イソップ童話の中にある「狼少年」をご存知でしょうか。原題は「羊飼いと狼」で、イソップ童話の中で最も有名な話の一つです。羊飼いの少年が、退屈しのぎに「狼が来た」と叫び、助けに出てきた村人たちを笑うという話です。同じ嘘を繰り返しているうちに、村人たちはこの少年を信じなくなり、ついに悲劇的な結末がやって来ます。ある日、本当に狼の群れが現れたのですが、必死に叫ぶ少年の声を真に受ける人は誰もいませんでした。その日、少年は狼に食われて死んでしまいます(羊が食われたとするエンディングもあります)。この「狼少年」の話を使って「子どもと嘘の関係」を調査した結果が、報告されています(『ニューヨーク』という週間雑誌で紹介)。
子どもと嘘の関係
「狼少年」は、子どもにとっては恐ろしい話です。この話を子どもに聞かせると、結果はどうなるかという調査が行われました。事前に行われた大人向けの調査では、「子どもは『狼少年』の話から教訓を学び、嘘をつく回数が減ってより正直になるはずだ」と答える人たちが大半を占めていました。しかし、結果はそうではありませんでした。子どもたちが嘘をつく割合は、それ以降も変わらなかったのです。
そこで今度は、「ジョージ・ワシントンと桜の木」の話を子どもに聞かせました。少年ジョージは、自分が桜の木を切ったことを父親に告白する話です。父親は、「君が正直に言ってくれたことは、千本の桜の木を持つことよりも素晴らしい」と応じます。この話は、子どもたちが嘘をつく割合を四三パーセントも下げました。
以上のことから、研究者たちが出した結論はこうです。(1)恐怖を与える話を聞くと、子どもたちはより巧妙に嘘をつくことを覚える。(2)正直であることの尊さを教えると、子どもたちが嘘をつく回数は減る。
この調査結果を読みながら、私はイスラエルの民のことを思い出しました。「律法」や「裁き」によっては、彼らを悔い改めに導いたり、あるべき姿に変えたりすることができませんでした。結果的には、彼らを「より巧妙に嘘をつく人間」にしただけでした。その極みが、パリサイ人の偽善でした。イエスは、「この民は、口先ではわたしを敬うが、その心は、わたしから遠く離れている」(マタイ15・8)と嘆いておられます。
では、人はどういう過程を通って救いに至る悔い改めをするのでしょうか。人は、まず神の愛と恵みに触れて、心が砕かれます。そして、醜い自分の姿を神に告白することができるようになるのです。聖書には、「私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、私たちの罪のために、なだめの供え物としての御子を遣わされました。ここに愛があるのです」(Ⅰヨハネ4・10)とあります。このことばは、重いと思います。
十代の青年と嘘の関係
では、なんでも自由にさせることが、良い子どもを育てることになるのでしょうか。そうともいかないところに、子育ての難しさがあります。
十代の青年に関する調査を見れば、そのことがよく分かります。事前の調査によれば、ほとんどの親たちが、寛大であるなら、子どもは隠し事をしなくなり、より正直になると信じているとの結果が出ていました。つまり、十代の子どもを持つ親たちは、厳格にした結果、子どもとの対話がなくなることを恐れているのです。しかしながら、「放任主義」は決してよい結果をもたらしません。ある研究者はこうコメントしています。
「問題を起こす青年たちを調べてみると、彼らがルールや基準を作らない両親によって育てられてきたことが分かります。親は子どもを愛しており、子どもがどんなことをしてもそれを受け入れているのですが、子どもから見ると、それは親が自分に関心を持っていないしるしと思えてくるのです。つまり、『親であること』を放棄しているように見えるのです。
…しかし皮肉なことに、規則を子どもに押しつけている親は、実際のところ、最も暖かくて、最も子どもたちと会話をしている親なのです」
規則を押しつけると、親子の間に言い争いが起こりますが、こういう類の口喧嘩が親子関係に悪影響を及ぼすと考える若者は、二三パーセントしかいません。
聖書には、次のような勧めのことばがあります。
「わが子よ。主の懲らしめを軽んじてはならない。主に責められて弱り果ててはならない。主はその愛する者を懲らしめ、受け入れるすべての子に、むちを加えられるからである」(ヘブル12・5〜6)。クリスチャン生活とは、イエス・キリストの十字架によって示された父なる神の愛に応答して生きることです。
大人と嘘の関係
最後に、大人に関する調査も行われました。「今までにあなたがついた最大の嘘はなんですか」という質問に対して、多くの大人たちが、子どもの時についた些細な嘘を上げたのです。これは予想外のことでした。カリフォルニア大学サンタバーバラ校のベラ・デパウロ教授は、この現象についてこうコメントしています。
「子ども時代につく嘘がどれほど重要な意味を持っているか、研究者として再吟味することを迫られました。幼い子どもにとっては、嘘をつくことは、自分は良い子だというセルフイメージを傷つけるものなのです」
幼い頃についた嘘は、人格形成や行動パターンに影響を与えます。嘘が見つかり、嫌な経験をした子どもは、二度と嘘をつかないと誓うようになります。しかし、嘘をつくのが上手で、うまく逃れることができた子どもは、十代や大人になると、もっと嘘をつくようになるのです。
幼児教育の重要性を、再確認させられたような思いがします。聖書には、「父たちよ。あなたがたも、子どもをおこらせてはいけません。かえって、主の教育と訓戒によって育てなさい」(エペソ6・4)との教えがあります。
こう見てくると、聖書こそ自分の人生を律する道しるべであり、子どもを育てる指針であることが分かります。
子どもと嘘の関係
「狼少年」は、子どもにとっては恐ろしい話です。この話を子どもに聞かせると、結果はどうなるかという調査が行われました。事前に行われた大人向けの調査では、「子どもは『狼少年』の話から教訓を学び、嘘をつく回数が減ってより正直になるはずだ」と答える人たちが大半を占めていました。しかし、結果はそうではありませんでした。子どもたちが嘘をつく割合は、それ以降も変わらなかったのです。
そこで今度は、「ジョージ・ワシントンと桜の木」の話を子どもに聞かせました。少年ジョージは、自分が桜の木を切ったことを父親に告白する話です。父親は、「君が正直に言ってくれたことは、千本の桜の木を持つことよりも素晴らしい」と応じます。この話は、子どもたちが嘘をつく割合を四三パーセントも下げました。
以上のことから、研究者たちが出した結論はこうです。(1)恐怖を与える話を聞くと、子どもたちはより巧妙に嘘をつくことを覚える。(2)正直であることの尊さを教えると、子どもたちが嘘をつく回数は減る。
この調査結果を読みながら、私はイスラエルの民のことを思い出しました。「律法」や「裁き」によっては、彼らを悔い改めに導いたり、あるべき姿に変えたりすることができませんでした。結果的には、彼らを「より巧妙に嘘をつく人間」にしただけでした。その極みが、パリサイ人の偽善でした。イエスは、「この民は、口先ではわたしを敬うが、その心は、わたしから遠く離れている」(マタイ15・8)と嘆いておられます。
では、人はどういう過程を通って救いに至る悔い改めをするのでしょうか。人は、まず神の愛と恵みに触れて、心が砕かれます。そして、醜い自分の姿を神に告白することができるようになるのです。聖書には、「私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、私たちの罪のために、なだめの供え物としての御子を遣わされました。ここに愛があるのです」(Ⅰヨハネ4・10)とあります。このことばは、重いと思います。
十代の青年と嘘の関係
では、なんでも自由にさせることが、良い子どもを育てることになるのでしょうか。そうともいかないところに、子育ての難しさがあります。
十代の青年に関する調査を見れば、そのことがよく分かります。事前の調査によれば、ほとんどの親たちが、寛大であるなら、子どもは隠し事をしなくなり、より正直になると信じているとの結果が出ていました。つまり、十代の子どもを持つ親たちは、厳格にした結果、子どもとの対話がなくなることを恐れているのです。しかしながら、「放任主義」は決してよい結果をもたらしません。ある研究者はこうコメントしています。
「問題を起こす青年たちを調べてみると、彼らがルールや基準を作らない両親によって育てられてきたことが分かります。親は子どもを愛しており、子どもがどんなことをしてもそれを受け入れているのですが、子どもから見ると、それは親が自分に関心を持っていないしるしと思えてくるのです。つまり、『親であること』を放棄しているように見えるのです。
…しかし皮肉なことに、規則を子どもに押しつけている親は、実際のところ、最も暖かくて、最も子どもたちと会話をしている親なのです」
規則を押しつけると、親子の間に言い争いが起こりますが、こういう類の口喧嘩が親子関係に悪影響を及ぼすと考える若者は、二三パーセントしかいません。
聖書には、次のような勧めのことばがあります。
「わが子よ。主の懲らしめを軽んじてはならない。主に責められて弱り果ててはならない。主はその愛する者を懲らしめ、受け入れるすべての子に、むちを加えられるからである」(ヘブル12・5〜6)。クリスチャン生活とは、イエス・キリストの十字架によって示された父なる神の愛に応答して生きることです。
大人と嘘の関係
最後に、大人に関する調査も行われました。「今までにあなたがついた最大の嘘はなんですか」という質問に対して、多くの大人たちが、子どもの時についた些細な嘘を上げたのです。これは予想外のことでした。カリフォルニア大学サンタバーバラ校のベラ・デパウロ教授は、この現象についてこうコメントしています。
「子ども時代につく嘘がどれほど重要な意味を持っているか、研究者として再吟味することを迫られました。幼い子どもにとっては、嘘をつくことは、自分は良い子だというセルフイメージを傷つけるものなのです」
幼い頃についた嘘は、人格形成や行動パターンに影響を与えます。嘘が見つかり、嫌な経験をした子どもは、二度と嘘をつかないと誓うようになります。しかし、嘘をつくのが上手で、うまく逃れることができた子どもは、十代や大人になると、もっと嘘をつくようになるのです。
幼児教育の重要性を、再確認させられたような思いがします。聖書には、「父たちよ。あなたがたも、子どもをおこらせてはいけません。かえって、主の教育と訓戒によって育てなさい」(エペソ6・4)との教えがあります。
こう見てくると、聖書こそ自分の人生を律する道しるべであり、子どもを育てる指針であることが分かります。