Harukoの濾胞性リンパ腫日記【B細胞 Ⅳ期 B症状 50歳代後半 】 2008年4月28日~

悪性リンパ腫の入院日記。多くのリンパ腫病のうち濾胞性(低悪性)リンパ腫の総合情報サイトを目指して行きます。

悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫)

2008-08-12 19:16:46 | よもやま話
悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫)

どんな病気か
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 全身に広がっているリンパ組織内の細胞が悪性化し、次第に全身の臓器を侵していく病気です。


原因は何か
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 白血病と同様に、化学物質・放射線などさまざまな因子が関連していると考えられています。最近、病原体の関与が推測されており、一部の非ホジキンリンパ腫(バーキットリンパ腫、鼻腔原発(びくうげんぱつ)NK細胞性リンパ腫など)では、EBウイルス感染が関与していると考えられています。また、胃のMALTリンパ腫では、ヘリコバクター・ピロリ菌が発症に関与しています。
 このほかヒトヘルペスウイルス6型や8型、C型肝炎ウイルスなども発症に関与することが推定されています。


発生頻度
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 人口10万人に対して1年間に男性約9人、女性約6人の割合で発生します。非ホジキンリンパ腫の場合、50歳代から次第に増加します。これに対しホジキンリンパ腫では、20歳代と壮年層の2つのピークを認めます。
 欧米人は日本人より発症頻度が高いことが知られていますが、原因はまだ明らかではありません。日本人における頻度は最近とくに増加傾向にあり、その理由として国民年齢層の高齢化のほかに、診断技術の向上、ライフスタイルの欧米化などが指摘されています。


症状の現れ方
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 しばしばリンパ節腫脹から始まります。痛みがないため、気がついた時にはかなり大きくなり、また複数部位のリンパ節が同時に腫大してくることもあります。
 なお、日本人の場合、リンパ節腫脹以外で起こるリンパ腫(節外性リンパ腫)の形で発症するものが40%ほど存在します。リンパ節以外の全身ほぼすべての臓器から発生する可能性がありますが、日本人では胃から起こる症例が多いといわれています。節外性リンパ腫の場合も症状が乏しく、検診などで偶然見つかることがあります。
 全身症状としては、発熱、全身の倦怠感(けんたいかん)、体重減少、寝汗などがあります。とくにホジキンリンパ腫では38℃を超える発熱、全身のかゆみを訴えることがあります。


検査と診断
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 検査値の異常として貧血(正球性(せいきゅうせい)・正色素性(せいしきそせい)が多い)や白血球数の増加(好中球(こうちゅうきゅう)や好酸球(こうさんきゅう))、赤沈の亢進、血清LDH値の上昇などがあげられます。また、血清β(ベータ)2ミクログロブリン値や血清可溶性IL(インターロイキン)―2受容体の値は、病気の勢いと相関することが知られています。

 診断上最も重要なのは、病変を手術によって切り取り、顕微鏡で組織学的に検査することです(生検)。そして病巣がどの範囲に広がっているか(病期)を決定します。これは病期により治療方針が異なるためです。

 病期診断では、体の表面にあるリンパ節は医師の診察のみでわかりますが、体内の病変については画像診断検査が必要になります。CT、MRI、超音波検査、消化管内視鏡検査などを行い、病変の広がりを決定します。最近保険適応となったPET(ポジトロン断層撮影法)を併用することで、悪性リンパ腫のより正確な病期診断が可能になりました。

 病期は一般的に次のように分類します。
Ⅰ期:ひとつのリンパ節領域だけに病変が存在する時期
Ⅱ期:横隔膜(おうかくまく)をはさんで上のみ、もしくは下のみで、2つ以上のリンパ節領域が腫大している時期
Ⅲ期:横隔膜の上下に病変が存在する時期
Ⅳ期:病変がリンパ組織以外の部位に広汎に及んでいる場合


悪性リンパ腫の分類
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 悪性リンパ腫のうち、特徴的な巨細胞(ホジキン細胞やリード・スタインバーグ細胞などと呼ばれる)を認めるものをホジキンリンパ腫、そのほかのものを非ホジキンリンパ腫と呼びます。

 ホジキンリンパ腫はリンパ球豊富型、結節硬化(けっせつこうか)型、混合細胞型、リンパ球減少型に分類されます。

 非ホジキンリンパ腫は多くの分類法がありますが、第一に腫瘍細胞の性質からみてB細胞性、T細胞性、NK細胞性などに分ける方法があります。日本人の場合、B細胞性が70~80%を占めるといわれています。

 そのほか、進行の早さからみて低悪性度群(濾胞性(ろほうせい)リンパ腫の多く)、中等度悪性度群(びまん性大細胞型など)、高悪性度群(バーキットリンパ腫、リンパ芽球性(がきゅうせい)リンパ腫など)に分類する方法もあります。


治療の方法
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●ホジキンリンパ腫
 限局型(前述Ⅰの期、Ⅱ期)では化学療法を3~4コース行い、その後病変があった部位を中心に放射線療法を行うのが、最近では一般的になっています。その理由は、全身に広がっているかもしれない病巣を根絶して治すためです。この治療で大部分の人が5年以上生存します。

 全身型(前述のⅢ期、Ⅳ期)では化学療法を行います。最近では70%以上の症例で寛解(かんかい)(一時的に正常な状態になること)となり、その半数以上が10年間再発することなく生存できます。

 ホジキンリンパ腫に対する標準的化学療法は、ABVD療法(アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)とされています。



●非ホジキンリンパ腫
 ホジキンリンパ腫と同様に、限局型(I期、Ⅱ期)では化学療法を3~4コース行い、その後病変があった部位を中心に放射線療法を行うのが一般的です。限局型に対して放射線療法と化学療法を併用して行った場合、70%以上の症例で長期生存が得られます。

 全身型(Ⅲ期、Ⅳ期)は、強力な化学療法を行うことにより60~80%の症例で寛解が得られ、2年以上寛解を継続した例では長期生存が期待されます。

 非ホジキンリンパ腫に対する現時点での標準的化学療法は、CHOP療法(シクロホスファミド、アドリアマイシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)です。

 B細胞性リンパ腫の90%以上の症例に発現しているCD20抗原と特異的に結合するモノクローナル抗体のリツキシマブは、前治療がある症例に単独で使用しても30%以上の奏効率を示しましたが、リツキシマブと化学療法を併用すると非常に高率で寛解が得られることが、多くの研究より判明しました。したがって、今後B細胞性非ホジキンリンパ腫に対しては、リツキシマブと化学療法が標準的治療法になる可能性があります。

 化学療法に耐性(たいせい)が生じた症例と寛解後に再発した症例には、自家造血幹細胞(じかぞうけつかんさいぼう)移植(自己の骨髄(こつずい)または末梢血幹細胞の移植)と組み合わせた大量化学療法が適応となります。また、最近の研究では全身型(期または期)、一般状態の不良(外来通院が困難な程度)、血清LDHの高値が予後と相関することがわかり、これらの因子を有する患者さんに対して、初回治療時より自家造血幹細胞移植を計画することの意義も検討されています。


病気に気づいたらどうする
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 血液内科専門医の診察を受けることが先決です。悪性リンパ腫には多くの病型があるうえに、最近の予後因子に関する研究の進歩などにより、患者さんごとに最適な治療を行う試みが各医療機関で行われています。悪性リンパ腫の多くは治癒の機会が残されているので、治療法について担当医と十分相談したうえで、患者さん自身が納得できる治療を受けることが重要です。


(執筆者:和泉 透)

http://health.goo.ne.jp/medical/search/10N20800.html

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