八障連ブログ

八障連(八王子障害者団体連絡協議会)運営委員会より、情報提供を行っています。(「八障連について」カテゴリーを参照)

八障連通信391号

2023年03月29日 | 情報提供
八障連通信391号


連載コラム  Vol.70 『南大沢AR体験会報告』    八障連代表 杉浦 貢
東京都では、『スマート東京』の実現を目指して数年前から協議を進めているそうなのです、現時点で最新となる5Gの通信端末を活用したス マートシティの実証実験を、都庁のある西新宿と 、東京都立大学のある八王子市の南大沢で行う… ということで、これまで協議が進められてきたそ うですが。 昨年、ようやく南大沢のモデル地区で、実際の実 証実験が始まりました。 スマートシティ協議会は、東京都が事務局となっ て、八王子市や、都立大学の教授が十数名、京王 電鉄やNTT、富士通などの企業と地域住民で構 成されているのだそうです。 ちなみに、スマートシティの検討は、モビリティ 、商業・賑わい、情報・その他の3項目で進めら れるそうです。 例えば… モビリティでは、電動車いす・電動シェアサイク ル・自動ZEV(ゼロエミッション・ヴィークル=有 害物質を排出しない車の事)バス・Maas(全ての公 共交通機関を統合するサービス、スマホ・タブレ ット等で複数会社の経路検索から、運賃支払いま でを可能とする)・電動キックボードなど 商業では、案内アバターロボット・運搬追従ロボ ット・宅配ロボット・デジタルサイネージ(電子 案内板)など 情報では、サテライトオフィス・地域情報の統合 的な把握と発信などがあるそうです。 今回の実証実験は、ARナビの実証実験に力が入 れられることとなり、特に車いすのユーザーの意 見を聞かせて欲しい。ということで、協議会に委 員として参加されている、多摩草むらの会、遠津 さんからのお声かけをいただき、東京都から八障 連宛に、実験に参加の打診がありました。 ヒューマンケア協会から塚田さん、内山さん。 IL南多摩から光岡さんが参加してくださいました 。 2月中、日程と時間帯が合わなかったために、他 の参加者の方々とお会いすることは出来なかった  のですが、私(杉浦)は、八障連そのものからの参 加…ということで、2月20日、13:00より… 東京都の職員の方々、ARアプリの作成に関わっ た方々と御一緒しながら、南大沢駅近くの『パオ レ南大沢』から、駅周辺を移動しつつ、自分の意 見を伝えて来ました。 東京都が作成した南大沢駅前の3Dマップのデー タを活用したARナビによって、駅から公共・商 業施設まルートを案内。 ・移動の目的と利用者の特性(通常ルート、また はバリアフリールート)に応じたルートの表示と 案内誘導により、移動支援策としての活用可能性 を検証… つまりは、スマホ、タブレットのカメラで目の前 の景色を映しながら移動すると、利用者の移動目 的に合わせて、リアルタイムの風景に建物の案内 や移動順路など、必要な情報が映し出されるとい う仕掛けです。 しかし、肝心のマップ自体がまだまだ不完全な上 に、ルート表示も見にくい。 常にスマホ(タブレット)を真っすぐ正面にかざし 続ける必要がある。 など課題も多く… もう少し洗練されたものを提示してもらえると思 っていた私には、少し残念なことになってしまい ました。 しかし、課題があるということは改良の余地もま だあるはずで… 私からは主に、映像による案内に連動して音声に よる案内も出るようにして欲しいこと。 日本語のみでなく多言語(英語、スペイン語、ポ ルトガル語、タガログ語等々)の案内にも対応し て欲しいことなどを伝えてきました。

パラリンピックへの挑戦     田中秩加香
八障連運営委員をさせていただいています、視覚(視覚)と肢体(肢体)の重複障がい(ちょうふくしょ うがい)を持つ田中秩加香(たなかちかこ)と 申します。   今回は、私が昨年3月から始めたパラス ポーツのお話をしたいと思います。   私は、2022年3月から、パラリンピック 競技にもなっている、主に下肢障がいと低 身長の方対照の競技「パラパワーリフティ ング」を始めました。 健常者がスクワット(立つ)、デットリフト( 引く)、ベンチプレス(押す)の3種目合計重 量で競うものとなっているところ(ベンチ プレスのみの競技もあります)パラパワー リフティングは、下半身の部分の幅が広く なっている専用のベンチ台で足を全て台に 乗せ、主に上半身を使い、1本または2本 まで足を台にベルトで固定することが出来  る、ベンチプレスの競技であり、ラックか らバーベルを自力または補助有りで外し、 制止させ「スタート」の声の合図で胸まで バーベルを下ろし、制止させ、一気に上げ て再び制止させて「ラック」の声の合図で  ラック にバー ベルを 自力ま たは補 助有り で戻す のが一 連のど うさで 、1回2 分以内に行わなければならず、これを3回 チャレンジする事が出来、体重別で上げる 重さを競うものになります。   私は視覚と肢体の重複障がいが有る事で バーベルの左右バランスなどはとらえづら く、技術習得には一筋縄ではいかない部分 はあります。ただ、大会の試技ではルール でセコンドが付くことが認められており、 移動のサポートをしてもらうことができま す。また試技でバーベルをラックから外す 時、バーベルをラックに戻す時は、セコン ドの補助を受けることができます。これは 見えないことで、会場での移動、バーベル の取り扱 いに不安感がある私にとっては、大きなサ ポートとなっており、肢体障がい(したい しょうがい)の選手と同じ舞台で競える事 に私はこの競技に魅力を感じています。   私がこの競技を始める切っ掛けとなったのは、コロナ1波で緊急事態宣言が発令さ れ、市の施設などが閉所し、運動不足とな っていたところ、NPO法人八王子視覚障 害者福祉協会を通じ、障がい者対照の運動 療育・障がい者アスリート支援を行う団体 の「NPO法人SSAI協会」代表の長田さん と知り合い、緊急事態が一端明けたタイミ ングで代表の長田さんにお話を伺い、障が い者や高齢者の運動指導をしている団体を 運営されているとの事で、なかなか障がい 者が受けられるパーソナルトレーニングと 言うのはないもので、チャンスと思い、ト レーニングを始めることにしました。 当初は増えた体重を何とかしたい、衰えた 脚力と腹筋を取り戻したい、40歳には再 び乗馬をしたいという思いがありました。   フィットネストレーニングを開始。ある 日、普段と違う場所でトレーニングを実施 したレンタルジムで普段使っているマシン が無く、使った事の無いベンチプレス台が ありやってみたことからその後のトレーニ ングに取り入れられ、1年ほど経過した頃 には競技としての技術は全くわからずでし たが、重量は約60kgを上げられるように なっていました。 2021年の12月にマシンで肩を少し痛めて 競技として始める気には慣れていませんで したが、2022年に入り、肩の調子も取り 戻してきた頃からトレーナーの長田さんの パラパワーに関してのささやきが心に止ま るようになり、気がつけば前向きに考える ようになっていました。その頃に多摩地域 に指導者が居るジムが有る事を知り、パラ パワーの基本から技術の教えを請おうと、 トレーナーの長田さんと京王線は飛田給が 最寄りのパワーハウスジムに訪問をしまし た。パワーハウスでは、選手を目指したい 事を話、競技の事を伺い、パラパワー専用 ベンチ台でベンチプレスを経験させてもら  い、偶然にもジムを訪問した日が1ヶ月後 にひかえる「第5回チャレンジカップ京都 大会」があり、出場をその場で決め、申し 込みをさせてもらい、こうして私のパラパ ワーリフティングの競技人生が唐突に始ま りました。チャレンジカップまでの期間、 連名の練習会に週1度、ゆりかもめ沿いの 東京国際クルーズターミナル駅が最寄りの 「日本財団パラアリーナ」での練習会に参 加するようにもなり、家から片道約2時間 、往復4時間、週1で我武者羅になって通 っていました。あっ、と言う間に1ヶ月は 過ぎ、迎えた京都チャレンジカップ。 新人の長田さんと私、私は緊張するばかり で、ほとんど覚えていない状態でしたが、 同階級のお姉さんが様々な事を1つ1つ教 えてくださって、とても心強くなりました 。お姉さんだけでなく、コーチ・スタッフ 、、パラパワーの選手の皆さん、暖かい人 ばかりの競技団体なのです。 チャレンジカップでは、60kgを成功させ られ、評価頂け、2022年6月の韓国で行わ れた「アジア・オセアニア地域選手権大会  」に特別枠で選出され、初めての海外遠征 は、右も左もわからないものでしたが、全てが良い経験となり、試技(しぎ)は、何と か1本63kgを成功させられ、9位でした。 その後、記録会で経験を積み、2023年1月 29日(日)に第23回全日本国際招待選手権大 会があり、初出場しました。 全日本では、階級の記録更新75kg、日本 女子で最重量の80kgを上げ、優勝並びに 最優秀選手となる事が出来ました。 直前の練習で良い感覚を掴めていたので、 落ち着いて挑めた結果だと思いますので、 素直に嬉しく思っています。 様々なハードルはありますが、高見を目指 し、継続していかれたらと思っています。

編集部より 八障連通信 391号をお届けいたします。
2月、報道で、医療社団法人孝山会滝山病院における患者暴行虐待事件が大きく取り上げられました。被害にあわれた方々に対し心よりお見舞い申し上げるとともに、事件の全容の解明と再発防止を強く求めます。さて、八障連では、映画上映会「生きるのに理由はいるの?」を2月23日に主催し盛況を賜りました。また、3月4日に開催されました福祉フォーラムでは、クリエイトホールでブラインドサッカー体験そしてブラインドサッカー選手の田中章仁さんをお迎えしての講演会を開催いたしました。来場者は38名を賜りました。厚く御礼申し上げます。日本ブラインドサッカー協会では、古本パワープロジェクト(ブックレイジング)という、お金の代わりに本を寄贈していただく取り組みがあります。詳しくは右手QRコードよりご確認ください。たまハッサーズにチェックを入れていただくと、今回ゲストで来てくださいましたチーム、たまハッサーズに届きます。カテゴリーはB1、チームコードはBSE09となります。 (編集部) 

連載コラム B型肝炎闘病記 パオ 小濵 義久
闘病史 その73
退院後すぐテニスができるように筋力を落とさないことが大切と考え、今回は万歩計を持ち込んで、できるだけ歩き 回るようにした。検査や治療のない空いた時間 は、本を読むか、この原稿を書くか、病棟内外 を歩き回っていた。自分の病室のフロアーをう ろうろ徘徊することも度々あった。病棟の外に は、周りを一周できる散歩道があり、絨毯のよ うに敷き詰められた落ち葉の紅色・黄色が織り なす模様が美しかった。開設○○周年記念と書か れたプレートのかかっている樹が何本もあった 。 さすがにRFAをした日は、術後7時間くらいの絶 対安静を言い渡された。その間は水を飲むこと も許されず、うがいをさせてもらうだけだ。水 分補給はもっぱら点滴である。2時間くらい経つ と口の中がからからになり、喉もひりひりして くる。その度にナースコールでお願いし、吸い 飲みと受け皿を持ってきてもらう。1回目で口の 中を潤し、2回目で喉を潤す。2回目が終わると ほっとする。ちょっとした地獄から天国へとい う心境を味わえる。「潤す」という言葉の奥深 しさを初めて感じた。 枕の上で顔を横にして口に含んだ水を受け皿に 吐き出すという動作が、これまたなかなか難し い。もちろん看護師が介助してくれるのだが、 口の端から水が漏れ出て、毎回枕かベッドを濡 らしてしまう。何とも情けない気持ちになり、 天国から地獄に落ちた気分になる。絶対安静だ から、頭を持ち上げちゃいけないのだ。肉体が 動き回れない分、精神が右往左往している感じ である。人間何事もバランスが大切。身体と心 は密接に関係しながら、補い合っている。 「心身一如」、最近あまり耳にしなくなったよ うな気がする。絶滅危惧種のようだ。元々は心 と身体はひとつだという仏教の教えであるが、 健康な体に健康な心が宿るという意味がある。 逆も然り。幾分厄介な言葉でもある。ただ、今 回は癌という病を患いながらも、身体も心も健 康さを失わないでいられるということを強く感  じた入院生活でもあった。「死に至る病」など とは露ほどにも感じることはなかった。 今回針を刺すのは丁度みぞおちの近くである。 その辺に胸毛が濃く生えている場合は、剃毛し なければいけないが、12月17日の担当看護師が 「小濱さんは大丈夫ですね」と確認をしてくれ た。「明日は、術後7時間くらいは動けませんか ら、朝排泄できそうなら、しておいて下さい。9 時に手術室に入るという指示が出ているので、 その1時間前に鎮静剤の注射を打ちます。その前 に手術着を持ってきますから、注射前には裸に なって手術着に着替えておいて下さい。T字帯が 必要かどうか確認してきますから、必要なら1階 の売店で買っておいて下さい。」と言って、出 て行ったまま数時間が過ぎた。 ティーバッグは知っていても、T字帯を知らない 人が多いかもしれない。褌と形は同じようなも のであるが、素材が紙でできており、極めて心 細い。だからなのか、着けると何となく恥ずか しい感じがする。多くの方がそう感じるようで ある。褌というのも履いたことがないのだが、 また違った感じがするのかもしれない。ティー パックは美味しいよって?そりゃあ、決まって いるでしょ。 売店の閉店時間が気になるのでナースステーシ ョンへ訊きに行くと、必要とのこと。余りの忙 しさに新人の看護師ほどいろいろ忘れものがあ る。虎の門病院では医師も看護師も胸に業務用 ピッチ(PHS)を入れており、看護師のピッチ にはスタッフ同士の連絡の他、病室で押される ナースコールも全てが入るようになっており、 そちらの用事が優先されることが多く、それほ ど大切でない用事は自然忘れられていく。ヒヤ リハットへの第一歩ではある。彼ら、彼女らが 病室に入ってくると必ずと言って良いほどピッ チの音が繰り返し鳴る。おちおち話などしてい られない雰囲気が醸し出される。だからか最近 患者と看護師の会話が少なくなった気がする。 心細いこと限りない。

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