心している暇は無かった。終電の時間が迫っていた。曲が終わると、私もアクセル並みの勢いでアリーナから駅まで走った。しかし、私の方が彼らより30歳近く年下なのに息切れしてしまった。50代のオヤジたち以下の体力であること、そして好きなことをやり続けるには体力がないとできないということを認識させてくれた来日公演だった。

・メンバー
アクセル・ローズ(ヴォーカル)
スラッシュ(ギター)
ダフ・マッケイガン(ベース)
ディジー・リード(キーボード)
リチャード・フォータス(ギター)
フランク・フェラー(ドラムス)
メリッサ・リーズ(キーボード)

・セットリスト
1.IT'S SO EASY
2.MR. BROWNSTONE
3.CHINESE DEMOCRACY
4.WELCOME TO THE JUNGLE
5.DOUBLE TALKIN’ JIVE
6.BETTER
7.ESTRANGED
8.LIVE & LET DIE
9.ROCKET QUEEN
10.YOU COULD BE MINE
11.ATTITUDE
12.THIS I LOVE
13.CIVIL WAR
14.COMA
15.GF / SWEET CHILD O' MINE
16.YESTERDAYS
17.MY MICHELLE
18.WISH YOU WERE HERE / NOVEMBER RAIN
19.KNOCKIN’ ON HEAVEN'S DOOR
20.NIGHTRAIN

EC1.SORRY
EC2.PATIENCE
EC3.THE SEEKER
EC4.PARADISE CITY

<SWEET CHILD O' MINE>PV