前日に俺がアイツに話す時、俺の方から『探偵でも雇ってみたら?』とさりげなく、でもしっかりと記憶に残るようにフォローは入れておきますよ。
それと新聞受けには證券行開戶2、3枚、見逃さない程度にそのチラシは入れておきましょう。
ってな感じでどうでしょう?」
とホンジョウは真剣にイナガキへの説得モードに入っている。
面白そう!
あたしは乗った!」
とサイドよりモトコが上機嫌な笑顔でそう応える。
しかしオマエらも好きだねえ」
とマスターは呆れ顔だ。
じゃあ、わかりました。
ホンジョウさんの企画通りことが運んだ場合、わたしはその指示通りに全面的に協力しましょう。
ただし、その後わたしの商売に悪影響がないように後々そのナカバヤシさんには皆さんから十分にフォローしていただくって条件でね」
と、なんとイナガキもその提案を一応納得したようだった???、ってよくもまあこんな馬鹿げた大人の悪戯にこのイナガキって探偵も乗ってきたものだ。
探偵って職業はそんなに暇なのか實德?
なんて思いつつも、その夜赤い砂漠」はそのしょうもないサプライズ企画で延々と終電まで盛り上がり続けた。
そして、その段取りどおりの1週間後の金曜、ホンジョウはナカバヤシを連れ再びその赤い砂漠」に顔を出す。
ホンジョウはふたりの酒が進み調子づいたあたりを見計らい彼の思い出の”運命のオンナ”との感動的な再会エピソードを事細かにナカバヤシに話し出す。
そして真剣にその話に聴き入るナカバヤシに対しホンジョウは、
ところで???、オマエの方はどうなんだ?」
との突っ込みを入れる。
ナカバヤシが、
俺にも確か???そんなオンナがいたような気もする」
なんて言ったところでホンジョウはすかさず、
それはなるべく早いうちに再会すべきだよ」
と真剣な顔でけしかける。
ナカバヤシが酔った頭でボンヤリと考えいてるところにホンジョウは追い打ちをかけるよう、
最近はそんなのを探偵に依頼するってのが流行ってるらしいよ。
なんでも料金も意外とお手頃なんだって」
などと取って着けたようなでまかせをナカバヤシの耳元でささやく實德。
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