星は月になりたい

このブログは、詩や小説などを載せていきたいと思っています。

小さな約束そして・・・・・・第六話

2008-09-04 21:17:52 | 小さな約束
彼の怒りの原因が自分だとすぐにわかる。
俺は何も答えないまま、ソファーに座った。

「何もないです」

いつもより低い声で答えた。


 いつもと違う雰囲気。
何かが確実に崩れていく音が聞こえて聞こえて気がした。
何かを自分に隠していること。
何かが兄さんの体を蝕んでいるということ。
だから聞いたんだ。
何を隠しているのか。でも答えは思い通りだった。
『なんでもない』
それは、問題ありのサインと俺は勝手に思っている。

「何にもない?そんな分けないだろ」

少し怒り気味に怒鳴ってソファーの前に立った。
兄さんはコーヒーを見つめたまま顔を上げようとしない。
時計の針の音が静かに鳴り響く。

「何にもないと言っているだろ」

いつもと違う口調。
本音ということだ。
でも、眼はコーヒーを見つめていた。何かあったんだと確信に入る。

「いってくれ」
「言ってどうする。お前には関係のないことだ」

静かに立ち上がって俺を通り過ぎようとした。

「待てよ」

肩を強く掴んで呼び止める

「兄さんが目を見ないのは隠し事があるからだろ」
「そんなことない。だから離せ」
「病気とかなんだろ!!」

感極まって怒鳴りつけてしまった。
すると、兄さんの肩から力が抜けるのがわかった。
そして……

「すみません」

沈黙。
長い沈黙。
そして口を開いたのは兄さんのほうだった。

「いつか話すから、お願いだ……もう少しだけ待ってくれ」

そういうと、またいつもの咳をして流しに向かって走った。

「兄さん」
「くっ……俺は……まだ分からない」

ザーっと流れる水の音しか聞こえなかった。
ただ、何かを呟いた気がした。
兄さんの壊れていく何かが、ほんの少しだけわかった気がした。
それは尊くて。
儚くて。
生きていても掴みにくいもの。
それが何かとは確信できるまで、何も言うことはできない。

「兄さん。俺には何もできないのか」

小さく囁いた。
聞こえないくらい小さな声で。

「それじゃ、俺……」
「宮…っ」

聞こえてきたのは何か大きなものが倒れる音。

「えっ」

そこにいた兄さんが床で息もしないで倒れていた。

「兄さん!!」

駆け寄って、抱き上げてみる。
返事がない。
息もない。
青白くなっていく。
冷たくなっていく。
闇へと引きづいりこんでいく。

「兄…さん……嘘だろ……誰か…誰か」

考えが浮かばない。
目の前で何ができるか分からなくなった。
自分が目の前で死んでいくような感覚。
そんなパニックの中インターホンが鳴った。
誰か来たんだと遅れてわかると、兄さんを床に寝かせて走った。
勢いよく開けた玄関ドアには、渚と津森がいた。

「どうしたの、蒼白な顔して」
「兄さんが死んじゃう」
「何!?」

その言葉で渚と津森のの目つきはかわった。
津森はすぐに救急車を呼んで、渚は兄さんの状況をみた。

「宮君、手伝って」

やはり、呼吸はしていないようだ。
慌てて駆け寄り渚を見つめて何をしたらいいか真剣に理解しようとした。

「わかった。」

学校でおぼろげに覚えている心臓マッサージ。
強く、心臓を両手で押し、人工呼吸を俺は兄さんにした。

「光君!!しっかりして!!光君!」
「兄さん!」

外で救急車の音が聞こえてきた。
昔の事を思い出す。
色んな記憶が蘇る。
兄さんが運ばれていくのを見ていることしかできなかった。

「宮君行こう」

そっと優しく背中に手を置いて顔を覗いてきた渚の顔が涙で滲んでいた。

「大丈夫だ。行こう」

津森が自分の肩をしっかり掴み、渚の手を握り救急車に乗り込んだ。


小さな約束そして・・・・・・第五話

2008-09-04 21:15:48 | 小さな約束
自分が吐いた物に目を見開いた。
まさか、口から血液が出てくるとは誰が予想しただろう。
自分の中で何が起こっているのかと頭の中で考えがめぐる。

「兄さん、風呂あいたよ」

宮がドアを開けた瞬間、水を流した。
どんなことがあってものこれを知られる訳にはいかなかった。
また、どんな顔をされるかわからないからだ。

「あぁ、今日は入らない明日の朝に入りますよ」
「そっか、貧血のまま入ったら気持ち悪くなるよな」

苦笑しながら、ソファーに座った。
俺は、彼の話していることがまったくわからなかった。
それは、自分の思考が停止しているからだろう。
色んな記憶が掘り返される気がして、頭がグラリと揺れた。
倒れそうになった所に、ちょうど宮がいたらしく自分は支えられた。

「兄さん!?」
「ごめん、まだ治ってないみたいで」

血の気が体中から抜ける感覚に陥った。
床に血の海ができていそうで怖かった。

「ベットまでいけるか」
「えぇ」

頷くと、なんとか体を立て直してふらついた足取りで二階に上がる。
自分の部屋に入る。
ベットに横たわって、息を整える。
夜の暗闇。
沈んでいく気がした。
深く深く海のように、逃げ出せない闇の中に。


 朝の陽ざしが顔を照らして、眼を覚ました。
いつの間にか寝ていたのだ。
覚えているのは、朝の五時だというのに目が冴えている。
そう思って、携帯をいじろうとしていた。
その証拠に携帯はあけっぱなしだった。

「眠い」

現在それから一時間経って、六時ちょうど回ったところだった。
昨日の出来事を思い返す。
夢だったんじゃないかと思った。

「何があっても……生きてやる」

ベットから起き上がって、制服に着替えるがふっと気がついた。
カレンダーを見て、今日の曜日を考えると休みだということをに気づいた。

「なんだ・・・・・」

しかし、二度寝する気にもなれなくて下に降りた。
コーヒーを片手にテレビのニュースを見る。
静かに流れる時間は好き。
一人の時間が好き。
こんな時間は実に久しぶりだった。
だけど、今は一人だと闇のどん底に落とされてしまった気分にさせられる。
怖いのだろうか。
臆病になってしまったのだろうか。
脆い心。
薄いガラスでできた心は握ってしまえば、すぐにひびが入って壊れてしまうのだろう。
人間なんて脆い動物だ。
そう……脆くて弱い動物。人間以上に脆いものはないと俺は思う。

「馬鹿げてますよね人生なんて」

そう思うと、ほかの動物に生まれてくればよかったと思う。
こんな神経質にならなくてもいいのに

「兄さん、早いな」
「起きましたか。あなただって早いと思います。」

台所にコーヒーを注いで、目の前に差し出した。

「サンキュー」

コーヒーをすすり、俺の顔を見つめた。そして、ゆっくりと口が開いて言った言葉

「隠し事してるだろ」

真剣な目つき。
ほんの少しだけど眼には怒りさえあった。


小さな約束とそして・・・・・ 第四話

2008-09-03 22:00:34 | 小さな約束
暗闇に閉じ込められた感覚。
冷たくて、静かな空間。
人間がまるで感情や心を無くしてしまった。
でも、そこは長くは許されなかった。

「ん……」

意識が朦朧として何が起こったのか分からずに、天井をじっと見つめた。
数分して、自分が呼吸困難になり倒れたんだと知り、体を起こした。
鉛のように重い体。
貧血で視界がぐらついた。

「気持ちが悪い」

吐き気やめまいのセット。
いらないセットだ。
よろめきながらでも立ち上がり、ソファーに座ったときだった。

「ただいまぁ」

宮が帰ってきたのだ。
自分は一瞬ビクリと体を強張らせたが、もう一歩も動ける力がなかった。

「兄さん。腹減った」

元気よくドアを開けて入ってくる宮。

「お帰り、早かったですね」

苦笑しているのがはっきり自分でもこの時はわかった。

「兄さん……どうしたんだ!?真っ青じゃん」

駆け寄る宮の顔は、なんとも笑えたが真剣な顔なので笑いを堪えた。

「ちょっと貧血です。大丈夫ですから」

力の入らない足で立ち上がろうとしたが、床にそのまま座り込んでしまった。
宮は俺をひょいっと抱き上げた。
抱き上げた瞬間、眉を顰めて俺を見つめた。

「兄さん、痩せただろ」
「え?」
「軽すぎ、女みたいだぞ。それに、ろっ骨が手に当たるぐらい痩せこけてる。ちゃんと食べてないだろ」

宮が言っていることはあったていた。
最近食欲がなく、すぐに吐きそうになるのでお粥や飲み物やサプリメントで食事はすませている。
だから、ここ二週間で15キロも痩せた。
その真実を言えるまでもなく

「いや、ちゃんと食べてるが」

ソファーに下ろされて、ほっと一息ついた。
宮は、心配そうにソファーの横に膝をついて子供のように頭を撫でる。
しかし、その手が少し震えているのがわかった。
思った、また心配かけてしまったんだと。

「ごめん、大丈夫ですから」

そっと手を握って胸元に引き寄せた。
幼い頃と同じように。
落ち着いてきたのか、震えが止まり逆にぎゅっと自分の手を握って頷いた。

「夕食どうしましょうか」

壊れ物を扱うように、優しく頭を撫で

「俺が作るよ。だから兄さんは休んでて」

涙目になりながら、見つめた。
同じ顔
同じ声
まるで自分を見ているような気がした。

軽い夕食を食べてから、ようやく体を動かせるようになった。
宮が風呂に入っている間、病院からもらった増血剤を大量に飲んだ。

「ゴホッゴホ……ゴホッ」

いつもの咳が静かな家に響く。

「ゴホッ……ゴホゴホ。……っ」

嘔吐感を覚えて、流しに駆け込む
流しに吐いたものは、食べ物ではなく赤い血だった。


小説内の血液についてです。

2008-09-03 15:21:37 | 日記
小説に書いている血液についてですが、本当のことです。
俺自身がそういう体なんです。

血液上の赤血球が小さくて色素が薄いのです。
そのため疲れやすくて、息苦しいのがたまにあるのです。
俺なんかは、症状があまりないのですが、本当に全体的に赤血球が小さくて色素が薄いと心臓が勝手に止まったりそのまま死んでしまう人がいるみたいなんです。

この小説で、こういう人たちもいることを知ってもらいたく思っています。
そして、俺と同じ症状や悩んでる人は相談に乗ります。

この小説は本当のことではないですが、症状や病気については本当のことを書いているのでよかったら読んでください。

小さな約束とそして・・・・・ 第三話

2008-09-03 14:48:55 | 小さな約束
夕暮れが一日の終わりを示している。
オレンジ色に染まっていく空は、なんとも言えない思いに駆られる。
1人で歩く長いまっすぐな道。それさえ、自分には寂しくて誰かに頼りたくなってしまう。

「脆い」

誰もいない。
ここなら、泣いてもいいだろうか。
だけど、きっと泣いてしまったら、立ち直ることができない。
泣かない。

病院というものは、好きな人はいないだろう。
真っ白で、まるで蒼白な表情とした人間みたいだ。
生気を奪われそうになる感覚に陥る。病院の受付はもうすっかり慣れていて、自分の顔を知っている人が多い。

「あら、早瀬君来たのね」

にっこりと微笑む受付の女性。
二十代後半といったところだろう、いつもこの日この時間は、この女性がいつも担当しているようで、顔を覚えられてしまった。

「うん、今日は診察の日ですからね」
「そうね、はい診察券」
「ありがとうございます、お姉さん」

作り笑いをしながら、診察券を受け取って、待合室に向かう。
普通の日、それも夕方はほとんど人がいない。それは、予約してある人しか診察しない時間だからだ。
俺はぼーっとしながら、名前を呼ばれるのを待った。

「早瀬さん」

看護婦が自分の名前を呼ぶ。
立ち上がり診察室に入ると、眼鏡をかけた若い先生がそこに座って微笑んでいた。

「いらっしゃい。君で最後だよ」
「そうですか。よかったです」

目の前の椅子に静かに座ると、先生は聴診器を手に取った。

「幸田先生。その……結果でましたか」

まっすぐ見つめて、答えを待つ。

「……」
「先生?」

さっきまで笑っていた表情をなくして、真剣な眼差しになっていた。
俺は思わず唾を飲み込んだ。

「真剣に聞いてくれ」
「はい」

ゆっくりとした口調で話し始めた。

「君の血液内の赤血球の大きさが普通の人よりもすごく小さい。それに加えて血色が薄い。その意味は、酸素がちゃんと運ばれないということ」
「それが……何か問題でも」
「ここからが問題だ。君、呼吸困難になったり、貧血や倒れたりしたりしなかったかい?」

顔を覗き込んで、俺を見つめた。
思い当たるのたくさんあった。
貧血で倒れるなんてしょっちゅうだったし、呼吸困難なんて日常茶飯事。もう一つは、なんどかそれで心臓が止まりかけてしまった。ということ

「あります」
「もう一つを心臓が止まってしまう可能性が高いということ」
「それは、何度かありますけど」
「やはり……これは治らないんだよ。ひとつは増血剤を飲んで血液を多くして、その症状を軽くする。それしか対処方法はない」

カルテをそっとデスクに置いて、眼鏡を外した。
俺は、驚きもしないで普段のことだということだから、冷静だった。

「いつ、心臓が止まって死ぬかもしれない」

見据えている目。
自分は何故か冷静だった。なぜだかわからない。
死というものが怖くないようだった。
むしろ、今この場で心臓が停止してもよかった気がした。

「わかりました」
「とにかく、増血剤だけはちゃんと飲んでください」
「はい……ゴホッゴホッ」

頷くと、いつもの咳が出てきた。

「ん?風邪か?」
「えぇ」

また嘘。
風邪なんかじゃなかった。
それは、二年前から続いている原因不明の咳だった。
だけど、気にすることはしなかった。癖になっている咳なのかと思っていた。

「じゃ、今日の診察は終わりだね。あぁ、くれぐれも安静に。急激な運動や走ったりしないように、具合が悪かったら俺を呼んでくれいいな」
「わかりました」

携帯電話の入った名刺を受取り、その場を後にした。


 家に帰って、またいつもの息苦しさが自分を襲った。玄関で息苦しさに倒れると涙があふれてきた。
苦しい。
辛い。
逃げたい。
そして……死にたい。

いろいろな思考が自分を襲う。

「脆い……脆い」

こんな自分がなぜ生まれてきたのだろうか。
自分は必要なのだろうか。
意識が朦朧とする中、自力でリビングまで這ってたどり着いた。

「死……」

そこで、俺は意識の通信が途絶えてしまった。

小さな約束とそして・・・・・ 第二話

2008-09-02 21:47:47 | 小さな約束
小さな約束は守れなかった。
だけど、ひとつだけわかったことがあるんだ。
俺たちは幸せだったんだって事。

曇り空から顔を覗かせる太陽は、眩しく輝いて俺たちを照らした。

「晴れたねぇ」

空を見上げながらつぶやく渚。
俺は、その時微笑んだだろう。

「もう……三年か」

津森は囁く。

早い年月。
止まることを知らない時の流れ。
それは、誰でもわかっていること、だけど分からないのは、その時の流れからなる運命の流れ。
何時何処でどうなるかなんてわからないこと。
誰にだってわからない。
預言者だとしても絶対的な予言はできないはず。どこかに間違えが必ずある。
だから、運命。

三年、もう何十年も昔の話のようだった。
思い返せば、長い長い物語だったんだろう。

「長かった。」

終わらない。
終末なんてありはしないと思わせるくらい長かったと思った。

「あぁ」

墓に挟まれている道を歩きながら、津森はうなずいた。

「あった」

小走りしながら渚は一つの墓に近づいた。
それには、俺と同じ苗字、そして……光(みつ)という名前が刻まれていた。

「来たよ……兄さん」

一瞬時が止まったように思えた。
静かに、木々のざわめきさえなかった。


 白い廊下よりもベージュという色だろうか。あまり目に刺激がない色。それが学校の色。俺の居場所の一つなんだろう。最初にこの学校に入った時は、地味な色でつまらないと思ったが、慣れてくるとそうでもないと思う。

「宮」

後ろから突然声がかかると、体は一瞬強張る。

「光ですか」

俺の片割れだと知ると、体から一気に力が抜けるのがわかった。
きっと微笑みながら近づいたのだろう、光も笑顔で俺に近づいた。

「びっくりした?」
「あぁ、普段名前で呼ばないでしょう?」
「なんとなく、呼んでみたかった」

柔らかな笑いを見せながら、目の前に立った。
自分は苦笑しながら目の前にたったと思う、その時彼に何を言っていいかわからなかったからだ。

「どうしたんですか?何か用でしょう?」

ほんの少しの沈黙。

「うん、今日天気がいいから遊ばない?渚とか津森とかで」
「遊ぶ?」

首を傾けて、聞き返した。

「うん、カラオケ」
「そうですか。楽しんでくださいね」

作り笑いをして、光の頭に片手を乗せた。
光は、ほんの少し思考が停止したのか返事が返ってこなかった。

「なんか……用事?」
「えぇ、少し」
「何処に行くの」
「図書館に本を返すんですよ」

嘘。
隠し事なんて今までどれくらいしてきただろうか。
こんな嘘したくない。
隠したくない。
だけど……迷惑になるから。

「それに、図書館の後、ピアノを弾きに行きたいので」

光は複雑そうな顔をした。しかし、すぐに笑顔になって俺の瞳をまっすぐ見詰めた。

「わかった。だけど罰として夕食頼んだぞ」

肩を軽くパンチして満面の笑顔。

「わかった」

微笑んで、また光の頭をなでた。

「じゃぁ、行ってきます」

廊下を走って一度振り向いて手を振るのをみて、俺はすかさず手を振った。
背中が見えなくなると、俺は罪悪感で胸が張り裂けそうだった。
嘘をついた事。
憎いと思ってしまう自分。
それは、俺が長くない運命を辿ろうとしているからだろう。

小さな約束とそして・・・・・ 第一話

2008-08-29 23:32:46 | 小さな約束
自分が愛してくれる人がいた。
支えてくれる人たちがいた。
自分たちは二人で一つの存在だった。
だから、世界で生きていられた。


人間の寿命なんて短い。
すぐに途切れてしまう。
脆くて、弱くてガラスのように扱わないと、ガラガラと音を立てて壊れていってしまう。
どの人間も同じだ。
弱くても、強くても同じだ。
それが、人間だからだ。

生まれてから、この18年間ずっと一緒に育ってきたんだ。俺たちは生まれてからずっと一緒に、離れることなく生きてきた。それが運命だったからだ。人間は誰しも運命を背負って生まれてくるんだ。それが、二つに分けられてしまっただけ。俺たちは、ずっとこのままも結婚しても老人になっても、このままだろう。そんなことを簡単な考えで思っていた。自分たちのどちらかが死ぬなんて考えたこともなかっただろう。誰が考えただろうか、二つの片方が壊れてしまえば、バランスさえ失うのに……。
今でも不思議に思う。

どうして、あの時考えなかったんだろう。片方が死んでしまったら自分がどうなるんだろうかということを……


 きっと、今は何も言わなくても死というものを理解できるだろう。それは、きっと兄さんだってわかっていると思う。空の上から……

『ずっと一緒だよ』

約束した。
小さな指を絡ませて、小さな約束。
いつも、一緒にいようと笑いながら約束した。
だけど、それは願い。絶対的ではない。そんなことも考えてなかった。
永遠なんてありはしない。
それは、人間や動物の特権だ。
木や花ではないのだから、人間は機能が停止してしまえば動かなくなってしまうのだから。
約束……小さな小さな約束。
それさえ、人間は叶えることはできない。


 一日の始まりが、まるでどんよりとした曇り空のようだった。まるで、今日の命日を知っているようだった。早い年月、早い時間。すべてが猛スピードで流れ続ける。それはきっと兄さんのせいだろう。

「よっと」

妙に静かで気だるい朝。
鳥の鳴き声もしない。
兄さんは静かな人だからだろう。

「早く行かなきゃ」

白と黒の服。
静かな家に電話が鳴り響く。
たぶん、アイツらからだ。
電話を取る。

「もしもし」
「あっ、早瀬?」
「あぁ」
「もう、家でたけど……」
「こっちに来てくれ」
「桜井も連れてこようか」
「あぁ頼む」

電話が切れてから、ツゥーツゥーという効果音に少しだけ耳を傾ける。
音を立てずに受話器を置くと、二階にあがって着替える。
冷たいYシャツ。
着なれない黒いスーツ。
雨の降りそうな空を反射する窓から見つめる。

「兄さん、笑ってよ」

ひんやりとした窓に触れ、少しだけ隙間を空ける。
冷たい風が頬を掠めて、体を冷やす。

「おぉい!早瀬!」
「津森……」
「おはよう」
「桜井……」

窓をしっかりとしめて、下に降りた。
玄関を開けて。
二人の顔を見つめた。

「よぉ」

片手を上げて、挨拶をする津森鷹也。

「ちゃんと寝れましたか?」

微笑んでいる、桜井渚。

「ちゃんと寝れたよ」

苦笑する自分、早瀬宮。

「いくか……アイツの処に」
「光君のところに」
「あぁ」

曇り空から覗かせる太陽の光。
笑ったんだ。
兄さんが。
掌を空にかざして俺は眼を細めた。


続く……。


あとがき

随分長い文章になってしまいましたが、号泣できるような小説を書いていきたいと思っています。
読者の方、コメントよろしくお願いします。





曇り空

2008-08-25 16:05:23 | Weblog
最近雨が多くて洗濯物ができません。

さてさて、最近全然詩を書いていない私ですが、何のイメージ浮かびません。

それはそのはずですね。

やる気がまずないんですから

ま、いつかまた来るでしょう。
イメージ


今は、小説家になるために必死こいてます。
もう、19歳ですからね。
大人になっていく自分になんかのケジメをつけなければいけないとおもいます。

大人といえば、それは何のですかね?

「大人」というだけで自由になれる

そんなことはないと思います。

大人だから出来ない事があるとおもいます。
大人はやってはいけないことが沢山ありすぎて、それは束縛しているのと同じ事だと私は思います。

大人という世界には沢山の束縛があって。
それは、見えない鎖となるんです。

ある意味SMッスね

苦しい世界だと思いますよ。

まぁ、私はその世界が好きですけどね。

まぁ、随分更新してないんで

2008-08-24 19:22:53 | Weblog
結構更新していないんで、日記でも書きますね。

この間まで海外旅行にいっていました。
まぁ、私実はハーフで、シンガポールのハーフで毎年かえってるんです

まぁ、暑かったですよ。
すごく、すごく


さてさて、恋人というものは、こんなにも心を弾ませるものなんですね。


というのは、最近好きな人ができたんですよ。
それは、まぁあまり世間には言えないんですよ。
ある人は知っていますがね(藁


まぁ、恋っていいかもしれないね



最近は外に出かけるのも怖くて出られないですね。
通り魔事件が多発している。

人は人を殺すとためにあるわけではないのに
どうして、こんなにも人を殺すのでしょうか。

それは人が人を殺す楽しみがあるからでしょうか?

違うと思います。
それは、何かの異変でしょうね。
現代は変わっていくんだと私人身では思います。
それが現代の日常になっていくのであるんだと……

急に時代が変わっていく、昔のように急激に少しずつというのは矛盾している言い方かもしれませんが、少しずつ急激時代が変わっていくんだと。

それとも、神が私たち人間たちをリセットさせようとしているのでしょうか。

それは、地球を助けるためでしょうか。

「ヒト」
「カミ」
「地球」

それは、つられた人間
作ってしまった、神様
そして、地上

私たちはココに何をするためにいるのでしょうか。
なんのために生まれてきたのでしょうか

人間はそれを追うためにここにいるのではないでしょうか。
「無知の知」

人は人を殺すためではなく
人は人であり人らしく生きるために
ここにいるのではないでしょうか。


アイ

2008-05-03 11:22:10 | Weblog
愛してるって

私に君は言った

でも本当は

違う気がする

愛なんて知らないくせに

その気持ちが

「愛」というのならば

私は君じゃない誰でも

「愛」を持ってる