鏡の国のアリス:短評

鏡の国のアリスの本を読みながら短評をする

記号にいかなる意味を与えるかは、記号を使用するものが規定する(GLASS6-35)

2009-06-28 16:11:24 | Weblog
 金切り声で詩を暗唱していたハンプティ・ダンプティがさらに続ける。

 しかし使いは突っ張って強情  But he was very stiff and proud;
 彼が言う「大きな声で叫ぶのは異常!」 He said,‘You needn't shout so loud!’

 そして彼は強情で突っ張る  And he was very proud and stiff;
 彼が言う「行って魚たちを起こすには条件がある・・・・」
   He said,‘I'd go and wake them, if ・・・・’

 私は栓抜きを取った、棚から  I took a corkscrew from the shelf;
 私は行って魚たちを起こす、みずから I went to wake them up myself.

 そして私は気づく、ドアに鍵がかかっていた 
    And when I found the door was locked,
 私はドアを引っ張った、押した、蹴った、ノックしていた 
    I pulled and pushed and kicked and knocked.

 そして私は気づく、ドアは締まっているけど And when I found the door was shut, 
 私は取っ手を回そうとした、だけど・・・・   I tried to turn the handle, but ・・・・
 
 ここで長い休止となる。「それで終わりですか?」とアリスがこわごわと尋ねた。「終わりだ」とハンプティ・ダンプティが答える。「さようなら!」

 PS1:英詩の1聯は“proud”と“loud”、和訳は「強情」と「異常」が脚韻を踏む。
     英詩の2聯は“stiff”と“if”、和訳は「突っ張る」と「がある」が脚韻を踏む。
     英詩の3聯は“shelf”と“myself”、和訳は「棚から」と「みずから」が脚韻を踏む。
     英詩の4聯は“locked”と“knocked”、和訳は「かかっていた」と「していた」が脚     韻を踏む。
     英詩の5聯は“shut”と“but”、和訳は「いるけど」と「だけど」が脚韻を踏む。

 PS2:それにしても、詩が途中で終わっていないと思えるのに、なぜハンプティ・ダンプティは詩が終わりだと言うのか?ここで思い出そう。彼は、記号(文字)にいかなる意味を与えるかは、記号を使用するものが規定できると述べた。だから彼は記号「だけど・・・・ 」に対し、日常的な英語における「逆接」という意味でなく、彼が独自に規定した「終止」という意味を与えたのである。

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