夜明けのダイナー(仮題)

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SS:ROCKSHOW <その6(最終話)>

2010年10月07日 21時46分00秒 | ハルヒSS:シリーズ物
   (その5より)

「やあやあ、皆の衆。 おっ疲れさん! いや~良いステージだったよ、めがっさ盛り上がったさ。 打ち上げの用意がしてあるから、着替えたら家庭科室に来るにょろ!」 あ、鶴屋さん、重ね重ね申し訳ありません。
男2人はSOS団部室、女性陣は軽音部部室で着替えて家庭科室に向かう、すると

   「おお~っ!!」   ずらりと並んだ料理の数々

「カレー持って来たぜ!」 と谷口。 国木田・阪中も居るな。 ウチのクラスで作ったカレーか。
「焼きそばもあるにょろ」 お、これは鶴屋さんのクラスですな。 そして、おでんもあるな、朝倉か? 
「ビンゴ! 昨日作ったのを持って来たのよ」 やっぱりか。
「ケーキ持って来たよ。 僕が作ったんだ、食後にどうかな」 佐々木、わざわざありがとな。
「構わないよ。 あ、運んで来たのは僕と国木田だよ。 さすがに一人で持って来るには大変な量だからね」
「あ、お茶淹れますぅ~」 朝比奈さん、お疲れの所、申し訳ありません。
「キョン! さっさとお茶配りなさい、乾杯出来ないじゃないの!!」  へいへい、どうせ俺は雑用係ですよ。
「お茶行き渡ったかしら? それでは文化祭ライブの打ち上げを始めます。 乾杯!」
 
   『かんぱ~い!!』


「キョン、お疲れ様。 ライブ良かったよ。 あんなステージの上で楽しそうにしてる姿は初めて見たよ」 確かにそうだな、国木田。 そもそも俺のキャラクターじゃないしな。
「カレーハウスはどうだった? 悪いな、手伝えなくって」
「気にするなって。 あのステージを見たらクラス中、反論する奴は居ないぜ」 ありがとな、谷口。
「所で、お前の本命はてっきり涼宮とばかり思ってたが、やたら朝倉と仲良くなってる所を見ると、乗り換えか!キョン?」
――アホか、話にならん。 他のメンツも料理を囲んで談笑してる。 長門、カレーばかり食べてるが、旨いのか?
「……早朝から煮込んである上に、男子生徒の努力が垣間見える、美味」 そうか、良かったな。 あ、朝倉、おでん旨いぞ。
「うふ、ありがと。 また冬になったらウチに来て。 作ってあげるわよ♪」 さいですか、気持ちだけ受け取るよ。
ハルヒは阪中と話してるな、邪魔しないでおこう。 朝比奈さん・鶴屋さんもENOZメンバーと盛り上がっているな。
古泉は……おや、佐々木と神妙な顔つきで何やら話してるな。 今後の世界情勢について語っているのか? 小難しい議論の間に入る気は無いな。
結構飲み食いしたせいで腹一杯だ、トイレに行って来るか。
 

気が付けば校舎に西陽が射して外の風景を茜色に染めている。 高2の秋も終わりを告げようとしている。 学園生活も折り返し地点を過ぎた。   誰も居ない廊下を一人、黄昏ながら歩いて行く。
 
   「祭りの後の静けさ、か」

余計に寂しくなって来たな。 早くトイレに行って戻るとするか。
 


用を足した帰り道――あ、手はしっかり洗ったぞ。
「やあ、キョン」 
「あれ、佐々木。 どうした」
「橘さんに呼び出されてね、失礼させて頂いたよ。 今日は楽しませて貰ったよ。 勉学の合間の息抜きにとして最高だった、有り難う」
「いや、本当なら学校内を案内するべきだったんだろうが、大して構う事すら出来なかった。 すまん」
「くっくっく、とんでもない。 あのステージが見れただけでも充分価値はあったと言う物だ。 残念なのは記録媒体を持って来る事を失念してしまった、非常に悔やまれる」
「そうか。 でも良いじゃないか、思い出にはなったんだろ」
「……所でキョン、折り入った話があるんだが、時間は良いかな?」 いや、お前こそ橘に呼ばれたんじゃ無かったのか。
「何時に来てとは言われなかったのでね、それより手を出して目を閉じていてくれたまえ」 ――閉鎖空間、か。 何か訳ありなんだろう。 まあ佐々木の頼みだ、聞いてやるか。 
「解った」お馴染みとなった違和感の後、目を開ける。 



オックスフォード・ホワイトの空間、間違いなく佐々木の閉鎖空間だ。 しかしながら、見慣れた建物が見えるが……
「北高、つまりはココだよ」 目線を下げ佐々木を見る。 んぁ? 北高の制服!?
「どうかなキョン、似合ってるかな」
「うん、悪くないぞ。 むしろ良いと思うぞ。 モデルが良いからな」
「ありがとう、素直にその言葉、受け取って置くよ。 しかし『モデルが良い』とは、キミのストレートな感情表現かい? だとしたら僕は少し恥ずかしいと思うよ。 あ、キョン、キミの事では無く僕が、だよ。直接的に言われた事が無いからね」
「そうなのか、佐々木なら言われてるだろ」
「いや、他人の評価では無く『キミから』の評価だよ。 所でこんな事を語る為にココに呼んだのでは無いのだよ。 あと、余り時間を掛け過ぎると涼宮さん達が心配するだろうから、なるべく手短に用件を済ませる事にしようか。 僕としては不本意ではあるが、時間と言う物は有限であるから有効に活用するべきであろう。 失った時間は取り戻す事が出来ないからね。 所でキミは国木田から『何故、北高を選んだ』のか、聞いた事はあるかい?」 
「いや、全く」
「彼の学力なら、それ相応の学校に通えただろう。 しかし、彼の言い分は『一度しかない高校生活だよ。勉強ばかりで根詰めるのもツマラナイしね』だそうだ」
確かに、テストで学年トップ10から落ちた事の無い国木田だ。 俗に言う難関校って奴にも入れたんだろうに。 しかしだ、あの1年に製作した映画(ミクル伝説)にも、嫌がる谷口を横目に割と楽しそうに参加してたしな。 国木田なりに学校生活を楽しんでいるんだろう。
「それを高校受験前に聞いた時『何を目先の事を考えて居るのか、更なる将来の為に目指すべき道は違うのでは無いか』と思ったよ。 事実、僕は俗に言う『難関校』に行った訳だ。 僕の両親の意向が強かったのは間違いないがね。 実際、学費と言う物は両親が出してくれる訳だ、スポンサーには逆らえないのは世の中の摂理だ。 国木田の両親は寛容だったのだろう。 そして、レールの上に沿って進み始めた僕はキミと別れ――高校生活は灰色だったよ。 勉学に明け暮れ、他に何も無い生活。 あるのは成績と言う物差しの上での戦争。 同じクラス・同じ学年の間で争う戦い、勝つか負けるか。 負けない為には日頃から勉強するしか無い……そして1年が過ぎた。 僕には何が残ったのだろうか。 思い出は何も無い。 春夏秋冬、只過ぎ去るのみ。 行事と言う物も楽しめず、只消化するのみ。 何も無い、何もかも失くしてしまったのだよ、僕は。 違う、『私』は――」
 
   泣いていた、あの佐々木が……『私』と言って泣いて居た。
 
「そう、『将来の為』と言って見えない未来を求めたのは私。 『目先の利益』を求めた国木田を見下したのも私。 でも、『今を生きる事』を放棄して、結果、何もかも失くしてしまった弱い人間なのが私だと知ってしまったのよ! そして何よりも、1年過ぎ去って改めて一番大事な『モノ』を失くしてしまった事に気付いたの。 ううん、中学卒業前に失くすと知ってて、現実から目を逸らして、その事実を受け取る事を拒否していたのよ。
 
      キョン、貴方の『存在』を
 
事実、中学3年生の1年間は私にとって非常に輝かしい思い出として残って居るの。 モノクロームの映画の中で、そのシーンだけが鮮やかなカラーフィルムで映されたかの様にね。 あの1日1日が今でも忘れる事が出来ないのよ。 貴方と一緒に居た教室。 一緒に通っていた塾。 貴方の自転車の後ろ。 私は『この時間が永遠に続けば良い』と思って居たの……でも、無常とは良く言った物ね。 そして私は自分の中で芽生えていた想いを告げる事無く卒業を迎えてしまった。 その時は互いの将来の為に封印するべきと考えて、伝えなかった事を正しいと思っていた。 でも、今年また貴方に出会い、この週末貴方の自転車の後ろに乗せて貰った時、自分の記憶の片隅に追いやっていた感情、ううん、『想い』が再燃したのよ。 『恋愛は精神病』とは言った物ね。 こんなにも重症になってしまうなんて……だって、止められないもの、自分の感情が――
      
      『キョン、貴方の事が大好きです。 愛しています、世界中の誰よりも。』」
 
「すまん、佐々木。 お前のその想い「ストップ!」」 佐々木さん、俺、まだYES・NO、言ってませんよ。
「くっくっく、惑わせて悪かったね。 確かに今までのはペルソナを外した僕の本心だよ。 そして、それは今も不変だよ。 だが考えてみたまえ。 単純な告白ならば、わざわざこの空間にキミを招く必要はあるまい。 そう思わないかい? 尤も、通常の世界ではペルソナを外す気は無い上に、そもそも告白をするキャラクターでは無いと思っている。 あと、野暮な事を付け加えるならば、『彼女』に見られたら世界が崩壊する可能性も否定出来ないしね」
「何故だ? 俺に対する佐々木の告白とハルヒに何の関係が?」
「ふふっ、誰も『涼宮さん』とは言って無いよ。 しかし、妙に鋭い癖に肝心な所で鈍いね、相変わらず」
「何の話だ、さっぱり解らん」
「……さあ、一方的な告白ショーは終わりにしよう。 キミの決心も揺らぎそうに無い事も理解した。 あのステージ、キミは朝倉さん……とか言ったかな、彼女と一見、仲良さそうに見えたが、本命は違うと改めて思ったよ。 キミが彼女に向ける顔、そして彼女がキミに向ける顔は、どうやら特別なモノがあるようだ。 僕も、僕自身野暮では無いと思って居るから、邪魔はしないよ」 佐々木は涙を拭いながら少し俯いた後、満面の笑みで
 
      「ありがとうキョン。 さようなら『私の初恋』」
 
俺の肩に佐々木は両手を回し、互いの顔が近づく――閉鎖空間でのキス……あれ、佐々木の閉鎖空間って、キス関係無く出れたんじゃ無かったか? と思ったが、考えてみれば『自覚した入った閉鎖空間』ってキス関係無いじゃないか。 そうでなければ俺は橘や古泉とキ……止めてくれ、反吐が出そうだ。 ハルヒとの閉鎖空間は『無自覚』だったな。  それでは佐々木さん、このキスは何ですか?
「さあ、戻ろうか。 いい加減にしないと『彼女』の怒りを買ってしまうからね」
 
 
気が付けば、陽がどっぷり暮れた廊下。 眼下には夜景が広がりを見せ始めて居た。
「すまなかったねキョン。 時間を取らせてしまって」
「こちらこそ……すまない佐々木」
「いや、キミが謝る事は何一つ無いさ。 僕の我が儘を聞いてくれたんだ。 改めて感謝するよ」
「……なあ佐々木」
「なんだい?」
「お前の想いには答える事は出来ないが、俺とお前は『親友』って事には変わりは無い。 これからもだ、約束しよう」
「くっくっく、相変わらず優しいねキミは。 その優しさで他の女性を泣かせる真似は止めてくれたまえよ」 何の事だか、さっぱり解らん。
「ありがとうキョン、僕も約束しよう。 では行くよ」
「おう、じゃあな佐々木。 気をつけてな」
 

――行ってしまった。 これで良かったのだろうか? 否、良かったのだ、これで。
「……長い録音時間でしたね」 ぬわっ、古泉?何時の間に。
「『録音時間』? 何だそりゃ」
「『おといれ』ですよ」 つまらん、座布団全部持ってけ。
「失礼致しました、どうしたのです」
「いや別に、黄昏れていただけだ」
「確かに『つるべ落としの秋の夕暮れ』。 黄昏れたい気持ちはお察しします。 涼宮さんが探していましたよ。 そろそろお開きにしたいそうです」
「そうか、悪かったな古泉。 わざわざすまん」
「結構ですよ、気にしないで下さい」
「所で古泉」 
「何でしょう」
「……佐々木と小難しい顔をして何を話していた」
「気になりますか? 日本の経済「嘘つけ」」
「バレましたか」 解るわ。
「――『貴方について』ですよ」 ん、俺の事か?
「佐々木さんと僕の間で導き出された結論は『貴方は聞き上手』と言う事です。 佐々木さんの難解な話術・僕の説明口調・そして涼宮さんの命令。 いずれも貴方は一通り理解した上で返答している、それも的確に。 だから僕にとって・佐々木さんにとって・そして涼宮さんにとって、貴方は大切なんですよ……立場の違いは別にして、ですがね」
「そうかい。 まあ、褒められて悪い気はしないな。 素直に受け取るよ」
「こら~、バカキョン! 古泉君。 男の友情を深めるのは後にしなさい。 そろそろ打ち上げ終わりにするわよ、片付け手伝って!!」 遠くからハルヒの叫ぶ声がする。
「へいへい、それでは行きますか」
「そうですね、参りましょう」  友情を深める、か。 青春だね、いいじゃないか。
 
片付け終了。
「すっかり遅くなってしまったね。 タクシー用意すっから、乗ってくにょろ!」 鶴屋さん、もう至れり尽くせりですね。 言う事ありません……しかし、そのご厚意、俺は受け取る事が出来ません。 お許し下さい。
「ハルヒ」
「な、何よ」
「一緒に帰るぞ」
「ふぇ!?」 お前は朝比奈さんか。
「駄目なら構わん」
「べ、べ、別に良いわよ。 仕方ないわね、そこまで言うなら付き合ってあげるわ。 団長の送迎も雑用係の仕事だもんね!」 へいへい、仕事じゃ無いんだがね。 好きでやってるから。 ほら、そこ、生温かい目で見ない。 谷口も「ごゆっくり~!」って泣きながら叫んで出て行ったな。 帰るんだから、ゆっくり出来ないぞ。
「そう言う意味じゃ無いと思うけどな」 ん、国木田。 何か言ったか?



門の前でタクシーに分乗した全員を見送り、俺はハルヒと坂を下り始める。
「終わったな」
「うん、無事に成功したわね。 皆のおかげよ。 それにキョン……あんたが居たからよ」
「俺が?」
「そう、あんたが一緒に居て励ましてくれて、時には文句を垂れていたけど、たまに引っ張ってくれて、嬉しかった。 本当にやって良かったって思っているの」
「そうか。 俺の方こそ、ありがとよ」
「何で?」
「楽しかったからな。 そりゃお前の思いつきは正直勘弁して欲しい時もある。 でもな、最後は楽しかったって思える。 勿論、俺だけじゃない。 長門・古泉・朝比奈さん、そして朝倉もな」
「……そう」
「あ、ハルヒ、時間良いか?」
「どうして?」
「……一緒に来て欲しい場所があるんだ」

途中の自販機で飲み物を買って、その場所に向かう。
「寒くないか?」
「ちょっとね、もう11月。 今年もあと少しね」
「早いよな、全く。 あ、ここなんだ」 住宅街が見下ろせる高台、取り立てて夜景が綺麗と言う訳では無い場所なのだが
「実はなハルヒ、去年の冬、俺が入院しただろ。 その時悪夢を見たんだ――ハルヒが居ない。 いや、ハルヒと出会っていない世界の夢を。 俺の記憶の中にはハルヒが居た。 でもクラス中は誰も知らない。 そう、元々ハルヒは北高に居なかったんだ。
朝比奈さん・長門も俺を知らない、古泉も転校して来ない、そんな世界。 とても怖かった。 気が付いたらハルヒ、お前を探してた。 お前の居る世界に戻りたい、と」
「……」
「現実には頭打って3日間寝込んでたって話だが、俺にとっては、その悪夢の方が現実的だった。 もう二度と、こんな思いはしたくない」 俺はハルヒの手を握る。 
「だから、何処にも行かないでくれ、ハルヒ!」
「……ばか」 小声でつぶやくハルヒ。
「何言ってんのよ、あんたらしくないわね。 心配しなくても大丈夫よ。 だって『あたしは、ここに居る』」
「すまん、そうだよな」
「当たり前じゃない。 他の皆も居なくなったりしないわよ」
「ありがとう、ハルヒ」   握り締めた手は、強く――
「それともう一つ、言わなければならない重要な事があるんだ」
「何よ、もったいぶってないで言いなさいよ」
「実は……俺、精神病に罹ってしまったんだ」
「ハァ?」
「しかも、自分で気付かない間に進行して、もう取り返しのつかない重症らしいんだ」
「あ、あ、あんた、大丈夫なの?」
「……それを治す手段は1つしか無いらしい」
「ど、どうすれば良いの?」
「それはな、原因となる相手に対して思いを告げる事なんだ。
 
      『ハルヒ、好きだ。 ずっと一緒に居て欲しい!』」
 

――しばしの沈黙。 やっちまったか、俺。
 
「……ョン、バカキョン。 バカ! バカ! バカぁ!!」
ハルヒが俺を強く抱きしめて来る。 そして……泣いて居た。
「あたしもあんたが好きなの! キョンの事が、大好きなの! あたしも始めは気付かなかった。 でも、あんたの存在がどんどん大きくなって来たの。 そして気付いたの 『キョンの事が好き』って事に。 大好きなの、あたしも精神病なの。 だって好きって止められないもの――好き。 キョンが好き。 キョンが大好き!!」
「……ハルヒ」
「……キョン」
 
      二人、どちらからともなく唇を合わせる
一瞬の様でもあり、永遠にも思える、口づけ。 キス。 KISS――。
 

「ハルヒ」
「何?」
「帰るか」
「……ねえ、キョン」
「何だ?」
「何で、この場所なの?」
「……さっき言ってた悪夢の中、ハルヒを探し求めてる最中、ここから見た風景が色褪せて見えたんだ。 そして更に絶望したんだ、灰色に染まった景色に――だから、ハルヒと一緒にここからの景色を見れば、その不安が無くなる、色を取り戻せると思ったからかな? 一種の『願掛け』って奴だ」
「ふーん、そうなんだ。 で、願いは叶ったのよね」
「ああ、お陰様でな。 あ、明日暇か?」
「うん。」 明日は振替休日だからな、文化祭の。
「……デートしないか?」
「いいわよ」
「何時に集合する?」
「その必要は無いわ!」
「へ?」
「今からウチに来なさい!!」 な、何だって~!?
「『離れない』って言ったでしょ?」  いや、確かに言いましたよ。
「親父は出張で、ウチに居るのは母親だけだから、その、あの……だから一緒に居たいのよ、あたしが。 あんたもでしょ!」
  はい、全くもって。
「しかし、着替えが無いのだが」
「先にあんたの家に行って持って来れば良いでしょ。 どのみち連絡するんだし」  確かにな。
「さあ、行くわよ!!」
「だから引っ張るなって!」

 
   走り出したら止められないんだよな。 
でも、それに一緒に付いて行こうと思ったのは、俺なんだよな?
 
 
        ……やれやれ。
 
 
 
 
 
      <『ROCKSHOW』> ~Fin~

(『RAINBOW』へ続く)












             (もしも、佐々木の告白がハルヒに……)



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