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諸悪の根源は、中央銀行を支配している悪徳国際金融資本家DS!

「経済再生なくして財政再建なし」と言ったところで、「600兆円経済への道筋」と言ったところで、PB目標という前提条件がある限り、土台無理なのです。

2017年05月13日 | 日記
https://38news.jp/economy/10451

From 青木泰樹@京都大学レジリエンス実践ユニット・特任教授

「経済学の教科書を文字通り適用できない」。
黒田東彦日銀総裁が5月6日、アジア開発銀行・年次総会の会合に出席し、中央銀行の業務の難しさに関して、このようにこぼしたと報道されていました。

4年余りにわたってリフレ派の論理どおりに金融政策を実施してきたにもかかわらず、現在、まったくの手詰まり状態に陥っている黒田総裁の言葉だけに重みがあります。
まさに金言。
世の経済学者も官僚も、この言葉を肝に銘じて現実経済と向き合ってほしいものです。

さて、黒田総裁のように経済理論をそのまま現実へ適用することの誤りを身に染みて感じている人もいる反面、相変わらず現実を意に介さない人たちも多いようです。
特に、財務省の意向を代弁する財政制度等審議会メンバーの経済学者にその傾向が見られます。

前回、財制審の建議について触れました。
この財務大臣に対する建議は、年二回、11月と5月に出されます。
11月は翌年の予算編成を前にして活を入れるためでしょうが、5月は何のためでしょう。
実は、政府の「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」が6月中に閣議決定されるため、その内容を牽制するために出されるのです。

本日は「骨太の方針」が日本経済に及ぼすインパクトについてお話しします。
実は、「骨太の方針」に盛り込まれた内容が、その年の経済政策の手足を縛っているのです。
特に財政再建目標の設定如何によって、日本経済の今後の動向が決まってしまう事実を説明します。

旧民主党政権下で途絶えていた「骨太の方針」の策定は、第二次安倍内閣で復活しました。
「骨太の方針」は、首相が議長を務める経済財政諮問会議で議論された内容を内閣府がとりまとめ、与党の了承を経て閣議決定されます。
それは政権としての「政策の優先度」を明示するもので、各省庁はそれを見て予算を編成することになります。
政府活動の裏付けは予算ですから、予算編成の大本を決める「骨太の方針」は、まさしく今後の経済政策を左右するものといえます。

参考までに、第二次安倍政権下での「骨太の方針」の内容を振り返っておきましょう。
その内容は副題から推し量ることができます。

2013年「脱デフレ・経済再生」。
アベノミクス三本の矢が華々しく登場し、日本中が将来に希望を見出した時期でした。
2014年「デフレから好循環拡大へ」。
同年4月の消費税増税の悪影響が出ていない状況での副題です。
日本経済に暗雲が垂れ込めてきたことに、まだ政権は気づいておりません。

2015年「経済再生なくして財政再建なし」。
消費税増税の悪影響が実体経済に影を落とし、日銀のリフレ派政策も効果が無いことが徐々に認識されてきた時期でした。
経済再生、すなわちデフレ脱却および経済成長が財政再建に優先することに政権がようやく気づいたと考えられます。
2016年「600兆円経済への道筋」。
前年11月にアベノミクス新三本の矢(的?)を提示し、経済成長の具体的数値目標を掲げた点は評価できます。
しかし、それが実現できないことも後に見るように明らかでした。

副題の変遷から、最初の二年(13年と14年)と次の二年(15年と16年)では、安倍政権の経済認識が大きく変わったことが見て取れます。
当初、一時的な財政出動で経済をふかせば、後は日銀の量的緩和策(リフレ派理論)と財務省の財政再建路線の併用で経済は巡航軌道に乗ると考えていた節があります。

しかし、それが誤りであった事態に直面し、次の二年は路線を変更しました。
金融政策の無力さが判明し、財務省への疑念が生じたことが路線変更の底流にあると思われます。
そうした政権の認識は正しいとしても、残念ながら、現状では経済再生も名目GDP600兆円目標も達成できないと思います。

その理由を説明しましょう。
端的に言って、「骨太の方針」には毒が仕込まれているからです。
その毒とは、財務省が仕込んだ「国・地方のプライマリーバランス(PB)の2020年度までの黒字化」という財政再建目標です。
これは前掲の13年から16年までの「骨太の方針」の全てに入っています。
さらに安倍政権も「中期財政計画(13年8月8日閣議了解)」にて同様の目標を掲げました。
これによって14年の消費税増税を実施することになったのです(当時は、実施しても大丈夫だと思っていたのでしょう)。

「骨太の方針」に2020年度までのPB目標が記載されている以上、予算はそれに縛られます。
内閣府の成長シナリオに基づいても、20年度に8兆円から9兆円のPB赤字が見込まれていますから、各省庁の予算はその制約を受けることになります。

「経済再生なくして財政再建なし」と言ったところで、「600兆円経済への道筋」と言ったところで、PB目標という前提条件がある限り、土台無理なのです。
PB目標の達成のためには、増税と歳出削減をせざるを得ないのです。

「経済成長と財政再建はどちらが優先されるべきか」は、誰にも明らかです。
経済成長を目指せば、国民は豊かになり、おのずと税収は増え、財政健全化へ向かう。
財政健全化を目指せば、国民を貧しくすることで、財政はますます悪化する。
常識的に考えれば、優先順序は一択なのです。

しかし「骨太の方針」にPB目標が記載されている限り、問答無用で、優先順位は財政健全化になるのです。
財政健全化先ずありき。
その中で経済成長を目指すにはどうすればよいのでしょう。
官僚、政治家、経済学者たちは、一般論として規制緩和による成長戦略を唱えていまが、具体的に規制緩和によって名目GDPが何兆円増えるかに関して何も言わない。
言えないのです。
成長戦略を定量的に捉えることはできないからです。

結局、経済成長を推進するための継続的な総需要の増加策としての役割を併せ持つ、国土強靭化投資は実現できず、日本国民は脆弱な国土の中に放置され続けるのです。

「骨太の方針」にPB目標がある限り、日本経済の衰退は免れません。
失われた20年間に日本の名目GDPが500兆円程度で低迷している間に、欧米諸国のそれは二倍以上になりました。
もしも日本が欧米並みの成長を遂げていれば、現在の名目GDPは1000兆円を超え、社会保障の財源問題など存在すらしていないのです。

PB目標という財政健全化方針が経済成長の契機を潰していることを喝破し、これまで「骨太の方針」に記載されてきたPB目標を取り下げることが現在の日本にとって最善の策であることを内閣官房参与である藤井聡京都大学大学院教授が指摘されています。
http://amzn.asia/hcQWztb
素晴らしい本です。
財務省本陣の最深部へ単騎突入している藤井先生を応援するためにも、是非ご一読をお勧めします。

逆に、財務省も「骨太の方針」にPB目標を入れ込むことの重要性を認識しております。
それゆえ財制審に歳出削減策が満載された建議を5月中に出させるわけです。
同時に経済成長によっても財政健全化が達成されないとする論陣を張るのです。
代表的なのが、以前、取り上げたことがありましたが、税収弾性値を過小評価することです。
https://38news.jp/archives/05762
税収弾性値とは、「名目成長率が1%上昇したとき、税収は何%増加するか」を示す指標で、次のように定義されます。

税収弾性値=税収増加率(A)÷名目成長率(B)

税収弾性値が大きければ成長による増収効果が大きいことを示し、逆は逆です。
統計学上、二つの変数の相関関係を推計するのに用いられるのが回帰分析です。
税収弾性値の場合、A(目的変数)とB(説明変数)の関係を見るわけですから、説明変数が一つの単回帰分析を使います。
統計データの範囲によっても違いますが、最近の15年間では概ね「4」程度です。
ところが財務省の推計値は「1.1」で、かなり低い。
財務省によれば、バブル期前の経済が安定していた1980年代のデータを基に算出するとそうなると言っています。
しかし、それは誤魔化しです。
データの期間の問題ではなく、推計法自体を変えているのです。

それは、「税収の増加率は名目成長率ばかりでなく、その他の要因(C)によっても影響を受けると考えることが学問的に正しい」とする財制審の経済学者の主張に基づく重回帰分析です。
簡単に言えば、Aに対してBとCの二つの説明変数を使う推計です。
すると、これまで「AとBの関係」だったのが、「AとBおよびCの関係」に転じます。
そうして得られたのが「1.1」。

しかし、この財務省の推計方法は、税収弾性値の定義に合いません。
定義上、税収弾性値は「名目成長率と税収増加率の関係」を示すもので、「その他の要因」は定義の中に含まれません。
にもかかわらず、強引に税収弾性値は「1.1」だと言い張るわけです。
いくらなんでも、それは矛盾でしょう。

例えば、財務省の食堂に行ってメニューにあるラーメンを注文したら、カレーライスが出てきたような話です。
文句を言えば、「世間ではどうかわからないが、うちではこれがラーメンなのだ。学問的にも正しいのだ」と言われているようなものです。

財務省のプロパガンダは「国債は国の借金」からはじまって、一事が万事、この調子です。
「骨太の方針」にPB目標が入らないことを願うのみです。

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