ハーベスト・タイム『収穫の時』

毎月発行の月刊紙『収穫のとき』掲載の聖書のお話など。

「自由」の法則

2006-09-20 | 魅力的な人になるためのレシピ
◆9月号◆魅力的な人になるためのレシピ(17) 自由の法則

 もし誰かが事故で両手両足を失ったとします。その人は、もはや人間ではなくなるのでしょうか。そんなことはありません。いかに肉体的にハンディを負ったとしても、その人はあくまでも人間です。人間を人間たらしめている要因の一つは、自由です。もし私たちから自由が奪われたとするなら、私たちはロボットのようになってしまいます。
 創世記1章26節にはこうあります。
「そして神は、『われわれに似るように、われわれのかたちに、人を造ろう。そして彼らに、海の魚、空の鳥、家畜、地のすべてのもの、地をはうすべてのものを支配させよう』と仰せられた」
 人間が「神のかたち」に造られたということは、自由を持っているということでもあります。全体主義や独裁体制が忌むべき制度である理由は、人間存在の基本であるこの自由を奪い、私たちを束縛の中に閉じ込めるからです。束縛の過程は、先ず内面から始まります。内面とは心であり、意識です。内面が嘘によって征服される時、行動が制約されます。そして、一人一人の行動が積み重なって、人を束縛する国家や制度が作られるのです。

 ヒトラーは、嘘は大きければ大きいほど、また繰り返せば繰り返すほど、人々はそれを信じるようになるといった発言をしています。これはまさに、大詐欺師の手口そのものではありませんか。今の時代、大きな嘘をついて人々を束縛している怪しげなカルト集団が数多くあります(すぐに思いつくのは、統一協会、エホバの証人、オウム真理教、摂理、などです)。これらのカルト集団の嘘が余りにも大きいので、それが嘘だとは見抜けないで、束縛の網にかかってしまう人が後を絶たないのです。
 私たちの住んでいるこの世は、大詐欺師のような存在によって支配されています。その存在とは、イエス・キリストが「偽り者」、「偽りの父」と呼ぶ悪魔(サタン)のことです(ヨハネ8・44)。悪魔はその大嘘によって、私たち人間を束縛しようとしています。代表的な悪魔の嘘とは次のようなものです。



一、「思い通りに生きれば、人は幸せになれる」という嘘


 これほどの嘘があるでしょうか。今までに、血を吐くほどの自己鍛錬と練習を経ずして大成したアスリートがいるでしょうか。怠惰な生活に明け暮れるなら、好成績を残すどころか肥満体になって選手生命は終わりを告げます。それと同じように、魅力的な人間になるためには、精神的な意味でも実際的な意味でも、自己鍛錬が必要です。聖書の例を見ると、アブラハムやダビデのような信仰の偉人でも道をはずれることがあったようです。神の命令に背を向け始めると、彼らはとたんに臆病者となり、人を恐れるようになりました。思い通りに生きた結果、自由ではなく束縛を経験するようになったのです。まさに、「神を恐れる者は何人をも恐れないが、神を恐れなくなるとあらゆる人を恐れるようになる」とは、真理です。
 西洋のことわざに、こういうものがあります。「悪魔は人を誘惑する際に、四つの言い訳を使う。第一は『これは小さいことだから』、第二は『誰でもしていることだから』、第三は『まだ年が若いから』、第四は『たった一度だから』というものである」



二、「あなたは愛されていない」という嘘


 第二の嘘は、「あなたは愛されていない」というものです。幼児期に両親に愛された経験のない者は、この嘘にかかりやすいのです。現代の日本には、言葉で説明できないような不安感や絶望感を抱いている人が多くいます。いわゆる「引きこもり」でなくても、社会生活をしながら「精神的引きこもり」になっている人が多数いるのです。その人たちは、本当の意味で人から愛されたり、人を愛したりした経験がありません。
 先日、一人の若い女性の悩みを聞きました。彼女は一年半ほど前にクリスチャンになったそうです。しかし、祈っていると心の中が苦しくなる。どうしてでしょうかという相談でした。話していく内に、彼女には両親に愛されたという感覚がないことが分かってきました。それどころか、自分が信じた天の父に対しても無意識的に怒りを感じていたのです。その怒りをあえて言葉にすると、こうなるでしょうか。「神様は私を問題の多い家庭に置くことによって、私をクリスチャンにしようとした。私にこのような苦しみを与えた神は許せない」
 私は彼女にこう言いました。「神様はあなたを愛しておられる。あなたが幼い頃から苦しんでいたのを、神様は涙して見ておられた。そして今、その苦しみからあなたを救ってくださったのだ。あなたを苦しめたのは、両親であり、罪の現実である。その責任は神にはない」
 このことを理解した時に、彼女の目から涙があふれ出ました。彼女は十分ほど肩を震わせて泣いていました。私は黙ってその姿を見つめていました。彼女が大詐欺師の嘘に気付き、真理に立ち返った瞬間でした。顔を上げた彼女の目からは、怒りが消えていました。こんなにも短時間の内に人の表情が変わることに、私は驚きを禁じ得ませんでした。地上の両親の愛を経験できなかった人でも、天の父の愛を経験することによって恐れや孤独から自由になることができます。



三、「神に従って生きるのは大変だ」という嘘


 神の愛を発見した人を誘惑する嘘が、これです。悪魔は、神に従って生きることがいかにも大変であるかのように吹聴してきます。もちろん、自力で義人になろうとしてもそれは不可能です。しかし、信じる者には超自然的な力が、必要に応じて与えられます。それが聖霊の助けです。
 イエス・キリストは、
「もしあなたがたが、わたしのことばにとどまるなら、あなたがたはほんとうにわたしの弟子です。そして、あなたがたは真理を知り、真理はあなたがたを自由にします」(ヨハネ8・32)と語っておられます。ここには自由を得るための三つのステップがあります。キリストのことばにとどまる。→真理を知るようになる。→真理はその人を自由にする。

 自由になるための秘訣は、大詐欺師の言葉(嘘)ではなく、キリストのことば(真理)に耳を傾け、それを実践することです。