平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

富田メモ(1)

2006年07月28日 | 富田メモと昭和天皇
元宮内庁長官の富田朝彦氏の手帳のメモが報道されたのは、7月20日の日経新聞の朝刊でした。

そのメモの原文はこうです。

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 私は 或る時に、A級が合祀されその上 松岡、白取までもが、
 筑波は慎重に対処してくれたと聞いたが
 松平の子の今の宮司がどう考えたのか 易々と
 松平は 平和に強い考があったと思うのに 親の心子知らずと思っている
 だから 私あれ以来参拝していない それが私の心だ
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060720-00000045-mai-soci

これはたいへん衝撃的な資料で、新聞でもインターネットでも様々に論じられています。

この資料に関しては、

(1)これがはたして昭和天皇の発言か
(2)この時期に公表された政治的意図
(3)この資料を日経新聞が入手した経緯(いつ、誰から、どのようにして)

について疑問が持たれています。

(2)については、おそらく背後に何らかの政治的意図があって、この時期にこの資料が表に出されという可能性は否定できません。

まもなく首相を退任する小泉首相は、8月15日に靖国神社に参拝すると見られていました。また、首相の政治路線を継承する安倍晋三氏の総裁選立候補も近づいています。富田メモを公表した日経新聞には、こういう靖国参拝派、右翼タカ派路線に打撃を与えようという意図があったのかもしれません。そうかもしれないし、そうでないかもしれません。こういう問題はいつでもそれらしき憶測に終わって、なかなか決定的なことは言えません。そこで、このブログではそういう陰謀理論には深入りしないことにします。

(3)について、日経新聞は詳しいことを語っていません。日経新聞はその経緯を詳しく報道する責任があると思います。邪推すれば、詳しい経緯を明らかにすると、(2)の政治的意図が見えてしまうから、詳しく書かないのかもしれません。(靖国神社公式参拝を取りやめた元首相・中曽根康弘氏の関与が取りざたされていますが、これも現段階では推測にすぎません)

本ブログで最初に考えてみたいのは、(1)の問題です。

もしこれが昭和天皇の発言であるとすると、首相の靖国神社公式参拝を求める立場の人々(靖国派と略称することにします)にとっては、たいへんな打撃です。靖国派は天皇制支持者であり、昭和天皇に崇敬の念をいだいています。もし昭和天皇が本当に、「私あれ以来参拝していない それが私の心だ」と言ったとすれば、参拝すれば、昭和天皇のお心に逆らうことになります。

したがって、靖国派がこの言葉を昭和天皇の言葉ではない、と論証しようとする気持ちはよくわかります。

現在多く出ているのは、これは昭和天皇の言葉ではなく、徳川義寛元侍従長の言葉ではないか、という説です。

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