蹴球放浪記

緩まない、緩ませない。
横着しない、横着を許さない。
慌てない、「だ」を込める。

人はみな、何かしら「穢れ」を持って生まれている。

2012-04-11 21:13:32 | Hiroya's Note
 さて、謎のモダン館の「使者は夏の日の陽炎の如く」を見学して、
打ち上げ混ざりなよ、という話をうまく聞けないほど
心と身体がひどく疲れていたので路面電車で宿に向かうが、
系統を間違えて糞とんでもないところに連れて行かれ、
一度大きい道までまた路面電車に乗ってそこからランタンを
見ながらひたすら歩いて宿に着く、食事を買い、お風呂に入り、
食って、休む。

 朝起きて、ご飯食べて、宿を出て、長崎のコナスポに行き
午前中は軽くウェイトして、フィジカル。
風呂に入り、軽く食べて休んで、時間前にきついフィジカルをして
またブリックホールへ。

 今回はF'sCompanyの「けしてきえないひ」を見学。


 ものすごく凝りに凝った空間だ。
と言うか、「神と共に居る」ということがそれとなく表現できている。
そして、「時間の移り」まできちんと見せていやがる、と感心していたら本編。

 長崎のとある島、海の神様を祀る
仕事を生業としているおうちのおはなし。
「灯台守り」というか、「巨大な炬火」を先祖代々焚き続けていて、
その火を絶やさないようにあらゆることを犠牲にしていたが
この巨大な炬火の炎に父親が焼かれて死んでしまった。
けれども、火は絶やしたらいけない、跡継ぎを探すぞと。

 一番上はお嫁に行き、こどもがいる。
真ん中は東京で「演じる」仕事をしている。
一番下はその仕事を望んではいるがまだまだ幼い。
いちどは一番下が「ほてり」という「火守」の仕事をする、という
結論になり、ものすごくカジュアルな形で「神様」にご挨拶するが、
今時の若者らしく、省力化、効率化、おまけに外から人を雇う、なんてことを
言い出したものだからさあ大変、さらには目星をつけた人がもう来たから更に。

 そこにいとこがずっと火守の手伝いをしていて、
その仕事をやり続けたいのに、昔ながらの縛りで
それはかなわない、かなわないが故の苛立ちによって
自分の生まれた家を忌み嫌うようになって、帰りたくない。

 さらには真ん中は映画やらドラマに出るようになった、
という話が実はアダルトビデオのそこそこ売れてる
「単体女優」で、「島」という狭すぎるコミュニティでは
そういう「自分たちの倫理」に反した話題は悪い意味でよく伝わる。
・・・まあ島にやってきた時の格好がそんな感じだったわけで、
そういう「いやらしい空気」を纏ってやってきた、と言うか
「セックス」を商売としたという「タブー」を犯した空気、と言うか。

 島は島で本土の干拓地の造成によって海が殺され、
巨大な炬火の灰に含まれる成長ホルモンが海に溶け出して
その相乗効果で魚がとれなくなったのではないか、と
いちばん下が仮設を考えだす、故に火を燃やすのではなく、
巨大なLEDライトを代替にして、という考えを持つようになった。

 みな、それぞれの立場でいろんなことを考えている。
けれども、いろいろな事情が重なってしまって、
複雑になってしまっているからできない理由ばかり増えてきて
前にも、後ろにも進めなくなって、どうしようもなくなる。

 そのどうしようもなさが「緩み」につながって、
その緩みを炎は見逃さなかった。
気がつけば炎はわれら幼い人類に目覚めてくれと全てを焼き尽くし、
本当に事情を知らない外の人間によってその炎は完全に死に絶えた。

 なんか、「穢れる」と人は平気で言うけれど、
その穢れって一体何なんだろう?
もしかしたら人間という生き物は「穢れ」というものを
ひとりひとり種類や重さが違うがそれぞれ携えて
この世に生まれて、生きて、そして穢れを浄化できたら
死んでいくんじゃないのだろうか?
このことに対して「正直」になればよかったのに。
正直になれば浄化するために最後の最後まで意地通せや。

 そういうことを思い知って、ライターで小さな火をつけて
わたしたちのこころに、けして「も」きえないひ。
もとい、け「っ」してきえないひ。をつけた。
それぞれの静かな決意表明として。

 この作品はカンパニーがはじめて本拠地を離れて
他の場所で公演を打ったある意味記念碑的な作品らしい。
最近の演目では見られない、ゆったりした早さで伝統と変化、
そして誇りというものを感じることができた見後感。

 終わって、長崎駅前のバスターミナルに福岡行き「正規便」最終に
何とか間に合ったようだが、あいにくランタンのおかげで満席、
ランタン臨時便からの変更がかなわず、長崎駅中の西友で
酒のあてとコンビニでビール買ってランタン臨時便に乗り、
のんで、ぐだぐだするともう博多、最終のJRに間に合い、
何とか家に帰り着く。

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