こんなに風が強いのに昨日よりはいい、昨日は爆風であったとか。3月も中旬となり、「茶臼岳冬山巡視」も本日が最後です。登り口の御在所の風は10m/s+、晴天です。
振り返ると「茶臼岳」裾の広大な景色、「岩手山」がデ~ンと。
まあ、風が吹くといつもの「茶臼」。まだ気温が-5~6度くらいなので新雪が風で舞っていますが、気温の上がる午後はいや~な雪質に変わると思います。
キャットの方たちが、風はあるけど昨日よりはいい、昨日は爆風だったと教えてくれました。
風で新雪が吹き飛び、足元にはガリガリの固い雪。
「恵比須森」に到着。今日は最後の巡視、戻りの行程でこの看板を下げるので、何もなければ「黒谷地湿原」から「茶臼岳」を回って戻るというつもりです。
でも、前に見たスノーモービルが入っていた斜面の奥に何やらトレースが見えています。規制の区域外なのですが、斜面を登りきったところが「黒谷地湿原」なので確認することにしました。
樹林の中は新雪が多くもなく少なくもなく快適。
オオシラビソの樹林は風が強く、この木たちに大きいものはありません。
自然環境なのでしょうが、傾いたり、立ち枯れしたりで平均寿命は極端に短いはずです。
それでも、コメツガやオオシラビソの霧氷姿は楽しませてくれます。
ふと、気が付いたこと。
ここいらでは毎年オオシラビソの球果の軸を見るな~。
強いストレスで身の危険を感じ、子孫を残すため種を多く付けてしまう。ただ、種に栄養が行き過ぎて木が大きくなれない? 去年種を付けたんだから休めばいいのに、でもやっぱり身の危険を感じて種をつけてしまう? ということなのでしょうか。
さて、遠くに見えたスノーモービルのトレースは、この斜面の下に付いていました。中央に見える沢を通ってきたもののようです。この斜面を登って少し入ると「黒谷地湿原」の規制区域ということになります。
先ほどのオオシラビソの球果を見つけました。どうやらこれは未登熟のまま成長が止まったもののようです。ヒト的にいうと、種はつけたが、枝折れの跡は見えないので、栄養が続かないので”やめた”ということなのでしょうか。
だったら・・・と誰かさんに言われそうです。
ほほ~。ダケカンバからコメツガが生えています。いい場所に生えたな~と言ってあげたくなります。
時折青空が広がるとテンションがあがります。
この沢を超えると黒谷地湿原ですが、結構深い沢で、この場所まで移動してようやく横断しています。
風が吹くと新雪が舞います。
吹きさらし「黒谷地」散歩。
吹きさらしの「黒谷地」散歩。
遠くの霧氷景色に時折日が差して。
霧氷原の中、茶臼避難小屋を目指しています。オオシラビソの樹林を伐開して出来た登山道ということがよくわかります。
ダケカンバとオオシラビソの霧氷姿。
オオシラビソとコメツガの霧氷は付いたり落ちたり。昨日の”爆風”の仕業なのでしょうが、その厳しさは感じつつも、すでに”名残り”と映ります。
オオシラビソの枝にびっしりと。
こちらはコメツガについた”エビのしっぽ”。
青空バックのダケカンバの霧氷はまるで花が咲いたよう。
あっちを見たり、こっちを見たり、振り返ったり。
いかにも物語がありそうなオオシラビソ。
状況としては、”幹が折れて元気な枝が4本立ち上がって俺が幹になると競っている”
空腹を我慢しながら、霧氷の景色の中に目指す「茶臼避難小屋」がようやく見えました。
先客の方たちがおられるようです。
気温はそれなりでしょうが、風がないので寒さは感じません。
雪面が凍っているのがお判りでしょうか。さあ!今度は「茶臼」の山頂です。
そういえば、ここに来るまで「畚岳」の姿を見ていませんでしたが、今日もいい感じです。
やっぱり「茶臼岳」はスキーで行けそうにありません。
表面が氷で、ボーダーの人たちが、あれはワールドカップ級だ。と話していた通りで、躊躇なくスキーは脱いで、つぼ足になり・・・
新雪の吹きだまりで大きく沈み、氷の部分はつま先をガンガンと蹴り込んで・・・
山頂からの景色を楽しませていただきました。
「恵比須森」からは予定の取り外した看板を背負って苦手なガリガリの斜面の下り。
いつの間にか風がありません。
今日から、岩手県側もアスピーテラインの除雪作業が始まったそうで、眼下に除雪の重機チームが見えていました。
厳冬期の厳しさも緩く感じられ、三月に入ると鼻歌交じりに待ちわびた春を意識するようになりました。
花はまだなくても、木の芽の膨らみや、吹く風にさえ暖かさを感じています。
あべ