東埼玉病院 総合診療科ブログ

勉強会やカンファレンスでの話題、臨床以外での活動(学会活動・在宅医療のモデル事業のことなど)などについて書いていきます!

第8回日本プライマリケア連合学会学術大会に参加しました

2017-05-25 20:36:46 | 学会活動

 5月14日に、高松で開催された第8回日本プライマリケア連合学会学術大会に参加しました。

今永が、「経口摂取が困難な非がん終末期患者に対する少量輸液施行の医学的意義に関する検討」という演題で発表し、黒谷先生が「プライマリケアエコー使いまくりセミナー」で講師を務めました。

当日は、様々な仲間たちの発表を見て、いろいろと触発されて帰ってきました。今後の診療にいかしていきたいです。

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インフルエンザの重症化のリスク因子は何か?

2017-04-21 22:08:37 | 勉強会

 

以前、「高齢者施設でインフルエンザが流行したら、抗インフルエンザ薬の予防投与を行うべきか?」というテーマをブログにのせました。(http://blog.goo.ne.jp/higashisaitama/e/dd2a234c82c0274102814fd6ffe16801

そのときに、インフルエンザに罹患することにより入院・細菌感染合併・死亡のリスクが高い患者さんはどのような方なのか疑問に思い、今回調べてみました。

 

<インフルエンザの重症化のリスク因子は何か?>

 

★Populations at risk for severe or complicated influenza illness: systematic review and meta-analysis  (BMJ 2013)

表題のとおり、メタ分析

季節性のインフルエンザにおいて

①    年齢について

高齢者は非高齢者と比較して、入院・全死亡率が有意に高い(それぞれOR:4.65と2.95)。肺炎合併・ICU入室・人工呼吸器使用に関しては有意差なし。

②    合併症について

慢性肺疾患は、入院・ICU入室・人工呼吸器使用のリスク(それぞれOR:2.38、4.46、4.02)。肺炎・全死亡率では統計学的に有意差なし。

喘息は、肺炎合併のみリスク(OR:1.35)。

心疾患は、肺炎合併・入院・人工呼吸使用・全死亡率のリスク(OR:1.56、16.45、3.31、1.97)。

神経筋疾患は、全死亡率のリスク(OR:3.21)。

糖尿病は、入院のリスクとはなっていた(OR:9.91)。

   しかし、文献内ではエビデンスレベルは低いことを指摘。

 

その後の発表されて参考になりそうな研究をいくつか

 

★Clinical courses and outcomes of hospitalized adult patients with seasonal influenza in Korea, 2011-2012: Hospital-based Influenza Morbidity & Mortality (HIMM) surveillance. (J Infect Chemother. 2014)

前向き研究。検査で確認された成人のインフルエンザ患者2184例のうち、123例(5.6%)が入院し、うち40例が合併症(肺炎など)を起こしていた。

多変量解析で、合併症に有意な因子は、糖尿病であった(OR:3.63)。

 

★Patients hospitalized with laboratory-confirmed influenza during the 2010-2011 influenza season: exploring disease severity by virus type and subtype. (J Infect Dis. 2013)

 入院したインフルエンザ患者を対象とした研究。アウトカムは死亡もしくはICU入室。

成人において、医学的状態としては、慢性肺疾患と神経筋疾患が独立したリスク因子であった(それぞれOR:1.46、1.68)。

 

 これらを考えると、エビデンスレベルは必ずしも高くないものの、心肺疾患や神経筋疾患、糖尿病患者などはリスクがあると考えたほうがよいのかもしれません。臨床的な感覚とも一致はしますが、虚弱高齢者や施設入所者に絞った研究などはあまり見当たらず、これらの患者に関して、様々な医学的状態を検討するような研究が出ると参考になるのになと感じました。

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日本プライマリケア連合学会誌Vol. 40(2017) No. 1 に論文が掲載されました

2017-03-29 20:35:24 | 講演・著書など

 1年半以上前の第6回日本プライマリケア連合学会学術大会で発表した内容を論文化したのですが、ようやく学会誌に掲載となりました。

「介護老人福祉施設入所者において,緊急入院のリスク因子は何か?」という題名になります。もしご興味がある方は下記URLから見てみてください。

https://www.jstage.jst.go.jp/browse/generalist/-char/ja/ 

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高齢者施設でインフルエンザが流行したら、抗インフルエンザ薬の予防投与を行うべきか?

2017-03-18 23:29:09 | 勉強会

 現在2つの特養の嘱託医と1つの有料老人ホームの訪問医をやっていますが、この冬もそれなりにインフルエンザが流行しました。入院となったり、細菌感染を合併する方もいらっしゃいました。抗インフルエンザ薬の予防投与がどの程度流行を防げるのか、入院や死亡率を下げることができるのかを調べてみました。

 

<高齢者施設でインフルエンザが流行したら、抗インフルエンザ薬の予防投与を行うべきか?>

★日本感染症学会提言2012「インフルエンザ病院内感染対策の考え方について(高齢者施設を含めて)」

 「高齢者施設では、入所者間の接触が多くてインフルエンザの感染が拡がり安く、症状も不明確なことが多いので、フロア全体や入所者全員への予防投与を病院の場合よりもさらに早期に積極的に実施することを提案」

 「すなわち、高齢者施設では、インフルエンザ様の患者が2~3日以内に2名以上発生し、迅速診断でインフルエンザと診断される患者が1名でも発生したら、施設や入所者の実情に応じて同意取得を心がけたうえで、フロア全体における抗インフルエンザ薬予防投与の開始を前向きに考慮する」

 上記の内容は2009年のIDSA(米国感染症学会)のガイドラインに準じている。

★Interim Guidance for Influenza Outbreak Management in Long-Term Care Facilities

                        (CDCの暫定的ガイダンス)

 72h以内にインフルエンザ患者が2名発生した場合には、入所者全員への予防投与を開始するべきである。(優先的に投与するのは同じフロアやユニットの入所者)

 

★Booy Rらの報告(PLoS One 2012)

 16のaged care facilitiesを対象としたクラスターRCT。3年間で23のinfluenza-like illness(以下ILI)のアウトブレイクあり。治療のみ行う群と治療+オセルタミビルの予防投与を行う群で比較。この研究でのアウトブレイクの定義は3日以内に2名のILIもしくは7日以内に3名のILIが入所者もしくは職員に生じた場合としている(1名は血清学的にも診断)。予防投与は同じフロアの入所者と職員に行う。

⇒予防投与群で、有意にインフルエンザの罹患率減少(23%vs36%)やアウトブレイクの期間短縮(11days vs 24days)を認めた。しかし、死亡率・入院率・肺炎合併率は有意差がなかった。

 

★van der Sandeらの報告(Emerging Themes In Epidemiology 2014)

 42のnursing homeを対象とした2重盲検のRCT。4年間で、17のアウトブレイクあり。そのうちベースラインの指標に違いが少ない15のアウトブレイクに対してRCTを施行。この研究でのアウトブレイクの定義は、同じユニットで2名のILIの入所者が出た場合1名は血清学的にも診断)。6のアウトブレイクがオセルタミビル投与群に、9のアウトブレイクがプラセボ群に振り分けられた。アウトカムは、暴露後予防投与となったユニットでの、血清学的に確認されたインフルエンザの発症及び臨床的に診断されたILIの有無。

⇒2つのアウトカムとも有意差なし

 血清学的に確認されたインフルエンザの発症(2/6 vs 2/9)

 臨床的に診断されたILI(2/6 vs 5/9)

 

 パワーが少ないことの限界が記載されている

 

★Gorisek Miksic Nらの報告(Infection 2015)

 アウトブレイクコントロールのために異なった手法を行った3つのnursing home(以下NH)を対象。

 NH1:全ての入所者にオセルタミビルを予防内服

 NH2:直接接触した入所者のみオセルタミビルを予防内服

 NH3:予防内服行わない

 

NH1がNH2・NH3と比較してアウトブレイクの期間短縮

 

★Ye Mらの報告(BMJ Open 2016)

 127のLong-Term Care Facilitiesを対象として、サーベイランスデータを使用した後ろ向き研究。インフルエンザがアウトブレイクしてから予防内服を決定するまでの期間と、アウトブレイクの期間・ILI発症率・入院について関連を、交絡因子を調整して解析。

⇒アウトブレイクの期間は有意に減少(1日の予防内服決定の遅れが2.22日のアウトブレイク期間の延長を招く)、しかしILI発症や入院については有意差を認めなかった。

 

 

 今回調べてみて、ガイドラインや提言では早期からの予防投与をすすめていますが、その根拠は必ずしも強いものではないと感じました。だからCDCもあくまで、「暫定的な」ガイダンスとしているのでしょう。種々の研究結果を組み合わせて考えてみると、現時点では、予防投与により、アウトブレイクの期間は短縮するものの、インフルエンザやILIの罹患率・入院率などに関しては今の時点では有効性は証明されていないと考えられるのかなと思います。予防投与をするとなると、自費となってしまうために費用の問題も出てきます(4500円/人以上かかりそうです)。投与しなくてはいけない人数も多いので(例えば同じユニット全員にとどめるにしても10名以上)、施設側で出すのは現実的には困難でしょうし、家族に自費で内服することをすすめるにあたっては、臨床医的な立場からすれば、メリットやデメリット(費用・薬の副作用)の説明を十分に行う必要があります。そう考えるとなかなか敷居は高いのかなと思います。しかし、経験的にはインフルエンザ流行を契機に状態が悪くなる入所者さんもいらっしゃるので、非常に悩ましいなと思います。接触歴のある中でも、インフルエンザに罹患することにより入院・細菌感染合併・死亡のリスクが高い方のみに内服してもらうという考えもあるのでしょうか。これは、アウトブレイクのコントロールというより個々の患者の健康被害により重点をおくこととなります。どのような方がそのようなリスクが高いか、今回は調べていませんが、また調べてみようと思います。あと、費用対効果の研究も今後出てくるといいですよね。そうでないと公費負担や保険適応については議論がすすまない気がします。

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第2回埼玉ポートフォリオ発表会 

2017-03-06 18:50:38 | 初期・後期研修関連

 3/4(土)に、浦和で第2回埼玉ポートフォリオ発表会が開催されました。昨年の1回目に引き続き、今回も参加させていただきました。今永・外山・山田が参加し、山田先生が自分が作成したポートフォリオを発表してくれています。

 計3名の後期研修医が発表しましたが、どれも複雑な症例で、それぞれの研修医が苦労しながら学び取っているものを感じました。指導医としては、それぞれのポートフォリオへのフロアからのフィードバックが、「どのように指導を行えばよいか」という観点から非常に勉強になりました。

 懇親会では、さらにつながりを深めることができ、今後が楽しみになりました。オール埼玉で、後期研修医を育てていけるような雰囲気や体制があるといいなと個人的には感じました。

 今年は写真をとるのを忘れてしまい、失敗です・・・。

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