雲のたまてばこ~ゆうすげびとに捧げる詩とひとりごと

窓の雨つぶのような、高原のヒグラシの声のような、青春の日々の大切な箱の中の詩を、ゆうすげびとに捧げます

鳥のフン返し

2013年02月04日 | ポエム
▲犬と散歩に訪れる近所の江津湖。数種の鴨をはじめ大陸から越冬してくる水鳥がいっぱい。

 鳥のフン返し

 私の自宅の庭には、結構背の高いモチノキがあって、赤い実のなる冬には、たくさんの鳥がやってきます。
 多くはムクドリやヒヨドリ、アオバトです。
 稀にヒレンジャクがきます。
 私は生き物が大好きで、鳥も好きです。鳩やカナリヤ、ジュウシマツを飼った経験もあります。
 南阿蘇村の山小屋には、たくさんの巣箱をかけているし、勤務先である上天草市の実家の庭には、巣箱と鳥のエサ台と水浴び用の水鉢を設けています。
 私が1974年に作った「冬鳥」という詩には、「もし家を建てたら、鳥達が好きなモチノキを植えよう」という一節があります。その詩では、ツグミがモチノキを食べにきていたことになっています。
 実は31年前の「冬鳥」という詩を作るきっかけの木が、現在私の自宅にある大きなモチノキで、つまり私は少年時代から住んでいた家を建て替えて住んでいる訳です。従って「家を建てたら、すでにモチノキが植わっていた」のです。
詩に登場しているのはツグミですが、思い込んでいただけで、その時見た鳥が本当にツグミだったかは怪しいものです。ムクドリかヒヨドリだったかもしれませんが、今となっては、はっきりした記憶がありません。
 家人は鳥が苦手です。
 きっかけとなったのは、小学校の頃に同級生が縁日で買ったヒヨコを誤って足で踏んづけて殺してしまったことだそうです。
 それでも以前は真冬になると、私は枯れ枝に輪切りにしたミカンを挿して、メジロの餌付けをしていました。今は家人によって禁止されました。メジロが悪いわけではありません。モチノキを目当てにやってくるムクドリやヒヨドリやツグミのとばっちりです。
 「これ以上鳥を寄せないで」という家人の気持ちはよく理解できます。それは、あまりに大量の糞害です。
 我が家のモチノキを食べに来て、葉や実を落として散らかす分は許せるとしても、糞はいかん。
 糞の雨が降るのは、モチノキの周辺と、葉を落とした背の高いケヤキの周辺、そして洗濯物干のあるテレビアンテナの下。数件先のご近所にもモチノキの大木があり、そのモチノキと我が家のモチノキを結ぶ線は、鳥のルートになっているようです。
 鳥達は食べながらも消化活動を同時に行い、糞もしているのかもしれない。またおしゃべりしながら、あるいは休息をとりながらも糞をしているのかもしれない。おそらく、枝を離れる時、空中でいっせいに糞をしているに違いない。一番糞がヒドいのは、ご近所のモチノキのある方向、モチノキルート下の地面です。
 通常そこには家人の乗る車を駐車していますが、鳥が集まるこの時期は糞を避けて、数メートルずらしています。
 この鳥の糞は見かけも汚い上に、放っておくと未消化の実が混じった糞はドス黒く固まり、洗っても簡単には取れなくなってしまいます。さらに鳥の胃液か何かの酸の作用か、車に落ちた糞はワックスを溶かすし、エアコンの室外機等の金属部分に落ちた糞の後は塗料まで溶けてしまって跡形が消えません。唯一幸いなのは、犬や猫のような強烈な匂いが鳥の糞に無いことだけです。
 私は留守で見ていませんが、先週の金曜日あたりに、おそらくムクドリが大群で訪れ、我が家のモチノキの実はいっぺんに無くなってしまいました。枝という枝が鳥で埋めつくされ、近所の奥さんも驚いていたらしいです。
 落ちていた糞がいつもに増して大量だったことは言うまでもありません。日曜日に、モチノキの下の飛び石の上の糞に水を撒き、デッキブラシでこする後処理は一仕事でした。家の壁、ケヤキの下のコンクリートのたたき、エアコンの室外機、ずらして停めていた家人の車の屋根にも糞が飛び散り、私はデッキやスポンジたわしや雑巾できれいに拭き取りました。モチノキを切ってしまおうという話にならないように、気を遣ったのです。
 月曜日の朝、モチノキの実が無くなったせいか、木の下にも新たな糞はほとんどありません。
 「やれやれ」と思った途端、昨日掃除した家人の車のリヤウインドウに糞が飛び散っているのを発見しました。
 モチノキを植えている恩を仇で返すとは。
 「鶴は恩を返したが、ムクドリはフンを返すのかあ」
 私も思わず「クソー」と言ってしまいました。
(2013.2.4)

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