平方録

門扉は閉ざさないでくれよ!

鎌倉の中心部や江ノ島の雑踏を避け、緑のトンネルの中を妻と歩きまわってきた。

まずは至近の夫婦池。ここは江戸時代に出来た農業用のため池で、子どもが小さい頃はここでよくクレソンを摘んだり、ザリガニを獲って遊んだ。
谷戸の蔭には防空壕を掘った跡もいくつかあって、探検と称して入って見たところ、天井にカマドウマのような昆虫がびっしりへばりついていて、気味の悪い思いもした。
マムシに注意という物騒な看板が立てられてもいた。

ヨシが群生しているほかツリフネソウやハンゲショウなどが自生している。
春になればヤマザクラがきれいだし、初夏にはフジが咲く。秋はカラスウリのオレンジ色が秋色の風景にひときわ浮き上がる。
ウグイスやコジュケイの声が森の中にこだまし、獲物を狙う瑠璃色のカワセミを狙ってカメラの砲列ができる時もある。

それが5、6年前に鎌倉市が園路などを整備したのは我慢できるが、何と扉を建ててしまい、信じられないことに午前8時30分から午後5時15分までの間以外は門扉を閉ざしてしまうのである。
しかも12月29日から1月3日までは“休園日”だそうで、ふざけるな、と言いたい。
夏の朝8時30分の陽は随分と高い。同様に夕方5時なんぞは…
年末年始こそ、暴飲暴食の間の腹ごなしに、こうした自然の起伏を歩くのが消化を助けるのである。
市民の健康を保つお手伝いをして、介護保険の出費を抑え込んでいくというのも、立派で重要な行政課題じゃないの?

この、ささやかな緑地から数百メートルしか離れていない、面積も十数倍広い「中央公園」も同様である。
わざわざ入り口を設けて、立派な門をこしらえ、時間になるとピタリと門を閉ざして市民を締め出してしまう。
元はと言えば、緑が生い茂るだけの丘陵の連なりである。
確かに、管理小屋のごとき建物を建て、トイレが使えるようにしているが、保安上の配慮が必要なら小屋にだけ鍵をかければ済む話ではないか。

早朝や夕暮れ時の散策を好む人も少なからずいるだろうに。
自然界の営みというものも、そうした時間帯こそ、真昼間と比べて生き生きした表情を見せるのではないか?
それを締め出してしまうなんて…。一体だれのための公園整備のつもりなんだろう。
こういうトンチンカンなところが鎌倉市の行政には少なくない。

かつて革新市長が誕生して市の職員の給与が上昇し、ラスパイレス指数が全国1位になったことがあった。
ろくな行政サービスが提供されていないのに、あんまりじゃあないかと、さすがに市民の批判を浴びて全国一の座からは降りたが、1800近い全国の自治体の中で今でも110.9の40位(2012年度)というハイレベルを保っている。
全国でも裕福な部類に入る神奈川県では藤沢市(全国3位)、川崎市(同9位)、横浜市(同12位)に次ぐ堂々の4位である。
パブリックサーバントでしょ、しっかりと頭と体を働かせてもらいたい。

次に回ったのが中央公園よりさらに規模の大きい「広町緑地」。かつて宅地開発にさらされかけたが、元知事のOさんの一方ならない努力が実って保全された鎌倉最大の保全緑地である。
春には見事な花を咲かせるヤマザクラの大木や今満開のキリの大木が点在する照葉樹林と落葉樹の混交林が、深い切れ込みのある起伏に富んだ地形に広がっている。
普段はひっそりしているが、さすがに連休中とあって、多くの人とすれ違う賑わいぶりである。

3月末に管理棟が出来て、トイレなども整備されたが、ここの緑地には門扉がなかった。
広すぎてしまって、何ヵ所かに門扉を建ててしまうと開閉に手間取ってしまうからなのか。その辺りの真相は不明だが、それでいいのだ。
ここにはホタルの飛び交う清流も流れているし…

ここが可能ならば、次は門扉を取り払う作業に取り掛かってもらいたい。



フジの花が垂れさがる夫婦池


ヨシの群生


夫婦池から広町緑地へ続く木洩れ日の道


広町緑地の2本の大キリが満開になっていた


別の方角から撮ったらキリの花の色が自然の色に近く写った


相模湾を望む広町緑地の広がり


ウツギも満開だった
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