Harukoの濾胞性リンパ腫日記【B細胞 Ⅳ期 B症状 50歳代後半 】 2008年4月28日~

悪性リンパ腫の入院日記。多くのリンパ腫病のうち濾胞性(低悪性)リンパ腫の総合情報サイトを目指して行きます。

厚生労働省班研究 ミニ移植プロトコール

2004-01-01 00:00:00 | 治療法あれこれ
厚生労働省班研究 ミニ移植プロトコール

骨髄非破壊的前処置療法を用いた同種造血幹細胞移植に関する研究
~骨髄非破壊的前処置療法の有用性、ならびに急性GVHDの予防方法に関する検討~


試験デザイン: 骨髄非破壊的前処置療法

                  day -8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1  0
リン酸フルダラビン 30mg/m2/day ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓
ブスルファン     4mg/kg/day         ↓  ↓
幹細胞移植                                           ↓

本研究では、従来の前処置療法と比較して治療関連毒性が軽い骨髄非破壊的な術前療法を用いて50歳以上70歳未満の患者を対象としたミニ移植術を行い、高齢者における本治療法の有用性(安全性・有効性)を検討する。またGVHD予防を本研究の前処置で広く用いられているシクロスポリン単剤による方法と、シクロスポリンとメトトレキサートの併用による方法の2群に無作為に割り付ける(各群30例、計60例)ことにより急性GVHDの予防方法に関する検討を行う。

総括責任医師: 高上洋一 (国立がんセンター中央病院)
本試験に関わる業務を統括する医師

試験調整医師: 峯石真(国立がんセンター中央病院)
本試験に関わる業務の総括的な責任医師

試験責任医師・試験分担医師: 各施設より任命
参加各施設で、試験に関わる業務を分担し、運営事務局との連絡を担う。

運営事務局責任者: 神田善伸 (東京大学無菌治療部)
運営事務局の業務の責任医師

お問い合わせは東京大学無菌治療部 神田善伸
TEL: 03-3815-5411内線30672 FAX: 03-5804-6261 E-mail:
宛にお願いいたします。





背景 ミニ移植後の急性GVHDの発症について

移植術前療法に伴う組織障害に由来するサイトカインの放出が急性GVHDの発症に関連しているという仮説から、術前療法を弱くしたミニ移植では急性GVHDが減少することが予想された。また、ドナー細胞と患者細胞との混合キメラ状態が生じやすいことも急性GVHDが減少する方向に働くかもしれない。しかし、実際には、急性GVHDの発症頻度は通常の移植と比較して大きな差はないようである。その一因として、ミニ移植の場合は、GVL効果を十分に得るために、GVHD予防を弱くしたり、あるいは早期に中止したりしていることが考えられる。しかし、ミニ移植においてもGVHDは最も重篤な移植合併症であり、どのようなGVHD予防方法が最適であるかは、未解決の問題である。フルダラビンとブスルファンを用いたミニ移植においても、Slavinらはシクロスポリン単剤でのGVHD予防を行っているのに対して、ドイツのグループはシクロスポリンとメトトレキサートあるいはミコフェノールを併用したGVHD予防を行っている。特に、GVHDに対する予防効果の期待できるATGの投与を省いた場合には、よりGVHDの頻度が高くなることが予想される。




目的
本研究では、従来の前処置療法と比較して治療関連毒性が軽い骨髄非破壊的な術前療法を用いて50歳以上70歳未満の患者を対象としたミニ移植術を行い、高齢者における本治療法の有用性(安全性・有効性)を検討する。またGVHD予防を本研究の前処置で広く用いられているシクロスポリン単剤による方法と、シクロスポリンとメトトレキサートの併用による方法の2群に無作為に割り付けることにより急性GVHDの予防方法に関する検討を行う。なお本研究において骨髄非破壊的前処置療法を用いた同種造血幹細胞移植の有用性(安全性・有効性)が確認された場合には、他に有効な治療法がない多くの患者を救済することを目的として、前処置療法)に用いた薬剤の輸入販売会社に対して適応症追加申請を行うように要請する。これにより、班研究成果の社会への還元を図る。




主要評価項目
ミニ移植における抗腫瘍効果の理念がドナー由来の造血細胞による免疫作用に基づくことから、以下の2つの条件を満たした場合には安全にドナー由来の造血を確立したと判断できると考え、主要評価項目とした。
① 移植後100日時点での生存
② ドナー型完全キメラの達成 (移植後day 90±5の時点でdonor由来細胞が90%以上)




副次的評価項目
移植後1年の生存率および無病生存率

2-2-1前処置の毒性(移植後20日以内、付表4参照)
2-2-2GVHDの頻度・重症度の検討(付表3参照)
2-2-3造血回復までの期間、完全キメラ達成までの期間
2-2-4移植後の免疫能回復(CD4/8/19陽性細胞、IgG/A/M定量)
2-2-5術前療法に用いる薬剤の薬物動態
2-2-6DLIによる移植片拒絶の防止、抗腫瘍効果
2-2-8疾患ごとの生存率、無病生存率(CMLにおいてはbcr/abl mRNAの評価を含む)




試験薬剤
本研究に対しては、日本シエーリング社からリン酸フルダラビンが無償供与される。この薬剤は国立がんセンター中央病院薬剤部で保管し、症例毎に冷蔵宅急便を用いて各施設に配布する。




適格条件
本研究の対象は、参加施設において治療を受ける患者のうち、他の治療では治癒や長期生存の確率が低いような病気や病状であり、同種造血幹細胞移植の適応であると考えられる状態にあるにもかかわらず、高齢であるがために通常の血縁/非血縁者間同種造血幹細胞移植の適応にならない患者とする。血清学検査において、HLAのA/B/DR座が完全(6座)一致の同胞ドナーを有し、説明同意書を用いて同意を得た者について行う。
ただし、登録は仮登録と本登録の二段階に分けて行う。すなわち、患者から文書で同意を取り、仮登録前2週間以内に必要な検査を実施し、4-1-1~4-1-3および4-2に示す仮登録に必要な条件をすべて満たすことを確認した上で仮登録を行い、ドナーの末梢血幹細胞の採取・凍結保存を行う。後述する必要量の幹細胞が得られた場合、本登録前1週間以内に必要な検査を実施し、4-5に示す本登録における除外条件を確認した上で、本登録を行う。ドナーから十分な幹細胞量が得られなかった場合、あるいは本登録における除外条件に該当した場合で、仮登録後の不適格症例と判断された場合についても、必ず、本登録を行わない旨、およびその理由をデータセンターに連絡する。なお、前処置薬の投与は、本登録後1週間以内に開始する。

4-1-1 以下のいずれかの疾患を有する者。
急性骨髄性・リンパ性白血病(AML・ALL)の第一・第二寛解期(付表1参照)
通常の化学療法での治癒が困難と考えられる場合に限られる(付表1参照)。
慢性骨髄性白血病(CML)の第一・第二慢性期
慢性骨髄性白血病についてはヒドロキシウレアなどの投与により末梢血白血球数が1万/μl以下にコントロールされていることを条件とする。また、インターフェロンやイマチニブによって細胞遺伝学的完全寛解が得られている症例は除外する。

骨髄異形成症候群(MDS)のFAB分類でのRA、RARS、RAEB
RA、RARSについては好中球500/μl未満あるいは輸血依存性の症例に限定する。RAEBについては抗癌剤を使用することなく1ヶ月以上RAEBの基準を満たす状態にある安定した症例に限る。RAEB、RAEB-tに対して化学療法を行って白血病細胞が十分に減少した症例も、詳細の基準を満たせば適格とする。
*RA=refractory anemia, RARS=RA with ringed sideloblast, RAEB=RA withexcess of blast

4-1-2 仮登録時の患者の年齢が50歳以上70歳未満の者。

4-1-3 健康状態が良好であるHLA一致同胞ドナーを有する者。健康状態良好とは以下の疾患を有さないことと定義する。ドナーの年齢上限については、各施設の倫理委員会もしくはそれに準ずる機関の定めた制限に従う。
(a) 自己免疫疾患(膠原病を含む)の現有及び既往
(b) 静脈血栓症、動脈硬化性疾患の現有
(c) 虚血性心疾患、脳血管病変の現有及び既往
(d) 悪性腫瘍、過去の抗癌剤の投与歴、過去の放射線治療歴
(e) 薬物治療を必要とする高血圧、糖尿病の現有
(f) 白血球、ヘモグロビン、血小板値の異常
(g) その他主治医が末梢血幹細胞採取に不適当と考える健康状態
ただしドナーから必要量の末梢血幹細胞が得られなかった場合は、仮登録後不適格症例と判断し、解析から除外する。


4-2 除外基準
以下に示す重篤な臓器機能障害を持つ者(ドナーも含む)は登録時に不適格と判断し除外する。
(a) ECOGのperformance statusが2以上(付表2参照)
(b) 心エコーにて、安静時の心駆出率が50%未満
(c) 酸素非投与での動脈血液中酸素飽和度が93%未満
(d) 血清クレアチニン値が2.0 mg/dl以上
(e) 総ビリルビン値が2.0 mg/dl以上あるいはGOT値が正常上限の4倍以上
(f) HIV抗体が陽性
(g) 活動性の感染症を有する
(h) 前処置療法に用いる薬剤、ならびに急性GVHD予防に用いる薬剤に対し過敏症の既往のある患者



GVHD予防方法の割付
GVHD予防方法はシクロスポリン単剤による方法とシクロスポリンとメトトレキサートを併用した方法の各群に30症例の無作為な割付を行う。
なお、2群間の比較可能性を維持するため、基礎疾患(急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候)、施設、年齢(50~59歳、60~69歳)、性別(男、女)を割り付け因子として動的な割付を行う。



GVHDの予防
1 いずれの群もシクロスポリン(CSA)の投与を行う。CSA 3 mg/kg/dayの持続投与をday-1から開始する。
2 Day 28を過ぎた時点でGVHDの症状がなければ10%/週を目安に減量し、day 100頃までに中止する。
3 シクロスポリンとメトトレキサートの併用群では、メトトレキサート 10 mg/m2をday 1に、7 mg/m2をday 3およびday 6に、それぞれ緩徐静注あるいは30分で点滴静注する。ロイコボリンによる救援療法は併用しない。



付表1 急性白血病の第一寛解期移植の適応について
急性リンパ性白血病については、高齢者における化学療法単独での治療成績は極めて不良であり、全症例が第一寛解期での移植適応と考えられる。急性骨髄性白血病については確固たる基準はないが、本研究ではJapan Adult Leukemia Study Groupで採用しているスコアリングに基づき、t(8;21)、t(15;17)、inv(16)の3つの染色体異常のどれかを持つ症例以外の第一寛解期症例は全て対象とする。またこれらの染色体異常を持つ症例においても、以下の条件に一つ以上該当する場合には第一寛解期の移植適応と考える。
・白血病細胞のmyeloperoxidase陽性率が50%以下
・初発時白血球が20,000 /μl 以上
・FAB subtypeがM0,M6,M7
・寛解導入までに2コース以上を必要とした。





http://www.h.u-tokyo.ac.jp/mukin/mini-prot.htm



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