平方録

立夏、鯉のぼり…

今日5月6日は「立夏」である。
つい昨日のようにも思えるが、正月が過ぎても1月がなかなか終わらない、などとぼやいていたのを思い出す。
昔から言われ続けてきていることだが、月日の経つのがどうしてこんなにも早いのか。
ともあれ、立春も嬉しかったが“わが季節”の夏の到来は暦の上とは言え、もっと嬉しい。

もう20年も前のことになってしまうが、連休を利用して高知の四万十川をカヤックで下った時のこと。
中流域の口屋内という小さな集落の沈下橋の上から見た鯉のぼりが忘れられない。
それも、空中を泳ぐ鯉のぼりではない。
何と、水の中を泳いでいる鯉のぼりなんである。

沈下橋の上から川面をのぞいてみると、巨大な鯉数匹が上流に向けて口を大きく開け、清流をたっぷりお腹に流し込みながら、ゆったりと体をくねらせ、さながら本当に上流に向かって泳いでいるかのようなのである。
息をのむ、というのはこのことで、姿が巨大、かつその動きが真にリアルで、その思いもかけない意外な姿にびっくりさせられた。
第一、川をのぞき込んで見ないと気付かないのだ。
たっぷりの清流がとうとうと流れている四万十川ならではの光景で、このアイデアを思いついた人に拍手である。

もうしばらく行っていないが、かつてのように、河原にテントを張って泊まりながら下ってみたいと、時々思うのだが、なかなか腰が上がらない。
肝心のカヤックもないし、道具も何も残っていない。残っているのは折りたたみ式の釣竿だけである。


 四万十や水の中にも鯉のぼり 花葯


わが俳号はカヤックなのである。

四万十のウナギの話はかつて書いたような記憶があるが、スーパーのような所で買ったウナギの味も忘れられない。
河原でたき火の火を起こして直に焼き、ワサビをつけて食べただけなのだが、川の中を泳ぐ鯉のぼりと同じように、びっくりさせられたものである。
痩せて見えたのだが、脂が適度にのっていて、しかもくどい脂ではなくて、さっぱりとしている。旨みを呼んでくる脂と言ってよい。
何より驚かされたのが、口中いっぱいに甘みが広がったことである。

「ウナギは甘い!」
もちろんタレなんか持ってるわけないから、素焼きのウナギである。白焼きともいう。
たき火の火で焼いただけのウナギが、飛びっきり甘いのである。
くどいようだが、ウナギは甘い。だから当然美味い。四万十川の餌を食って育った「天然のウナギは甘い!」のである。

あぁ…。こちらの方が再訪の実現可能性は高そうかなぁ。




わが家の「空蝉」1番花


門柱脇のマダムアルフレッドカリエールは恥じらいつつ開いた
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事