空き部屋への不審な配達（南区）

平成２８年（わ）第８５０号等

成 暁凱ことチェン シャオカイ（３０）

出入国及び難民認定法違反、窃盗、邸宅侵入

【概要】
平成２８年６月１３日、不動産管理会社が建物敷地内に設置したキーボックスから内覧用の合鍵を入手し、空き武室の住人「ナカムラ」を装い配達荷物を受け取ろうとしました。

当日、本件空室アパートに２件の配達物が有ることを配達業者が不審に思い、警察に通報し事件が発覚しました。
「トイザラス」、「サイトウカメラ」の２件の配達のそれぞれの宛名が「ワタナベ」「ナカムラ」では明らかに変ですし、「トイザラス」の荷物は代金決済の関係で配達中止連絡が来ていました。

【被告人】
平成２５年の来日以来日本語学校に通学する傍らコンビニ店でアルバイトする等して学費を蓄えていましたが、日本語学校卒業後の希望進路だった「ゲーム制作の専門学校」の入学試験には合格していましたが入学に必要な金額（百数十万円を一括で用意に対し半分程度金額しか貯まらず）に届かず、進路未定で留学ビザの更新が出来ずオーバーステイ状態になっていました。

更なる滞在のために、止むを得ず在日中国人向けの求人掲示板で見つけたのが本件の「荷物受け取り」の仕事だった様です。
被告人には不動産管理会社に使用許諾は受けている旨説明されていた様ですが、依頼人が携帯電話の音声通話のみで顔を見せてくれないこと等から、途中から薄々怪しい仕事かもしてないと思っていた様です。

後悔の念からか、この３０歳のオッサンは法廷で大きなカラダを丸めて、終始涙を流しています。

「何、泣いているんですか（怒）」と検事は容赦有りません。

【私感】
被告人に受取を依頼した人物から、キーボックスの存在、暗証番号、空き部屋を指示されている事が余りに不自然です。
不動産管理会社が使用する鍵番人（キーボックス）は、購入者が任意に暗証番号を設定するものですから、暗証番号を知る内部者の関与、若しくは事前に暗証番号を知る為に依頼者が下見をしていたと思われます。
不動産管理会社がゾロ目や１２３４等の推測され易い暗証番号を設定していたとも考えたく有りません。

【求刑】
懲役１年６月

被告人は出来ればもう一度来日したいと述べますが、恐らく無理な気がします。