ほるすのしっぽ

のんびりいきます
のんびりお付き合い下さい(笑)

久し振りの手話

2007年09月29日 | 日記
今日の午前中、3つ先の駅まで所用で出掛けました
電車を降りて数歩歩いた時、50代前半とおぼしき女性から背中をポンポンと叩かれました
一瞬「?」と、誰でも思うと思います
「あれ?傘を電車に置き忘れたかな?」とかね

振り向くと、彼女が時刻表&路線図案内板の方へ向かいながら手招きします
「ああ、耳が聞こえないのだな」と思った私は、彼女の元へ向かいました

彼女は駅名を指さし、次に私が乗ってきた電車を指さしました
「この電車でここに行ける?」ってことです
私は大きく頷きました

でも、行けるには行けるんですが、その電車は彼女の目的地の手前が終点なので、途中で乗り換えなければなりません
到着案内を見ると、次の電車だと乗り換えずに目的地まで行けることが分かりました
そして、自分でも意外だったんですが、「次の電車の方がいいですよ」と手話で彼女に伝えていました
だって、久しく手話は使っていなかったから、言葉が出てくるなんて思ってなかったんです
その瞬間に、彼女の顔がパァ~と明るい笑顔に包まれました

彼女「手話が分かるの?」
ほ「ほんのちょっとだけね」
彼女「勉強したの?」
ほ「ずっと前にちょっとだけ勉強したことがあるの。でも昔過ぎてほとんどを忘れてしまったのよ」
彼女「そんなことないわ。どこで勉強したの?」
ほ「○○区の手話講習会なの。△△△の近くの」
彼女「あぁ、そうなのね。そこの講習会は私も知っているわ。私は□□□の講習会会場が近いから、そちらに友達がいるのよ」

最初、□□□の地名の部分の手話が分からなくて、「???」だったんですが、しばらくたって「あ!地名だ!」と気が付いたのですが (^^ゞ

ほ「もう10年以上も前のことだから、ほとんど忘れてしまって残念だわ。でもね、機会があったらまた勉強したいと思っているの」
彼女「そうなの?是非もう一度頑張って」
ほ「ありがとう。もう一度頑張りたいと思ってるわ」
彼女「これから遊びに行くの?」
ほ「お医者さんなの」
彼女「そうなの。お大事にね」
ほ「ありがとう」

実際の会話は、彼女の方がもっとたくさん話していました
でも手話のスピードが普通のスピードだったから、彼女が何を言っているのかを読むのに必死で、細かく覚えていないのです

私は日本語の手話を1年半かじって、その後しばらくのブランクを経てアメリカ留学中にアメリカ手話のカルチャースクールに通ったり、アメリカのデフのFBI捜査官のドラマにはまっちゃたりしたもんだから、両方が入り交じっちゃって、はっきり言って「手話が出来ます」なんてレベルではないのです

でもね、今日久し振りに思い出しました

一人の通訳より、100人の“少し手話が分かる人”の方が、聾唖者には嬉しいの

区の手話講習会の時の講師の言葉です

以前にもこの言葉の持つ意味を知るシーンに出会ったことがありました
両親と愛知の叔母の家に行く途中で豊川稲荷に立ち寄った時のことでした
15人くらいの中年男女の団体さんが楽しそうに歩いていました
大きなおキツネさんの前に差し掛かったときに写真を撮ろうと皆が集まり始め、その中の一人が私に向かって歩いてきました
そして私にカメラを渡し、皆の方を指さしました
私は頷いてカメラを受け取り、皆の方を見ました

ファインダーを覗くと横に広がり過ぎていて、ちょっと収まりが悪いなと思ったので、「ちょっと待って」と手話で合図をした瞬間、皆がお互いに顔を見合わせ、パァーっと明るい表情になりました
もちろんその前から、皆さんは十分に楽しそうだったんですよ
でもね、表情が一変したんです

そして「3、2、1」と指でカウントダウンをしてシャッターを切り、念のため「もう1枚!」と手話で合図をしてもう一度シャッターを切りました
次の瞬間、私は彼ら・彼女らに取り囲まれました
「手話が分かるの?」「どこから来たの」「誰と来たの?」etc
その間、母は特に驚く様子もなく、父はビックリした顔で私を眺めていました
「なんだお前、すごいじゃないか」と直後に言われましたが、その時は今よりはまだ手話の単語を覚えていたので、割合とスムーズに会話ができました

今日、駅で彼女と出会ったことで、講師の言葉をしみじみと思い出しました
そして、明るい笑顔になった彼女以上に、私自身が、なんとも言えない充実感に包まれました
時間が迫っていなかったら、次の電車が来るまで彼女と話していたいくらいでした

今はまだまだ仕事が大変で、勉強を再開する余裕はありませんが、いつかまた手話の勉強をしてみたいな~と思ったのでした
少し手話が分かる人の一人になるために・・・

耳が聞こえない人は手話でコミュニケーションをとる
目が見えない人は白杖を使って足元を確かめる
歩けない人は車椅子を使う

私は視力が弱いから眼鏡をかける
どれも同じことだと、私は思っている

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1 コメント

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Unknown (Bono)
2007-09-30 00:27:20
健常者には些細なことかもしれない・・・
でも、そういう立場の人にとっては
すごく、ありがたい事であり、また、嬉しい事だと思います。
パァーっと明るい表情なるのも、
ものすごくよくわかります。

そんな気持ちをみんな
ふっと忘れしまいがちなのかもしれない

そいう優しい手を差し伸べる気持ち
いつまでも大切にしてください

また、手話の勉強を始められるといいですね

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